表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の番犬と黒き魔女  作者: しう
『嗤うもの』
136/160

5章 11 大罪人クオン

ジメジメとした石畳の上で決まった時間に出される粗末な食事を食べ終えたクオンは冷たい床の感触に悪くないと思いながら寝そべり時間を潰していた


ムサシに対して怒ったフリをしてバースヘイム王国の最南端の港街、クリオーネを訪れた。その後クリオーネに住むテノス・テターニヤに会いに行く


ちょうどクオン達が行った時は漁に出ており、港で待っていると船首で仁王立ちするテノスが見えた


テノスはいち早くクオン達の存在に気付き、船が港に着く前に飛んでクオン達の前に降り立ち、たちまち因縁のあるシーフと一触即発・・・何とかなだめて話をする事になった


だが・・・クオンの質問にテノスは『知らない』の一点張り。結局得るものはなく、クオン達は自力でジュウベエを探す羽目になる


宛もなく探しても到底見つからないと判断したクオンはセガスに戻ったマーナに協力を仰ぐ事にした。・・・が、セガスを訪れるもマーナはおらず、レンドに聞いても戻って来ていないと言う。仕方なくカーラに探させている間にシャンドから連絡が入りムサシ達がシントに戻って来た後、すぐにバースヘイムへと戻って行ったと


クオン達は時間切れと判断し、カーラに扉を開いてもらい王都リメガンタルに先回りしムサシ達と合流。ムサシとのわだかまりが解消されぬまま女王イミナ・リンベルトと会うこととなった


そして、そこで問題が起こる


大量のゴブリンが王都前に出現し、シン達が戦っている時に颯爽と現れ戦死したバースヘイム王国軍総司令官、ヴォーク・フレバイン・・・その父親が突如現れたのだ


ヴォークに職を譲り引退したはずのヴォークの父親、ヴォーダ・フレバインは言った・・・息子が死んだのはシントから来た者達のせいだと


これにシンは真っ向から否定せず、その場に居たムサシとコジローはまたかと言う感じで頭を抱える


女王イミナがヴォーダに退出を求めるが聞かず、シンに詰め寄ろうとした時、クオンの発言にヴォーダは怒りの矛先をクオンへと変更した


怒鳴り散らすヴォーダを前に平然としているクオン。とうとう手が出そうになるとイミナの号令により2人は引き離され、なぜかクオンが牢屋へと入れられ今に至る


目を閉じゆっくりしてるとクオンの耳に石畳を叩く音が聞こえる。コツコツコツコツ・・・それは一定の速度でどんどんと大きくなり、やがて一番大きく聞こえたタイミングで音は鳴り止む


音の出処はおそらく靴。それも貴族など上流階級しか履くことの無い木靴が石畳を叩く音


クオンは目をうっすらと開けるとそこには予想通りの人物が立っていた


「女王様がこんな所に何用で?」


「珍しいものが見れると聞いて」


「自分で入れといてよく言う」


「自分で入るよう仕組んでよく言いますね」


「・・・」


「・・・」


牽制し合う2人。無言の中でも探り合いは続く


牢屋で寝そべるクオンとそれを牢屋で見つめるバースヘイム王国国王イミナ・リンベルト。無言の中で張り詰める空気・・・その空気を嫌ってかクオンが起き上がりながら口を開く


「・・・で、女王様の散歩コースに牢屋が含まれてるのは分かったが、用がないのに立ち止まられると寝れないのだが」


「散歩コースにしては殺風景ですね・・・でも、その殺風景な牢屋が不思議と自由な空間に見えてしまいます・・・まるで私の方が牢屋に入れられていると錯覚してしまうほどに」


