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最強の番犬と黒き魔女  作者: しう
『嗤うもの』
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5章 42 集結

フリット拉致られ事件から数日が経った


相も変わらずフリットは情報収集に街へ繰り出し、クオンとシャンドは別の場所にて過ごす日々。特にこれといった情報は得られず穏やかな日々を送っていた


しかし、事態は急転する


ある日の夜、3人が揃って夕食をとっているとメイドの静寂を切り裂くような悲鳴が玄関の方から聞こえてくる


クオン達が玄関に向かうとそこにはへたり込むメイドの姿。そして、その視線の先には・・・


「・・・誰か見たか?」


クオンが尋ねるとメイドは首を横に振る


「シャンド!」


「はっ!」


クオンの呼び掛けにシャンドはすぐに宿の外に飛び出した。遅れてやって来たフリットが夕食の肉を口に頬張りながら出て来てあるモノに気付く


「なんだ?・・・なっ!?ぐええぇ」


その場で口の中の物と胃の内容物を吐き出すフリット。クオンは気にせずシャンドが走って行った方向を睨み続ける


数分後シャンドが戻って来るとクオンを見て首を横に振る。それを見たクオンが珍しく歯軋りをした


「・・・やってくれる・・・カーラ!」


クオンが叫ぶとすぐ近くの空間が歪み、中からカーラが姿を現した


「お呼びでしょうか?」


「ああ・・・これから言う奴を全員この場に呼び出せ。ゼン、アカネ、チリ、フウカ、ハーネット、レンド、マーナ・・・それにニーナだ。その者達に呼べる奴を呼んで来いと伝えろ。数は多ければ多い方がいい」


「かしこまりました。なんと言ってお呼びすれば?」


「クオン・ケルベロスが呼んでいる・・・それだけでいい」


「かしこまりました。そのように・・・」


カーラは一礼すると再び扉を開き何処かへと消え去った


「シャンド、お前はこのまま捜索に当たれ。何かあればすぐに知らせろ」


「はっ!・・・主は?」


「俺は心当たりがありそうな奴に聞いてくる・・・行け」


「はっ!」


シャンドもカーラと同じように一礼し立ち去るとクオンはすぐに動き始め玄関に転がるモノを手に取り歩き出した


「お、おい!どこに・・・」


「知ってそうな奴の所に、だ」


クオンはフリットからの質問に振り向かず答えるとそのまま宿屋を出て行ってしまう。フリットは頭を掻くとため息をついてクオンの後を追った




フリットがクオンに追い付いた時、ついてきた事を激しく後悔した。クオンが訪れたのは王城・・・既に辺りは暗くなり警戒が高まる中での訪問に衛兵達が色めき立つ


「止まれ!」


手に持つ槍を構え、クオンに警告するがクオンは止まらない。非常事態と判断した衛兵が控えている衛兵達を呼びに行く。流石は国の中枢ともあれば訓練されているのか衛兵達はすぐにワラワラと集まって来た


「くっ!・・・もう一度言う!止まれ!」


止まらないクオンに後退りながら再び叫ぶ衛兵。後ろには徐々に味方の衛兵も集まり、全員が武器を構える


一触即発の雰囲気にクオンはようやくその足を止めた


「ベルベットを出せ」


「・・・なっ!?皇帝陛下の御名前を軽々しく!この者を捕らえよ!!」


衛兵の一人が叫ぶと一斉にクオンを取り囲む。しかしクオンは臆することなく歩を進め、槍先がクオンに当たるかどうかの所で武器を下げるよと命令が下る。その命令を下したのは皇帝補佐官のテグ二・ユーヤードだった


