3章 プロローグ
頼りないロウソクの明かりだけが頼りのジメジメとした地下の一室に、1人の壮年の男性が目を閉じ座禅を組んでいた
ふとその男性がロウソクの揺れに気付くと背後に見知った顔がロウソクの明かりに照らされる
「ジュウベエ・・・戻っていたか」
男性が声をかけるもジュウベエは反応せず、ただ佇んでいる
不審に思った男性が近付こうとした瞬間、ジュウベエが動き剣の柄を男性の鳩尾にめり込ませる
「がっ・・・何を・・・」
「ごめんね~モリトのオジサン・・・ちょっと通るね~」
モリトがうずくまっている横を通り過ぎ、ジュウベエは真っ直ぐに神扉に向かう
原初の八魔の一体、アモン・デムートが創り出した魔族を通さぬ結界・・・魔族から人を護ると伝えられているが、実際は天使から魔族を護る為に創られたその結界にジュウベエは足を踏み入れる
特に何の影響もなく神扉を通り抜け、しばらく歩くと空気が徐々に変化する
魔素の濃さを肌で感じ、武者震いするジュウベエ。明かりが無いために岩肌の壁に触れながら歩いていくと奥から明かりが差し込んでくる
結界とはまた違う光の渦がそこにはあった
ジュウベエは迷うことなくその光の渦の中へと進んでいく
光の渦の先────魔の世を目指して────