「そりゃあそうだろう。実権のない女王なんて息苦しいだけだ・・・どこに居てもこの狭苦しい牢屋より自由を感じるなんてありえないだろ?」


「・・・どこまで知っているのです?」


「何も・・・ただそう見えたしそう感じただけ・・・友好国であるシントの元とはいえ要人には変わりないシンさんと自国の国王の会談中に怒鳴り込む元軍総司令官・・・止めるべき罰するべきは誰なのか一目瞭然の中で誰も止めはしない・・・罰しもしない。あまつさえ女王様が自ら犯罪者を収容する牢屋に伴も付けずに1人ふらりと来れる環境・・・」


「仮初の王・・・いや、偽りの王とでも言いたいのですか?」


「さあな・・・まあ、俺の頭に浮かんだのはさしずめ『張りぼての女王』かな」


「張りぼて・・・フフ・・・確かに。吹けば飛ぶような存在・・・それがバースヘイム王国の国王の実態です・・・私が若くしてこの座についた経緯をご存知で?」


「知らん」


「・・・前国王であった父様と王妃であった母様は・・・熱烈なシントシンパでした。もちろんその影響を受けた私も・・・。ですが、それを望まない国民が存在しているのも知っていました。中立を気取っていれば良かったのですが・・・『出る杭は打たれる』とはよく言ったものです」


「普通、王は指針・・・王の意向は民の意向・・・ってなると思うんだがな」


「そうですね・・・私利私欲に走り、あからさまな悪政、圧政でなければ・・・民をより良い方向に導く意向であれば民は自ずとついてくる・・・私もそう思っていました。しかし、私達の想像以上に・・・大きくなっていたのです・・・もう一方の杭・・・反対派が」


「・・・地に根を張ってた反対派という名の杭が、シントシンパという名の杭が出た事によりその姿を現したか・・・そして、杭は打たれ、もう一方の杭は打たれずそのまま・・・か」


「・・・はい。父様の考えに賛同する者も多かったのですが、逆も・・・。まさか国の中枢まで根を張っているとは思っておらず、父様はあっさりと毒殺され、母様も・・・」


「犯人は?」


「分かりません。反対派はそれこそ大木のように深く広く根を張っていて・・・証拠は全く出ず、流れるように2人は病死扱い・・・私はその流れに逆らう事が出来ずに・・・宮廷魔術師のレーズンは父様の良き理解者で、何とか流される私を救ってくれたのですが、いつの間にか父様に賛成してくれていた者達も反対派に飲み込まれ・・・」


他国にも弟子がいるレーズンには真っ向から対立するのは不味いと判断したのか反対派は鳴りを潜めた。だが、所詮は多勢に無勢・・・何とかレーズンは当時のシント国国王のシンに助けを求め、友好的な関係を継続し反対派の動きを封じ込めていた


「ところが先の魔物の襲撃の折、反対派筆頭のヴォーダの息子・・・軍総司令官のヴォークが戦死・・・更に天族が魔物を追い払ったと広く喧伝し始め・・・もちろんシン殿や他の方々の手助けがあっての事・・・しかし、それをあえて伏せ、あまつさえヴォークが死んだのはシン殿達の責任だと・・・」


「勝手に出て来て勝手に死んで・・・よくまあシンさんのせいに出来たもんだ」


「ええ・・・現場にいたムサシやコジローも反論したのですが、2人はシントから出向の身・・・シントを庇うのは当然と言われてしまい・・・」


「シント側からの意見は庇っていると言い、女王様達が少数なのをいい事に一気に反対派を大きくしようとしてるか・・・」


「まさかこんな事になるなんて・・・やはり我が国は・・・どこかに肩入れすること無く中立を通すべきだったのでしょうか・・・」


大陸の中央にあるが故にどちらに傾くことなく中立を保っていた。しかし、それが傾く事により王国は揺れに揺れている・・・魔族か天族か・・・


「・・・望まない国民・・・反対派がいるのになんでまた前国王はシントに肩入れしたんだ?」


「・・・クオンさんなら・・・ケルベロス家の方ならご存知なはずです・・・父様は若い頃・・・その・・・ケルベロス家の・・・」


()()()か・・・」


「・・・ええ」


クオンが口にした名は目の前のイミナではなく、ケルベロス家の現メイド長、イミナ・スパーナの名前。イミナは分かってはいたが、自分が名前を呼ばれたような気がして一瞬身体をビクつかせる


