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最強の番犬と黒き魔女  作者: しう
『嗤うもの』
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5章 15 暗躍

夜が明けた事も気付かずに一心不乱に2本の刀を振るムサシ。足元の草木はなくなり剥き出しとなり、飛び散る汗を吸収する。周囲には音がするものは存在せず、ただただ空気を切り裂く音だけが響いていた


そのムサシに対して刀身が伸びてくる。咄嗟に躱しながら刀を滑らせ、攻撃して来た者に近付いた


ムサシが辿り着く前に刀身は縮み、またムサシへと突き出される


今度は両手に持った刀を十字に構えると剣先を受け止めた


「・・・差し入れは?」


「俺が握った特製おにぎりか、俺のハニー達が作ったゲロマズ料理か選べるとしたら?」


「・・・究極の選択だな」


「安心しろ・・・手は洗ったはずだ・・・」


「憶測かよ!」


「俺は」


「お前かよ!女達の事かと思ったぞ!?」


「ハニー達が洗っていなければご褒美だろ?」


「ご褒美になんねえよ!ただの嫌がらせだ!」


ようやく伸びていた刀が縮んでいくと、奥からコジローが歩いて来た。肩にはムサシへの朝食と自分の朝食をぶら下げて




「まだ悩んでいるのか?さっさと決めてくれ・・・俺が食べれん」


「うっせえ!お前が変な事言うから・・・くそっ・・・どっちが正解なんだ・・・」


「ちなみにおにぎりにはムサシの好きな梅干しが入れてある。ハニー達のは・・・お楽しみだ」


ムサシは素早くコジローが作ったおにぎりを取ると包みを開け、無言で食べ始めた。コジローはその様子を見て苦笑しながら彼女達が作った料理に舌鼓を打つ


「何がゲロマズだよ・・・美味そうじゃねえか」


「・・・ん・・・またか・・・」


咀嚼していたコジローが口を止めると、口に手を突っ込み何かを取り出した。出て来たのは髪の毛。それもコジローの髪ではない恐らく調理した女性の


「お前・・・それ・・・」


「料理は確かに美味い。だが、髪の毛混入率100%の料理を俺以外の者が食べるとなると・・・途端にゲロマズ料理に早変わりだ」


「そんな料理を選択枠に入れんじゃねえ!!」


「モッチャモッチャ・・・お前にも・・・モッチャモッチャ・・・ハニー達の・・・モッチャモッチャ・・・愛を・・・モッチャモッチャ・・・分けて・・・」


「飲み込んでから話せ!あとそんな愛なんていらねえ!!俺は・・・俺が欲しいのは・・・」


「ングッ・・・イミナ様からの愛か・・・」


「チッ、そうだよ!そのイミナ様を・・・クオンの奴・・・」


「良いのか?お前はそれで」


「あん?って、食うな食うな!何か重要そうな事言っておいて食おうとするな!・・・で、何が良いのか何だよ」


「・・・クオンはアンズちゃんの想い人だろ?あの男性恐怖症のアンズちゃんがクオンにだけは平気だ・・・そのクオンをお前は殺せるのか?」


「・・・関係ねえ・・・アンズの想い人だろうがなんだろうが、クオンはやっちゃいけねえことをやった・・・もう斬る事でしか収まらねえ・・・俺も・・・バースヘイム王国もな」


