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最強の番犬と黒き魔女  作者: しう
『招くもの』
43/160

2章 幕間 やさぐレンド

やってしまった


惚れた相手を傷付けて泣かすなんて・・・最低じゃないか


でも、惚れた相手が目の前で殴られてるのを止めないなんて男のする事じゃない!


そうだ!俺は間違ってない!


女の子は男に守られるべきだ・・・今はジュウベエさんの方が遥かに強い・・・でも、僕が強くなって、ジュウベエさんを超えれば・・・ジュウベエさんも僕が言ってることを理解してくれるはず!


ジュウベエさんが魔族に倒され、大ピンチの時に颯爽と現れ、『下がってな・・・後は俺がやる』なんて・・・


・・・・・・


現実は厳しい。僕がそうなる頃にはジュウベエさんはもっと高みに辿り着いている気がする。つまり、僕が倒せる程度の相手にジュウベエさんが負ける訳が無い


じゃあ、どうすれば・・・


やはり修行しかない


ジュウベエさんがやられた時には相手も無傷ではないだろう


そうすると僕が勝てる可能性も高いはず・・・理想は相討ちに近い状態・・・いける!


とにかく相手が瀕死でも負けるようでは話にならない。鍛えるには越したことはないな


外に出て・・・


≪お出掛けですか?≫


チッ・・・こいつが居たか。キラー執事め


「ちょっと外で剣を振ろうかと」


クオンさんとクロフィード様が買い出しに出てる間はこいつの許可なく外に出れない。ジュウベエさんとペアを組んでれば出れるが今は・・・それに秘密の特訓的な感じでいきたいのに・・・


≪主のご命令です。1人での外出は認められません≫


ハイ出た!忠臣ぶりやがって・・・


「そんな遠くまで行かないので・・・」


≪・・・≫


無視かよ!くそっ・・・今のままだと屋敷でジュウベエさんに出会(でくわ)した時にどんな顔すればいいか分からないのに・・・


「ワタシがご一緒・・・しましょうか?」


アースリーさん!・・・でもダメダメ2人組だとペアを組んでも意味がないしどうせ・・・


≪かしこまりました。お気をつけて≫


良いのかよ!てか、こいつ・・・なぜ2人で行動しろとクオンさんが言ってたのか理解してないな・・・ただクオンさんの言葉だけを忠実に守って・・・


清々しいまでの主人愛・・・今日はそこに乗らせてもらおう


アースリーにお願いしてやっと外へ・・・髪を切って顔を出すようになってから変わったよな。男爵家の家長にはならないにしても男爵家の娘だ。本来なら様付けだが、あえて呼び捨てにさせてもらおう・・・心の中では


でも、貴族って難しいよな・・・たとえ貴族でも男爵程度だと家長以外は地位としてはほとんど一般人・・・もちろん男爵家の~ってなるが命令権なんかもないし・・・その点、伯爵や侯爵クラスになると子供でも絶大な権力を持っている。僕が侯爵の・・・しかも当主と同じ屋敷に寝泊まりするなんて今でも信じられないな


ぬいぐるみを胸に抱いたアースリーと共にジュウベエさんがクオンさんと立ち会った場所に向かい、貴族について考えていたらいつの間にか到着していた


僕が立ち止まるとアースリーは僕を見て頷き、僕も頷き返す


思わず頷き返したが、意味は分からない・・・恐らく各自で行動しようって事だろうな。アースリーは土いじりメインだし


僕は持って来た剣を引き抜くとさっそく素振りを開始する


雑念を振り払うように何度も何度も・・・


そうこうしていると、振り払うべき雑念が目の前で形となって現れる・・・まるで目の前にジュウベエさんがいるように・・・


突然始まった雑念ジュウベエとの立ち会い


思い切って斬り掛かるが、呆気なくやられて終了・・・雑念ジュウベエ恐るべし


どうせなら夜、部屋に出て来てくれたら・・・いやいや、何を考えてるんだ僕は!