「私の名前の由来でもあります・・・きっかけはそこからでした。父様はその・・・イミナさんに熱を入れ・・・どうすればケルベロス家のメイドと結婚出来るかなんて事ばかり考え・・・ケルベロス家とは何かと調べ始めたそうです。そして行き着いた先が500年前程の国王、イーサン・リンベルトの手記です」


「イーサン?500年前って確か・・・」


「ええ。500年前・・・人の世と魔の世が繋がった頃・・・我がバースヘイムは魔族と交流していた・・・原初の八魔、アモン・デムート様と」


「・・・」


「所々読めないところがあったらしいのですが、手記にははっきりと書かれていたそうです・・・アモン・デムートは・・・我が友だと・・・父様は衝撃を受けたそうです・・・中立を保ちどっちつかずだった国の王が・・・過去に魔族を友と呼んでいた事に・・・。それからイミナさんの事は諦め、母様と結婚し、私が生まれてからも父様はバースヘイムとシントの関係をずっと調べ続け・・・」


「イミナの事を諦め・・・か。未練が今俺の目の前に居るような気がするがな・・・」


「・・・その辺はあまり聞いた事がありません・・・もしかしたらイミナさんのように素晴らしい女性になって欲しいと願って付けなのかも・・・」


「まっ、イミナが素晴らしい女性なのは間違いないが・・・娘に名を付けるのはどうかと思うぞ?」


「・・・ですよね」


クオンとしてもイミナ・スパーナは素晴らしい女性と思っている。仕事をそつなくこなし、誰に対しても毅然とした態度。強く優しく時に厳しく・・・実の母であるリナがお務めで忙しい時は母の代わりとなってくれた女性。なので娘に名前を付けるくらいいれあげてくれた事に嬉しさを感じる反面、王妃の事を考えると複雑な気持ちになる


「・・・まあ、その辺は置いといて・・・つまり前国王は過去に魔族と交流があった事を記す書物を見つけ、自分も・・・か」


「憧れたのだと思います。その手記を読んだ時の事を話す父様は子供のようなキラキラとした目をしていましたので・・・」


「・・・話は分かった。で、話を戻そう。女王様が俺に何用で?」


「・・・・・・・・・年上は嫌いですか?」


「なに?」


「ですから・・・年上は嫌いですか?と」


「・・・女王様はわざわざ牢屋に来て囚人の性癖を調べるのが趣味なのか?」


「違います!その・・・もう・・・このままでは・・・バースヘイム王国は元に戻れません。ですから・・・荒療治と言いましょうか・・・その・・・」


「俺に王配になれと?」


「!!・・・そ、そうです・・・」


王配・・・つまり女王の配偶者になれとイミナは言う。鉄格子の前で顔を赤らめクネクネするイミナを見てクオンは立ち上がり鉄格子に近付いた


「どうして女王様はシントに固執する?それともただ父親を殺したであろう反対派に与するのが嫌なだけか?」


鉄格子越しに真っ直ぐに見つめられ、イミナは赤らめた顔を平静に戻した


「理由・・・そうですね・・・色々ありますが・・・結局は私が・・・バースヘイム王国の女王だからです」


理由をつらつらと並べるのではなく、自分がバースヘイム王国の女王だからと言い切るイミナ。クオンは真っ向からその目を見返し、しばらくするとため息をついた


「・・・分かった」


「で、では!」


「勘違いするな。反対派を黙らせる手伝いをするってだけだ。何代か前のバースヘイム王国の国王と俺の先祖のアモン・デムートは友だったんだろ?だったら俺らも友・・・それなら手を貸す事に何も不思議はないだろ?」