「そうか・・・それがたとえ仕組まれた事でもか?」


「ああ?お前何を言って・・・あっ」


ムサシが止める前に素早く料理を口に運ぶコジロー。モッチャモッチャと頬を膨らませ食べるコジローと血管が切れそうなムサシがしばらく見つめ合う


「・・・ンッ・・・それがたとえ仕組まれた事でもか?」


「その質問は聞いたよさっき!てか思わせぶりな台詞を吐いといて食べるんじゃねえよ!何なんだよさっきから!!」


「小籠包だ」


「料理の名前を聞いてんじゃねえ!仕組まれたってどういう事か聞いてんだよ!」


「・・・クオンにイミナ様が攫われた。ケルベロス家のメイド長のイミナではなくバースヘイム王国の女王イミナ様だ」


「わーってるよそんな事!それのどこが仕組まれた事なんだよ!」


「おかしいと思わないか?イミナ様が攫われたのが発覚したのはクオンが居た牢屋の見張りの報告だ。何故そんな所から報告が上がる?」


「はあ?クオンが攫ったのが牢屋だからだろ?」


「そうなのか?」


「知らねえよ!」


「何で牢屋に居たクオンがイミナ様を攫うことが出来るんだ?」


「そりゃあ、会議室にも突然現れたあのカーラって魔族の特能でイミナ様を攫って・・・うん?」


「小籠包だ」


「黙ってろ!・・・なんでクオンはわざわざイミナ様を攫って牢屋に戻ったんだ?てか、その前に攫われた時点でもっと騒がれているはず・・・どこで攫われたか分からねえが・・・」


「二つの疑問を一気に解決する状況があるぞ。クオンが何故攫った後に牢屋に戻ったか・・・イミナ様が攫われたのになんでその時点で騒がれなかったのか・・・もしイミナ様が自ら牢屋に行っていたとしたら・・・辻褄が合うよな?」


確かにコジローの言っている事が起きたのなら二つの疑問は解決する。しかし、それだとムサシは納得出来ない事があった


「・・・イミナ様がクオンに会いに行ったと?」


「イミナ様の部屋が牢屋を通らないで行けるのであればそうだろうな」


「なんで王族の部屋が牢屋を通過しないと行けない所にあんだよ!でもどうして・・・」


「それが知りたければクオンを殺さぬ事だな」


「なんでだよ!」


「クオンが自暴自棄になってイミナ様を攫う玉か?俺が思うにイミナ様とクオンは何らかの密約を交わした・・・で、その密約はクオンが敵役をやらなきゃならない・・・だから、イミナ様を()()()で返すと言った」


「・・・意味が分からん」


「イミナ様と国を天秤にかけたらどちらに傾くかクオンは知っている・・・つまりクオンが欲している国はイミナ様を攫っただけでは手に入らない」


「チッ・・・気に入らねえがそうかもな・・・」


「それが分かっててイミナ様を攫う理由は?」


「そりゃあ・・・クオンの言ってた『ゲーム』ってやつに参加させたいだけだろ?」


「そのゲームに負けたら・・・ヴォーダが殺されたら国を渡すか?」


「・・・渡す訳ねえだろ・・・」


「だよな・・・それが分からないほどクオンは脳足りんじゃない・・・もしそんなので国が落とせるなら・・・どこでも移動出来るクオンはとっくに大陸の覇者だ」


イミナが攫われた事ばかり考えていてそこまで考えていなかったムサシ。コジローの言ったことを反芻し自分なりに考えて出した答えは


「クオンはゲームに・・・負ける気か?」


「その答えが一番しっくりくる・・・クオンはイミナ様と密約を交し結託・・・何かを成す為にバースヘイムに攻め込む・・・肝心なのはイミナ様がゲームの参加賞・・・勝っても負けても返って来る・・・クオンが勝った場合、イミナ様を返すメリットは?返さなければ嘘つきとレッテルを貼られ、返せば意趣返しが待っている。クオンが負けた場合・・・イミナ様が返って来る」