「このような夜分にどのような御用件でしょうか?クオン・ケルベロス殿」


「ベルベットに用がある。今すぐに出せ」


「・・・はいそうですかとお呼び出来るとでも?然るべき手続きを経て・・・お待ち下さい!」


クオンが話の途中で進もうとすると両手を広げて行く手を阻む。クオンの言い知れぬ雰囲気に気圧されながらもテグ二は更に前に出た


「こんな事がまかり通るとでも?一国の皇帝陛下を突然訪ねるのは元より時間を考えて下さい!」


「それだけ急用だとなぜ思わない?」


「どんな急用でも関係ありません」


「なら国が滅ぶ時を寝て過ごすがいい」


「・・・脅しですか?」


「察しろよ・・・夜だからと言って去らない理由があると・・・国を敵に回す覚悟ある程の用事だと・・・」


クオンから吹いてもいない熱い風を感じてテグ二は喉を鳴らす。このまま阻めば命は確実に奪われる・・・そう確信した瞬間に背後から声がした


「なんか面白い事になってるねー・・・夜這い?」


緊迫した空気の中、凶悪な鎌を肩に担いだクラウが現れた


クラウはおどけたように言うとテグ二を通り過ぎクオンと対峙する


「そんなモノを持って麗しき皇帝陛下の眠りを邪魔しようなんて・・・パジャマパーティーでもする気かい?」


「・・・ベルベットは何を考えている?俺を怒らせて何か得でもするのか?」


「何の事かなー?もしかしてソレの事?ソレの事なら皇帝陛下()知らないよ」


「皇帝陛下『は』か・・・誰なら知っている?」


「さあ?誰だろうね・・・」


「・・・」


「お、おい!クオン・・・」


殺気ダダ漏れのクオンを止めようとフリットが慌てて肩を掴む。暴れ出したらすぐに逃げようと心に決めていたフリットだったが、予想外にクオンはすんなりと引き下がった


「おやおや?お帰りですか?またのお越しをー」


踵を返し王城を去ろうとするクオンの背中にクラウは手を振って見送る


緊張していた衛兵達も大きく息を吐き、構えていた槍を下ろした


「・・・よろしいので?」


「下手に触れればこの国が滅びかねない・・・そうでしょう?クラウ殿」


衛兵の隊長らしき人物がテグ二に尋ねると、テグ二はため息をついてクラウを見た


「そうだね・・・彼なら出来るかもね。まっ、やったらこの世は終わるけどね」


「え!?それはどういう・・・」


この世が終わる・・・その意味が理解出来ずにテグ二が聞き返すがクラウはつまらそうにテグ二達に背を向けてさっさと王城の中へと入っていってしまった


「テグ二様・・・」


「分からん・・・が、あまり良くない事が蠢いているようだ・・・」


自らが補佐する皇帝ベルベットすら掴めぬテグ二に、自由奔放なクラウの言っている意味が分かるはずもなかった。また皇帝が悪巧みをしている・・・ただそれだけはなんとなくだが理解する


「警戒レベルを上げよ!今宵何が起こるか分からぬぞ!」


「はっ!」


雲ひとつない夜空を見上げ、テグ二は再びため息をついた。この静かな夜空がまるで何かの前兆のような気がしてならなかったから──────





クオン達が泊まっている宿の中庭に集められたのはクオンを知る者達


お互い知らぬ者もいれば、久しぶりに会う顔もいる。しかし、ある人物の存在が和やかな空気を阻んでいた


ゼン・ウォール


一国の王が夜中に呼び出されたのだ


しかも呼んだ本人はおらずに待たせるという暴挙・・・付いてきたオッツが宥めるがゼンは怒り心頭で今にも暴れんばかりの状況だった


ゼンの正体を知らなかった者はシン国国王である事を知り驚き、知っていた者はなぜゼンがと首を傾げる


そしてゼンの怒りに拍車をかける存在が・・・


「ええいまだか!人を呼びつけておいて!!」


「・・・待つ事も出来ないとは畜生にも劣る・・・クオン様もなぜこのような輩を・・・」


「グギギギ・・・離せ!オッツ!」


チラリとゼンを見てため息をつくカーラ。その態度が気に食わないゼンが食ってかかろうとするがオッツが全力で止めていた


「ダメですって!魔族に王族の威光なんて通用しないのは知ってるでしょ!?」


「だからと言って・・・ぐむぅ・・・オッツ!クオンを今すぐに連れて・・・むっ」


ゼンがオッツに命令している最中に宿に誰かが入って来る。全員の視線がそちらに向くと真っ先に声を上げたのはニーナだった


「クオン!!」


真っ赤なドレスの裾ををたくし上げ、一目散にクオンの元へ


その素早い動きに全員が呆気に取られていたが、遅れて他の者達が帰って来たクオン達の元へと急ぐ・・・フリットに背負われたクオンの元へ


「何があったのです!クオンは!?」


「気を失っているのか?」


「フリット・・・てめぇ・・・」


「・・・」


全員でフリットを取り囲み、矢継ぎ早に質問を投げかける。ニーナは目を閉じるクオンを覗き込み青ざめ、ハーネットは脈を確認し、レンドに連れられて来たバリームがフリットを見て声を荒らげる。ゼンは近寄りもせず背負われているクオンを遠くから眺めていた