「しかし!」


「ただし・・・どうやるかは俺に任せてもらおう。約束はしてやる・・・女王イミナ・リンベルトに女王としての実権を握らせてやると」


「・・・なぜそこまで?それでは貴方は何も得をしない・・・」


「なんだ?女王様を嫁にすると俺が得をすると思ったのか?」


「・・・権力を欲する方は多いと聞きます・・・それに・・・私もそこまで見目は悪くないかと・・・」


消え入りそうなか細い声で呟くとイミナは再び顔を真っ赤にして俯く。それを聞いてクオンは改めて足の先から頭のてっぺんまでじっくり見ると頷いた


「確かに悪くない・・・と言うより上を探す方が大変なくらいべっぴんさんだ」


「なっ!何を・・・」


「だが、残念な事に先約がいる」


「先約?・・・婚約者でもいるのですか?」


イミナの質問にクオンは笑って返すだけだった。その態度にイミナはムッと頬を膨らませるが、クオンはすぐに話題を変え、今後の事を話し始める


「ここの冷めた飯にも飽きたところだ・・・早速行動に移すとしよう。・・・一つ気になることがあるんだが、反対派が活発になったのは大体いつ頃か分かるか?」


「えっと・・・気付いたのは10年くらい前・・・それまではそこまで活発ではなかったと思います」


「・・・10年・・・やはり・・・」


「何か心当たりが?」


「いや・・・偶然かも知れないし、いずれ分かること・・・とりあえず女王様には今後の方針を話しとく・・・今の話を聞いた限りでは──────」


クオンの今後の方針を聞き、徐々に顔を青ざめさせるイミナ。もちろん具体的な案ではなく、ただの方針ではあったのだが、その方針が、強烈過ぎた


「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい!それはあまりにも・・・」


「どうやるかは俺に任せてもらうと言ったろ?それに・・・これが最善だ」


「・・・そんな・・・」


絶句するイミナを余所にクオンは何か呟くと牢屋の中に空間の歪みが出来、その中からカーラが姿を現した


「えっ・・・どうやって・・・封じの枷は・・・」


カーラが出て来た事よりも、クオンがカーラと連絡を取ったことに驚く。投獄された時に封じの枷を取り付けているはず・・・なのにクオンが平然と外部に連絡を取ったことに驚いていた


「牢屋に入れられてすぐに壊した・・・つってもカーラがだけどな」


《クオン様は出ようと思えばいつでも出れた・・・という事です。貴女が来るまで待っているクオン様にご不便なきよう私がずっと見ておりました・・・お食事が足りなければお持ちし、性欲を持て余せば私が伽を・・・》


「おい」


《・・・残念ながら伽には呼ばれませんでしたが、貴女がグズグズしていなければすぐに出れたのです・・・恥を知りなさい》


「コラコラ」


「私を・・・待っていた?」


「・・・呼び付けておいて怒鳴り込んで来たジジイに少し暴言を吐いただけで牢屋送りだ・・・何かあると思うのは普通だろ?まあ、呼び付けた事自体が罠だったら分からなくもないが、ジジイの乱入に驚いていた様子だったから罠はないだろうと・・・」


「あの暴言が・・・少し・・・ですか?」



『話を聞く限りアンタの息子は死んだ事が1番の功績だな』



クオンの放った言葉に一瞬意味が分からず硬直するヴォーダ。その後みるみるうちに顔を真っ赤にしクオンに怒鳴り散らしたのは言うまでもない


「真実を述べたまでだ。正直に言えば、兵士を巻き込んだ時点で功績も何もない思うが・・・な」


シンから話を聞いた時は怒りを通り越して呆れた。シン達が被害を抑える為に少数精鋭で魔物や魔族の相手をしていたにも関わらず無策で戦場に飛び込み、自身のみならず数多くの兵士を死なせてしまった無能指揮官・・・生きていればもっと被害を大きくする事は明白と思ったクオンが放った言葉にヴォーダは激怒した