「負けた場合もクオンにメリットがねえじゃねえか!」


「ムサシは小籠包の中に髪の毛が入っている事を分かっていたか?」


「はあ?突然何を・・・知るわけねぇだろ!」


「そう・・・食べてみないと分からない」


「あっ!」


コジローは手に取った小籠包をムサシが止める前にヒョイっと口に運んだ。止める事が出来ずに地面を叩くムサシを見下ろし、コジローはモッチャモッチャしながら話を続ける


「今回の・・・ゲームも・・・食べてみないと・・・分から・・・ない・・・」


「結局何も分かってねえんじゃねえか!」


「・・・その通り・・・む?」


「あん?」


「二段構えか・・・やるな」


「・・・」


口から再び髪の毛を出すコジローにムサシはツッコミを入れる気力を失った


「だから知りたければクオンを殺さない事だ・・・殺したら恐らく真相は闇の中・・・イミナ様が語るとは思えない・・・」


それはそうだろうとムサシは頷く。もし本当にイミナがクオンと密約を交わして皆を騙していたとしたら、それは国に対する裏切り行為となる。そうなればイミナは王の座を辞さなくてはならなくなり、跡継ぎがいないリンベルト家は滅亡・・・王の座は他の家へ渡す事になる


「待て・・・もし・・・もしだぞ・・・イミナ様が王の座を辞したとしたら・・・バースヘイム王国の次の王は誰になる?」


「バースヘイム王国は王族の血筋・・・公爵がいない・・・ここ最近不幸が続いたり行方不明になったりして・・・なので次点で侯爵家・・・その中でも有力なのは・・・フレバイン家」


「ヴォーダ・フレバイン・・・今回の標的・・・」


まるで解けないパズルをずっと解き続ける感覚に陥る。イミナと共謀しているならゲームの標的をヴォーダにするのは分かる。周知の通りヴォーダとイミナは政敵・・・事ある毎にヴォーダは王の座を狙っている。既に派閥の数では圧倒的にヴォーダが上でイミナはレーズンと共に必死に抵抗していた


「もし・・・イミナ様とクオンが・・・そしたらゲームは勝ちに行くはず・・・でも、クオンが勝てば王の座はクオン?いや、ヴォーダが死んだとしても国を譲るとは・・・でも、そしたらイミナ様の立場は・・・」


「クオンがゲームに負けるとイミナ様の立場はますます悪くなる。ヴォーダはケルベロス家を退けた英雄となり権力を得て、イミナ様は攫われた国王のレッテルを貼られ・・・」


勝っても負けてもイミナにはメリットがないように思える。そうなると共謀説は成り立たないのだが、それにしては不可解な点が多い。ムサシは髪を掻きむしり苛立ちを露わにする


「こんな事なら何も考えずにクオンと戦っときゃ良かったぜ・・・俺を掻き乱して楽しいか?コジロー」


「・・・お前がクオンに劣るなら話をせずにそのまま突っ込ませたんだけどな。・・・その刀・・・『龍ノ顎』を持ってるお前が負ける姿が想像出来ない・・・つまり知らずに手加減せず当たればクオンは確実に・・・死んでいただろうな」


「・・・」


刀を持つ事が出来なかったムサシがそれを克服し、シントに戻った際に譲り受けた名刀『龍ノ顎』。二振りで完成するその刀は『剣豪』の称号を持つ者だけが使用する事が許される


「姉だったものは魔法の道に進み、妹は槍・・・最近では刀を持っているが一刀にこだわってる・・・継承したつっても消去法だ。まあ、俺が克服しなければ誰も継げずに俺の代で潰えたかも知れないから父上は喜んでいたがな・・・」