頭を振り雑念を振り払うと、今度は1本の木に近付いた


ジュウベエさんが模擬刀で切り落とした木よりも遥かに細い木


今の僕ならばと木に打ち込むと・・・コーンと甲高い音と共に刃は木に食い込む。ですよね。剣で木を切り落とすなんて無理ですよね


「何・・・してるです?」


食い込んだ剣を抜こうとしていると、アースリーが声を掛けてきた。既に服は泥だらけ・・・もしかして遊んでたのかな?


「いや・・・剣を振ってたら刺さって抜けなくなってしまって・・・」


思わず嘘をついてしまった。切ろうとして切れなかったって言ったら恥ずかしいし


「・・・任せて」


うん?何を任せるんだ?と思っていたら、アースリーに抱かれていたぬいぐるみがトテトテと木に向かい・・・


殴った!木を!しかもドゴンと強烈な音がしたと思ったらゆっくりと木が倒れていく。ちょうど剣が刺さった辺りから木は折れた為に剣は地面にポトリと落ちる・・・ナニアレ


「ンフ・・・ジールの器に色々刻んだけど、結局あやつり人形・・・それではワタシの理想には程遠い。だから、実験的にジールの器とワタシの器でパスを繋いだの。それによりジールはワタシの命令以外はほとんど何も出来ないけど、命令すれば何でも出来る!術式を刻むのではなく、その都度伝える・・・マーナとステラの関係に近い感じ・・・マルネス先生もその発想はなかったって褒めてくれた。まあ、マルネス先生クラスになると、いちいち命じないと動かないなら、自分で動いた方が良いのだから思い付かないのは当然。でも、ワタシは自身を鍛えるつもりは毛頭ないから・・・守られるのが王道だから・・・」


めっちゃ饒舌


「つまり・・・動く武器みたいな?」


「違う。全然違う。武器じゃない。護衛・・・いや、相棒・・・そう、相棒。そうよねえ?ジール」


「うん」


いや、今の返事、めっちゃアースリーの方から聞こえて来たし、誤魔化す気なしか・・・何この子・・・怖い


「そっ、そうかー、強いんだね、ジールは」


「・・・」


喋らんのかい!乗った僕が馬鹿だった・・・


とにかく木を倒してもらったお陰で剣は抜けたし、修行を再開しよう・・・あれ?誰か居るのか?


剣を拾い、木の倒れた方向を見るとガサガサと音がした。他の人も修行に来たのかと目を凝らして見ると・・・猿!?


「アースリーさん!」


「うん・・・サイレントモンキーです・・・」


サイレントモンキー・・・静かなる暗殺者と言われる猿の魔物。集団で行動すると言われているが、目の前には1匹・・・群れからはぐれたのか?でも静かなる暗殺者とか言って音を立てて気付かれるなんて、間抜けもいいとこ・・・


「上!」


アースリーが何かに気付き、上を指差すと無数の目がこちらを伺っていた。あっ、これヤバいやつだ・・・


音を立てたやつは陽動・・・本命は上から静かに僕らを狩るつもりだったのか・・・アースリーが気付かなかったら殺られてた・・・


上から降ってきたらマズいと2人で開けた場所へと走って逃げる


サイレントモンキーは音もなく木々を渡りこちらを追いかけて来ている


何匹いる?10やそこらじゃきかないぞ・・・強さはどれくらいだっけ・・・確か個体のランクはそこまで高くないけど群れの場合は・・・ランクC相当?


屋敷に戻る間に木の上から襲われたら太刀打ち出来ない。どこか開けた場所に行き、まずは木の上から降ろさないと・・・


木から木へと移動する速度と僕らが走る速度ではサイレントモンキーに軍配が上がった。後ろから追いかけて来てたはずが、前方からアースリー目掛けて襲いかかって来る


「アースリーさん!」


「ひゃう!」


屈んで何とか躱すアースリー。地面に降り立ったサイレントモンキーはこちらを睨み牙を剥き出して威嚇する


えっ?怖い


何躱してんだコラみたいな表情で睨み付けてくるサイレントモンキー。単体でもこんなに怖いのに、それが何十体も?


無理無理!助けてークオンさーん!


無我夢中で走る。アースリー?知らん!