「ちょっ、待て待て!俺も知らねえよ!突然倒れて・・・」


「嘘をつけ!てめぇが・・・」


「少々黙れ・・・もう少し細かく話せ」


フリットに詰め寄るバリームを諌め、ニーナがフリットに尋ねた。フリットは訳も分からず首を縦に振ると状況を細かく説明した



王城に行き一悶着起こした後、クオンは宿に向かっている途中の道端で突然倒れた。特に誰かに何かをされた気配はなく、具合が悪そうにも見えなかった・・・が


「なんか用・・・クオンがクオンじゃないみたいな・・・まあ、俺もそんな長い付き合いじゃねえが・・・」


「クオンがクオンじゃない?一体何を・・・」


「アモン様・・・」


「あん?」


「そういう事ですか・・・皆様方、クオン様は御無事です。ただ・・・」


〘それは・・・後で妾から説明しよう〙


カーラが何かに気付き説明しようとした時、クオンの懐からモゾモゾと出て来たクーネが飛び立ち目を閉じるクオンの頭の上にとまりくちばしを開いた


「・・・マルネス?」


ニーナが尋ねるとクーネは胸を張りコクリと頷く。クーネを知らない者達がザワつく中、クーネを通してマルネスが喋り始めた


〘カーラの言う通りクオンは無事だ。ニーナも分かっておろう?〙


「フ、フン!ちょっと気が動転して気付けなかっただけよ!・・・あなたは順調?」


〘カッカ・・・初めての事だてよー分からんわ。そんな事より時間が無い・・・簡潔に話すからよく聞くのだ。クオンより伝言だ・・・『この子を探せ』・・・この子とはクオンの持つそのモノの持ち主だ〙


「え?・・・ええ!?これって・・・」


マーナが近付きクオンの持つモノを見て口に手を当て後退る。他の者達もこぞって見ると一様に眉をひそめた


「・・・右腕・・・か。なぜ故クオンはこのようなモノを?」


未だに切り口から血が滴る人の右腕・・・それをクオンは意識を失いながらも掴み離していなかった


「こ、これはついさっきこの場所に置かれてて・・・クオンはこれを見た瞬間に何も言わずに王城に怒鳴り込みに行ったんだ」


〘妾もクーネを通して見ておったが、この宿のメイドが気付いて悲鳴を上げて知る事になったが・・・クオンにはこの腕の持ち主に心当たりがあるらしい〙


「えっ?知り合い?・・・だ、誰なの?」


〘マーナ、ステラは連れて来ておるか?〙


「う、うん・・・って見えるでしょ?」


〘どっかの変態が設定にこだわってのう・・・鳥目で夜は視界が悪い〙


「・・・褒め言葉と受け取っておこう」


チリが平然と答えるのを見てクーネマルネスが呆れた様子でため息をつく


「お呼びでしょうか?マルネス様」


呼ばれたと思ったステラが人の姿で前に出るとクーネマルネスはチョイチョイと羽を動かしてクオンの持つ腕を指した


〘ステラよ・・・犬になれ〙


「・・・ワフゥ・・・」


〘一丁前に落ち込みおって・・・ドラゴンでも良い・・・匂いを嗅げと言うておるのだ〙


「嗅げ・・・ですか?」


マーナの力を借りているとはいえエンシェントドラゴンとなったステラにとって犬になるのは抵抗があった。しかし、言葉の意味を理解し頷くとクオンの持つ腕に顔を近付け匂いを嗅ぐ


「・・・!?・・・これは・・・魔の世に居た・・・」


〘やはりそうか。持ち主は魔の世でクオンのメイドをしておった・・・〙


「まさか・・・ミーニャ?」


魔の世で会ったことのあるマーナとレンドが驚き、視線を再度クオンの持つ腕に向ける。確かに幼い少女の腕に見える


「くっ!探さないと!!」


〘慌てるでない、レンド。闇雲に探した所で見つかるまい・・・地理に詳しい者もおらん中、この広い街の中から探すのは一苦労だ。なので手分けして探す・・・マーナ、他のドラゴンは?〙


「ええ、何事かと思って全員連れて来たわ」


〘うむ。チリよ、通信玉は?〙


「ある事にはあるが・・・正常に動くのは今の所六つだ」


〘それで構わん。すぐに取りに行き・・・〙


「こんな事もあるかと思い持って来た。で、どのように使う?」


〘どんな事を想像したのだ・・・まあよい、手間が省けた。ステラ達に1つずつ持たせて情報を共有する。六つあるなら・・・〙


「おい、マルネス!勝手に話を進めるな!誰も協力するとは言ってないぞ!」


離れた場所で腕を組み耳をすましていたゼンが割り込むとクーネマルネスは目を細めゼンを見た。オッツは空気を読めと抗議の視線を送るがゼンは気にすることなく憮然とした態度でクーネマルネスと視線を交わす


〘・・・そうか。カーラ、送り返せ〙


「はっ」


「!?・・・くっ、あ、当たり前だ!一人の・・・しかも他国の者を探すのに一国の王が・・・」


〘お前を一国の王として呼んだと思うか?クオンは動けなくなる可能性を考えてお主らを()()()。普段は誰に頼る事もなく自分で解決してしまうクオンが、だ。妾ならばその中の一員になれただけでも身体の震えが止まらぬほど喜ぶがのう〙


「な、なんで俺がクオンに頼られただけで喜ばないといけないんだ!」


〘だから帰れと言っておる。友とは互いに補ってこそ友であろう?妾とニーナはともかくここに居るもので帰りたい者が居たら帰るが良い。誰も責めることはない・・・クオンが友と見誤っただけの事〙