「あれは・・・止められなかった私の責任もあります・・・」


「そう・・・だな。じゃあ、罰として・・・」


「えっ!?」


クオンがカーラに目配せすると牢屋の中に再び歪みが出現するとクオンは両腕に歪みの中に突っ込んだ。イミナはクオンが何をしようとしているのか分からずに見ていると突如背後から肩を掴まれ、そのまま引っ張られる


「きゃあ!!」


驚き目を閉じて叫び、しばらくしてから目を開けるとそこには先程まで見ていた鉄格子・・・しかし、違和感を感じて振り返るとそこにはクオンが居た


「えっ・・・ええ!?」


「どうだ?自由な空間は」


さっきまで見ていた牢屋の中・・・そこにいつの間にか入ってしまってる事に驚きを隠せない。クオンはそんなイミナに微笑みながら言うと、突然鉄格子を蹴り始めた


ガンガンと音が鳴り響く。当然見張りの者がその音に気付きやって来ると衝撃の光景を目の当たりにする


「うるさいぞ!・・・なっ!?・・・女王陛下!?」


女王であるイミナがここに居ることだけでも驚きなのに、何故か牢屋の中で囚人であるクオンに捕らえられている事に理解が追い付かなかった。急いで牢屋の鍵を確認するが施錠はされている


「どういう事だ?・・・くっ!・・・みんな!!起きろ!!女王陛下が!・・・女王陛下が!!」


牢屋の見張りは退屈である。能力は封じられ、頑丈な鉄格子に閉じ込められている為に囚人が逃げ出す事は不可能に近い。外部から囚人を助けようにもここまで来るのも至難の業の為にここ何百年で牢屋が破られた事は1度もない。なので見張り役は囚人への配膳が主な仕事となり、その他の時間は自由・・・ほとんどの者が寝て過ごしたり、カードゲームに勤しんだりしていた


クオンの鉄格子を蹴る音で起こされた見張りは大声で他の見張りに救援を要請・・・何事かとゾロゾロ降りて来た見張り役の数がある程度揃った事を確認すると、クオンはイミナを抱き抱え薄ら笑いを浮かべる


「油断したな、バースヘイム王国の兵士達!女王を返して欲しくば俺にこの国を寄越せ!そうすれば解放してやるよ!」


「・・・クオン・・・はん?」


先程までと様子が違うクオンに振り向くと片手で頬を摘まれるイミナ。見張り達はそれを見て事の重大さにようやく気付く


「は、離せ!!陛下に対してなんと無礼な!!」


クオンに向けて槍を構えるが、人質にされたイミナが邪魔で突く事が出来ない。焦る見張り達を余所にクオンはカーラに目配せすると牢屋の中に歪みが出現する


「なっ!・・・なんだアレは・・・」


「三日後・・・国を貰い受けに行く。それまでに準備しておくんだな」


クオンはそう言うとイミナを抱き抱えたまま歪みに向かい歩き、そのまま歪みの中に入り消え去った。騒ぐ見張り達を後目にカーラもまた歪みへと入り、牢屋の中には誰も居なくなる


「・・・俺ら・・・クビかな?・・・」


「馬鹿野郎!!それどころじゃねえ!!女王陛下が拉致されたんだぞ!?しかも交換条件が・・・国・・・これはもう・・・国家存亡の危機だ・・・各所に連絡しろ!!寝ている奴は叩き起こせ!不眠不休で探すんだ!!大罪人、クオン・ケルベロスを!!」


「は、はっ!!」


見張り達の中で最も経験の長い者が他の見張り達に命令すると、全員顔を青ざめながら返事をし走り出す。命令を出した者は牢屋に残り、しばらく誰も居ない空間を睨み付けると歯ぎしりしながら呟く


「必ず・・・お助けします・・・女王陛下」


男は誰も居ない空間に一礼すると足早にその場から立ち去る


こうしてバースヘイム王国の長い長い三日間が始まった──────

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