「今のお前なら殺さずにクオンを拘束出来る・・・はず」


「どうしてそこまでクオンを?」


「真相が知りたいのが表向きの理由・・・本当の理由は・・・アンズちゃんの悲しむ顔を見たくないからだ」


「・・・で、本音は?」


「密かにアンズちゃんを狙っている。あのムチムチ感は堪らない・・・俺がクオンを助けるように言ったと言い、恩を着せる事により一発・・・いや、数発・・・義兄さん?」


「・・・」


「あれ?どうした?義兄さーん」


コジローは固まるムサシに近付き目の前で手を振った。どうやらムサシの瞳には何も写っていないと知るとコジローは首を傾げる


「・・・クオンより先に倒すべき相手がいた・・・」


「なに!?そいつは何処にいる!?ムサシ!」


「・・・目の前だ」


ムサシはゆらりと身体を動かし『龍ノ顎』を交差させて間合いを詰める。コジローの額からは冷や汗が、ドッと吹き出し小籠包を取ろうとする箸が止まる


「・・・義兄さん・・・」


「誰が義兄さんだ!!誰が!!」


ムサシとコジローの激しい死闘が今始まる──────






「フン・・・騒ぎおって・・・で、先程の話は本気ですかな?レーズン殿」


ヴォーダが自室の部屋の窓から激しく斬り合う二人を見下ろし呟くと、振り返り部屋の中央で佇むレーズンを見た


「それしかあるまい・・・今のバースヘイムは圧倒的に戦力が足りない」


「はっ、陛下が攫われ他国に頼るか・・・それも攫った奴と懇意にしていた国を・・・バースヘイムも地に落ちたものだ」


「地に落ちた?大陸に中央にある故に軍事力を持つと周辺諸国を刺激してしまいかねないが故であろう・・・農業を発展させ、大陸中に輸出する事により平和を保っていたのだ・・・武力に劣るのは仕方なかろう・・・それともヴォーダ殿は軍事推進派だったか?」


「まるでそれでは食糧を提供するから見逃してくれと言っているように聞こえますな・・・食糧を投げつけて敵が逃げてくれるならまだしも・・・たった5人の輩が攻め込んで来るだけと言うのに他国を頼ってはそう見られても仕方ないでしょう?」


「敵と言うが、今回は不測の事態・・・常時敵の危険に晒されているのなら分かるが、誰にも読めぬ事態に陥ったのだ・・・友好国に頼るのも自然の流れと思うがな」


「それならば隣国は隣国でもディートグリス王国に頼るべきでは?それならば納得出来ると言うもの」


「間に合えばそれでいいかも知れぬが、期日が迫っている。ディートグリス王国に頼ったとしても到底間に合うまい」


「一日や二日で国が陥落するとでも?」


「会議室に突然現れた所業・・・見てなかった訳ではあるまい。たった5人でも貴殿の命を守れる自信はない・・・下手をすれば数秒で終わるぞ?」


「・・・それで?」


「なに?」


「まさか本当にあやつらの言う通りワシが死んだら国を明け渡すおつもりか?宮廷魔術師レーズン・ジャナシード殿は」


「・・・奴は女王陛下をゲームとやらに参加したら返すと言っておった。逆を言えば参加せねば女王陛下の御命が・・・」


「戯けた事を抜かすな!レーズン・ジャナシード!!私の命は当然として、たとえ女王陛下の命であろうと国と天秤にかけられぬのが何故分からん!」


レーズンは混乱する。ヴォーダは権力欲しさに何でもする権力の権化・・・更に自分の命を何よりも優先する男と認識していた。現に会議室の騒動の時は自分が標的に選ばれ酷く動揺し醜態を晒していた・・・にも関わらず今言った言葉はまるで国に仕える者の模範的な解答であった


「・・・なれば何がなんでも止めねばならん・・・その為にシントの力は必要ではないか?」


「老いたな・・・仮にシントと奴がグルだった場合・・・今回乗り切れたとしても国が乗っ取られる・・・そう思わないのですかな?」


「だからそれは・・・」


「不毛な言い争いはやめましょう・・・私はシントを信用していなかった・・・それだけ覚えておいて下さればそれで構いません・・・ご勝手にして下さい」


何度も言い争ってきた内容に飽き飽きしたのか、ヴォーダが折れた形で決着が着く。結局守らなければならないヴォーダは頑なに守られる事を拒否した為に厳しい戦いになるとレーズンは覚悟するが、シントの者達・・・コジローとムサシ・・・それにフウカに力を借りれる事になりホッと胸を撫で下ろす