ようやく開けた場所に到着した。中心に居れば少なくとも木の上からの攻撃は心配する事はない


「・・・酷い・・・」


ビクッとして横を見るといつの間にかアースリーが居た。どうやら必死に僕の後をついてきたみたいで、1人で突っ走る僕を見て置いて行こうとしていると判断したらしい・・・当たってるけど


「いや、その・・・」


「お姉様に言い付けてやるです」


お姉様?誰だっけ・・・そう言えばアースリーがゴニンダの時にジュウベエさんをお姉様と・・・マズイ!ここで生き残っても殺される!何とか挽回せねば!


そんな事を考えている間に集まって来るサイレントモンキー


どこからともなく集まり、僕らの周囲を囲むように円を描く


あれ?もしかして誘導された?


「アースリーさん!ゴーレムを・・・」


「知らないです!」


いや、プイじゃないよプイじゃ・・・膨れっ面でそっぽを向くアースリー・・・仕方ないじゃないか・・・怖いし・・・


ジリジリと寄ってくるサイレントモンキー。僕達の連携は最悪・・・詰んだ・・・猿の食事となって終わりを迎えるとは思わなかった・・・せめてジュウベエさんと仲直りしてから・・・


「何してるです!武器を構えるです!何のために強くなったですか!ワタシはここで終わるつもりは毛頭ないです!」


抱いていたジールを置き、ゴーレムポイ土人形を三体創り出す。突然出て来た土人形にサイレントモンキーが一斉に襲いかかった


僕はアースリーの叱咤に思い直して剣を抜く。そうだ・・・僕はまだ死ねない・・・やるぞ・・・やってやるぞ!


震える手を必死に抑え、近くに居たサイレントモンキーに斬り掛かる・・・が、すんなり躱された


「何してるですか!本当に!魔力切れですか!?」


あっ、そうだ・・・すっかり忘れてた


落ち着いて魔力を全身に流す・・・キタキタ・・・


もう一度、今度は魔力で強化した状態でサイレントモンキーに斬り掛かると、今度はサイレントモンキーの動きを超え、頭を切り落とす事に成功・・・あれ?僕強い?


次々と湧いてくるサイレントモンキーを難なく撃退していく・・・勘違いじゃない・・・僕は強い!


「下がってな・・・後は僕がやる」


くぅー、決まった。決まってしまった。アースリーに対してなのが残念だが、この際贅沢は言うまい


「何言ってるです!囲まれてるんですから、分担しないと・・・きゃあ!」


僕にツッコミを入れてる間に忍び寄って来たサイレントモンキーに襲われるアースリー。ヤバいと思い駆け寄ろうとすると、地面に置かれていたジールがサイレントモンキーの鳩尾に一撃・・・遥か彼方へと飛んで行った


「??」


命じたはずのアースリーが何故か疑問顔だが、次々と襲いくるサイレントモンキーにそれどころではなく、最初にアースリーが出した土人形は倒され、包囲網は徐々に狭まっていく


拙い連携のお陰で助かっていたが、サイレントモンキー達はどうやら僕らをただの獲物から強敵へと認識を変えたらしい・・・闇雲に襲い掛かるのを止めて、距離を詰めてきた


今まででも何度か爪で引っ掻かれ、腕や肩は傷だらけ・・・アースリーが無傷なのは奇跡に近い


「一気に来られたら・・・」


そう呟いた瞬間に恐れていた事が現実となる・・・全身から力が抜け始め、乗り物酔いしたかのように脳みそが揺さぶられる・・・魔力切れだ


「アースリーさん・・・僕が屋敷の方角に突っ込みます・・・それで道が開けたら・・・」


「分かったです。お姉様達を呼んで戻って来るです・・・指の1本くらいは回収するです」


躊躇ないな・・・そして、覚悟が揺らぐような事を言わないで欲しい・・・


「これで置き去りにしようとした事は帳消しです・・・ご武運を・・・」


それは助かる。最低のクズ野郎から1個昇格だな・・・


「今です!」


いや、お前が指示するのかよ!と心の中で叫びながら意を決してサイレントモンキーの群れに飛び込んだ


がむしゃらに剣を振り回し、何とかアースリーの通れる道を・・・と後ろを振り向くとアースリーは動いていない。後ろから来るサイレントモンキーをものともせず何やら目を閉じてブツブツ言っていると・・・僕の周りに土壁が乱立する


「そのまま駆け抜けて!」


男前か!