「ぼ、僕は協力するぞ!何せと、友達だからな!」


「私も協力するけど・・・なんでマルネスとニーナ様はともかく?」


「僕ももちろん!・・・力になれるか分からないけど・・・」


「ゼン・・・国王の代わりにアンズを呼んだ方がいいんじゃない?多分クオンは国が留守になるから呼ばなかっただけだろうし」


ハーネット、マーナ、レンド、アカネがそれぞれ口にするとゼンの顔色が少しづつ青ざめていく


「そ、そうだな・・・別に・・・」


「お待たせしました。コチラが元来た場所に繋がっております。とっとと通って下さい・・・魔力の無駄です」


「うっ・・・」


チラリと皆のいる方向を見ると全員がウンウンと頷く。オッツまでもが向こう側に立ち位置を変えて頷いていた


「フ、フン!帰るからな!本当に帰るからな!」


帰れ帰れという視線が突き刺さる中、ゼンがカーラの用意した扉へと歩み始めるとクーネマルネスがゼンの肩に止まった


〘そうそう言い忘れておったが、クオンは気を失う前にこう言っておった・・・『ゼンを頼れ』と。まあ、気を失いかけて混乱しての戯言だったのだろうて・・・気にするな〙


「・・・」


〘ほれ、行かぬか・・・代わりにアンズを連れて・・・〙


「アンズが俺の代わり?舐めるなよ!チッ・・・クオンの思惑通りに動くのも癪だがここの連中では有象無象をまとめ切れぬであろう・・・いいだろう!貸しのひとつでも作ってやろうか!」


「借りてばっかのくせに・・・」


「何か言ったか!?アカネ!・・・国は違えど身分だけなら俺が1番上のはず・・・俺が仕切るのに異存はないな?」


「帰ろうとしてたくせに・・・」


「聞こえんぞチリ!何か意見があるなら大きな声で話せ!」


「本当は1番仲がいいくせにぃ・・・」


「誰とだ!?フウカ!・・・とにかく小娘1人くらい夜が明けるまで・・・いや、数時間で探してやる!各々力を貸せ!」


突然張り切り始めるゼンに呆れ返る者達。特にオッツは項垂れながら盛大にため息をつく



それからはゼンがテキパキと編成をし始めようやくミーニャ捜索の準備が整った


レンド率いるランコ班。他にバリーム、フリット、カレツにスアン


ハーネット率いるチーボウ班。他にガトー、ソフィア、ジゼン


アカネ率いるジャバ班。他にチリ、フウカ


最後にマーナとステラのステラ班に分かれた


本部として宿を使い、ゼンが仕切る事となった。その為に各代表にチリ特製の水晶を持たせて連絡を受けて指示する。その補佐としてオッツとニーナが付くこととなった


「戦闘はなるべく控えろ!ここがサドニア帝国であることを忘れるな!連絡は密に・・・些細なことでも構わん!それに情報を持っている奴に喋らせる時は水晶に魔力を通せ。ニーナ殿に真偽を確かめてもらう為にな」


全員が頷くとそれぞれ与えられた方面へと動き出す。レンド達は北、ハーネット達は南、アカネ達は東にマーナとステラは東へと向かう


クオンは宿の一室のベッドに寝かされその傍にはクーネマルネスが羽根を休めていた。その様子を羨ましそうに見る人物が堪らず口を開く


「いい身分だな」


〘・・・お主と違って身重でな・・・いつ情報が入ってくるか分からぬぞ?さっさと持ち場に戻らぬか〙


「くっ・・・最初は譲ったが次は私だぞ!」


〘分かっておるわ・・・これでもお主の事は認めておる〙


「ほ、ほう・・・第一夫人の余裕か?」


〘クオンは言っておったがな・・・一も二もないと〙


「クオンが言いそうな事だ。・・・暇になったら皆で旅でもしたいものだな。その頃には5人で行く事になるかも知れぬが・・・」


〘いつになるやら・・・それにしても5人とはそれぞれの子を入れたか?〙


「もちろんだ!私も早く・・・」


〘そうか・・・もう1人くらい増えるやも知れんぞ?〙


「・・・子が?」


〘いや・・・妾達の言い方であれば第三夫人と言った所か・・・〙


「・・・マーナか?」


〘さあ・・・どうだろうのう・・・〙


「コラ!寝るな!・・・もう1人?・・・一体誰が・・・」


目を閉じてこれ以上話すつもりはないとクオンに寄り添うクーネマルネスを見てニーナは考え込むが、考えても仕方ないとすぐに判断して部屋のドアを閉めた。今はそんな事よりも意識のないクオンの為に少女を救う事が先決であると判断した・・・それがクオンの妻である自分の役目と──────

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