レーズンが部屋を出た後、一人窓の外で戦う2人を眺めていたヴォーダに訪ねて来た者がいた。ローブを深く被り怪しげな者に気付くとヴォーダを即座に膝をつく


「お越しになるとは露知らず・・・失礼致しました」


「よい・・・して、首尾は?」


「はい・・・言われた通りにレーズンめにはシントを頼るのは構わないが、こちらは認めてないと伝えておきました。公文書に残すのも承諾済みです。シントからはコジロー、ムサシ、そしてフウカなる者が参戦する模様・・・元国王のシンはどう出るか不明です」


「フン・・・まあいい・・・邪魔なレーズンを退けさせ、イミナも・・・残るはケルベロスのみか・・・」


「奴は本当に5人で来るのでしょうか?実は魔物を扇動して・・・」


「それはそれで最高ではないか。ケルベロス家は元より人に仇なす害悪・・・それを広く喧伝出来るよい機会になる」


「しかしながらそれでは・・・私が・・・」


「安心しろ。貴様はイミナに変わって王になる男・・・決して殺させはしない・・・アジトの地下室にいれば見つかりはしない・・・その中に好きなだけ若い女を連れ込めばいい。王族は子孫を残すのも重要な役割だぞ」


「は、はい!・・・し、しかし奴は隠れるなと・・・」


「代わりを用意している。抜かりはない」


「ありがとうございます!ありがとうございます!何から何まで・・・貴方様はバースヘイムの救世主です!」


「救世主?・・・違うな。ただの聖職者だよ・・・」


ローブの男は感情のない声で言うとレーズンの部屋を出た。残されたレーズンは立ち去るのを確認するとニヤリと笑い執事を呼び出す


こんな時の為にリスト化していた見目麗しい女性・・・その中にはイミナの名前も書いてあったが、ペンを取るとその名を消した


そのリストを執事に渡すと椅子に腰かけ、部屋を見渡す


「もう・・・この部屋に戻って来る事もないだろう・・・ぐふふ・・・」


溢れ出る抑え切れない欲望が不気味な笑みを浮かべさせる。外からは今だに剣戟の音が聞こえてくる。その音がヴォーダの気持ちを更に高揚させていった


「フウカとか言ったな・・・あの娘も・・・ぐふふ・・・」


会議室で見かけてから会っていないが、その時目に焼き付いたフウカの姿を想像しまた不気味な笑みを浮かべるヴォーダだった──────




ローブの男が街を出て西に向かうと小屋があり、その小屋の中に入ると1人の少女が出迎えた。テーブルの上で頬杖をつき、ニヤニヤと笑いながら出迎えた少女にローブの奥で怪訝な顔をする


「何か?」


「そんな格好で良く出歩けるな~っと思って」


「・・・国の中枢に入り込んでいる・・・女王が居ない今、不審がる者も居ない」


「不審がるのは国だけかな~?それとも油断しちゃってる~?」


「なに?・・・まさか!?」


ローブの男は慌てて小屋の外に出て辺りを見渡す。代わり映えのない森の中・・・どこにも不振な気配はなく担がれたと思い振り返ろうとすると、いつの間にか背後に少女が立っていた


「もうとっくに気配は離れたよ~・・・嗅いだことある匂いとくっさい匂い・・・バレちゃったね~アジト」


少女は頭の後ろで両手を組んで、あっけらかんと告げるとつまらなそうに小屋に戻って行く


ローブの男はその後ろ姿を見て舌打ちすると再び辺りを見渡した


「フン・・・来るなら来い・・・どうせ貴様の命は風前の灯火だ・・・ケルベロス・クオン!」


ローブの男は吐き捨てるように呟くと少女の待つ小屋に入って行く


「ぶはー・・・危ねぇ危ねぇ・・・人化覚えておいて良かったぜ・・・にしてもありゃあ・・・それに魔獣?・・・面白くなって来たぜ・・・」


木陰に隠れていた男がローブの男が去った事を確認し、止めてた息を一気に吐き出す。そして、自分と同じようにローブの男の後をつけていた存在が去った方向を見て呟いた


男はニヤリと笑うと足早に小屋とは反対側に消えて行った──────


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