心配させないようにか微笑みながら叫ぶアースリーの顔色は青白い・・・恐らく僕と同じ魔力切れ・・・体力の差で僕の方が生き残れると思って残りの魔力を使ったのか・・・


「強くなって戻って来る!」


「・・・いつになるですか・・・」


僕の力強い言葉に、呆れたように呟くアースリー。後ろではジールが孤軍奮闘しているが、もう時間の問題だろう・・・


僕がサイレントモンキーの囲みを抜けた時、狙いを1人に絞ったのか全てのサイレントモンキーが中心を向いていた


知り合いが食べられてしまう・・・ゾクリと悪寒が走り目を背けた時、上空を何かが通り過ぎたと思ったら大きな鳴き声が響き渡った


何かと思い上を見上げると・・・


「ステラ!ウォーターブレス!」


ステラとその背に乗るマーナの姿が!


上空を旋回し、次々にサイレントモンキーを薙ぎ倒す


一瞬・・・ほんの一瞬で30匹はいたであろうサイレントモンキーを全滅させた


ステラが地上に降り立つとマーナは急いで降りてアースリーの元へ・・・なんだか・・・やってしまった・・・


恐らくマーナはアースリーとジールの魔力を回復させているのだろう。しばらくするとこちらに向かって来た・・・鬼の形相で


「レンド・・・私の言いたいこと分かる?」


「・・・さっぱり・・・」


本当は分かってる。女の子を・・・しかも、自分よりも年下の子を置いて自分だけ逃げようとしたのがバレてるんだろう。お前は強いから知らないんだ・・・弱いやつの気持ちなんて・・・


「私達はまだ弱い!ちょっと強くなったからって無茶しないで!」


へ?何を言ってんだ?


「クオンが初めに決めたペア・・・あれは私達弱い組を守る為に強い人達と組ませてくれたのは分かるでしょ?確かにレンドは強くなったけど・・・まだ・・・悔しいけどまだ守られる立場なの!」


そりゃあ気付いてたけど・・・あれ?僕はなんでアースリーと来たんだっけ?・・・怖い執事に止められて・・・アースリーが一緒に来てくれると言ったから・・・そうか、マーナは僕が調子に乗ってアースリーを連れてここまで来たと思ってるんだ・・・襲われても僕が守ればいい・・・そんな風に勘違いして外に出たと


違うんだ、マーナ。僕は・・・襲われるなんてこれっぽっちも思ってなかったんだよ・・・


「本当に・・・心配させないでよね!」


マーナは怒りながら目には涙を溜めて僕の魔力を回復してくれた


ああ、そう言えばクオンさんに出会った時、マーナを逃がして僕はジャイアントアントに囲まれて・・・僕は助けられてばかりだ・・・


「・・・」


はっ、アースリーが僕を見ている


そう言えば僕はこの子を置いて逃げようとしていた・・・ジャイアントアントに襲われた時と真逆・・・いや、でも最初は僕が囮になろうと・・・


「貴方の代わりに囮になるつもりでしたが・・・清々しいまでの逃げっぷりに正直ビビりましたです」


ですよねー。僕が道を切り開くみたいな事言っておいて、逆に援護してもらったら逃げるって・・・やっぱりあそこは戻るべきだったか・・・


「そうなる事を望んでいたのに・・・いざ見捨てられるとくるものがあります・・・正直言いますとあの時『そのまま逃げるんかい!』と心の中で突っ込んでましたです」


「ん?何の話?」


僕の魔力を回復し終えたマーナがアースリーの言葉に耳を傾ける。マズイ・・・これはマズイ・・・


「なんでもないです・・・マーナ、助かりました。レンド・・・これは貸しにしときます・・・です」


「う、うん。・・・貸し?」


アースリーの言葉の意味が分からずにマーナが首を傾げてる。アースリーの視線が痛い・・・だったら素直に僕を囮に逃げてくれよと思ったが・・・言ったら僕の人生が終わりそうなのでやめておこう



僕達はその後、歩いて屋敷に向かった


ステラには1人しか乗れないので、マーナはステラを小型化させ、3人と1匹で仲良く・・・会話なく・・・歩いた


なんだろう・・・モヤモヤする・・・どうすりゃ良かったんだ?2人仲良く殺されるのが正解か?誰か教えてくれ


屋敷に戻った頃には辺りはすっかり暗くなっていた。結局昼も食べずに一日中外にいたな・・・おお、顔面蒼白執事が僕を蔑んだ目で見てるような気がする・・・まさか僕の行動が筒抜けに?


≪昼食不要なら先に言ってください≫


「は、はい・・・すみません・・・」


なんだそっちか・・・てか、お前がご飯を出した訳でもないだろ!こっちは大変だったんだ!・・・なんて言えるはずもなく、疲れた体を引きずって2階へと上がる


マーナとアースリーはそのまま1階の食堂で何か食べるらしいが、僕はお腹が空いていないので断った


正直、アースリーの視線が痛くて・・・ご飯どころではなかった


ドアを開けると何やら奥の方で声が聞こえる


えっ、何?誰?


耳をすますと微かに聞き取れるか細い声・・・全身から血の気が引いた


「ん・・・クオン・・・ん・・・」


サイレントモンキーだ!サイレントモンキー並のサイレントさで部屋を出るんだ!決して音を立ててはいけない!立てれば・・・終わる!!


心臓のバクバクという音ですら聞こえてしまうのではないかと思いながら、必死に音を鳴らさないようにドアを閉める


魔物に囲まれた過去2回よりもよほど生きた心地がしない


最後のドアノブを元に戻す時・・・微かにカチャリと音がする・・・大丈夫だ・・・入る時も音は鳴ってた・・・気付かれるはずは・・・


「!誰だ!!」


ですよねー、そう言う星の元に生まれた気がしてました


部屋を間違えてしまった。部屋の主はジュウベエさん。今まで生きてきた中で最もツイてない日を更新した瞬間だ


これから追いかけられて殺されるくらいなら・・・


「僕はジュウベエさんが好きです!『クオン』と喘ぐところをいずれ『レンド』と言わせてみせます!」


ドアを思いっきり開け放ち、言ってやりました!


「・・・は?」


ハハ、超怖い


「それでは!」


今度はドアを思いっきり閉めて歩き出す。ギィと音が聞こえた・・・サヨナラ、マーナ、母さん、父さん・・・みんな・・・


とりあえず走る。後ろを振り向かず走る


後ろから迫り来るプレッシャーを感じながら


すると、なんということでしょう


階段を上がってきた2人がこちらに気付いて声をかけてくださった・・・


「レンドか・・・どうした?血相変えて」


クオン様ー!


≪なんだ?腹を下したか?≫


クロフィード様ー!


「待てゴラァ!・・・ん!クオン!」


クオンさんに気付いたジュウベエさんが急停止。その隙にクオンさんの後ろに隠れて様子を見るとジュウベエさんはモジモジし始めた


「何してんだ?ジュウベ・・・」


「クオン!準備万端だ!行くぞ!」


「何の準備だ?それに今帰ってきたばかりだ。どこへ・・・」


≪クオン!下がれ!こやつから不穏な匂いがする≫


「あんだとツルペタ!」


≪盛るな!狂犬!≫


まさかの対決に発展・・・しかも本気で殴り合ってるし・・・


「何があった?レンド」


「いや、まあ、色々と・・・」


クオンさんに聞かれたがとりあえず濁す。全部話したら怒られそうだし・・・


この後、屋敷を破壊せんとばかりに暴れる2人を見てニーナ様が怒鳴り散らし仕方なさそうにクオンさんが止めて何とか場が治まった


「・・・言ったら殺す・・・」


ジュウベエさんが去り際に僕を見て呟くとクオンさんが不思議そうに僕とジュウベエさんを交互に見ていた


僕はその時笑っていたと思う


言わなきゃ殺されないんだと喜んでいたから


その時の僕は知る由もない・・・クオンさんが次の日に再び僕とジュウベエさんをペアにしようとしてるなんて────



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