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最強の番犬と黒き魔女  作者: しう
『拒むもの』
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1章 プロローグ

森の中をゆっくりと進む馬上に1人の男が手綱を持ちながら寝ていた


馬が動く度に上下に揺れ、その振動が心地良かった


木漏れ日の中、馬が森の中の泉を発見し、ここぞとばかりに喉を潤す


首が下がった事により、馬上の男は本能的に落ちまいと身体を仰け反らせ、そのタイミングで目が覚めた


「ん・・・あ?」


顎にまで達したヨダレを拭いながら周囲を見渡すと、見慣れない風景に自分が何をしていたのか思い起こす


次第に寝惚けた頭が起き始め、共に行動していた者達の姿を追う


何も気配を感じない事に置いていかれたと判断した男は水を飲み終わった馬を走らせた


しばらく走らせると何か争っているような喧騒、その中から誰かの声が響いた


「逃げ・・・誰か助けを呼んで来てくれ!」


叫んだ男は逃げろと言いかけたが、言い直し救援を頼むと言うと、言われた女がギュッと目を閉じ「分かった!死なないで!」と返事をして走り去る


「はあ・・・コイツらには喰われることはないのかな?でも・・・運ばれて・・・」


逃げ切れた事を確認し、安物の剣を引き抜くと構える


周囲には人間と同じ大きさの蟻がギチギチと音を鳴らして徐々に間合いを詰めてきていた


「こ・・・怖いなぁ・・・」


剣を持つ手が震え始めその震えが全身に回る頃、蟻は目と鼻の先まで近付いていた


そして左右に顎を開き、その奥まで見えた時、男は死を覚悟する


「・・・あ・・・」


最後なんて呆気ない。何も言葉も残せず、何もやり遂げられず、何も・・・


頭の中が真っ白になった時、周囲に一陣の風が吹き荒れる


その風は蟻達を一方的に破壊し終えると何事も無かったように消え去った


男は何が起こったのか分からずにその場にへたり込むと何かの気配が近付いて来るのに気付きそちらに振り向いた


「大丈夫か?」


街では見かけたことの無いその男は抜き身の片刃の剣を片手に持ち微笑みながら歩みを止めた


そこでようやく気付く・・・助かったのだと


「あ、ありがとうございます!ありがとうございます!」


安心感からか突然涙が溢れ、目の前の男の足にしがみつくと感謝の気持ちを叫んだ


「あ・・・」


しがみつく男の叫び声で乗ってきた馬が驚き走り去る。追いかけようとするも、しがみついていた男に邪魔されてその場で馬を見送るしか出来なかった


ようやく落ち着いた男が涙を拭いながら立ち上がり、改めてお辞儀をしながら感謝の言葉を述べる


「いや、気にするな。たまたま通りかかっただけだ」


「いえ!是非お礼を・・・あっ、失礼しました・・・僕はレンド・・・レンド・ハネスと申します。貴方様は・・・」


「ああ。俺はクオン。たった今無一文になった男だ」


「え?」


意味がわからず呆けるレンドの前で、これからどうするかと考えるクオン


こうしてクオンの波乱に満ちた旅が幕を開けた────


1時間毎に1話ずつ更新します

よろしくお願いします


今日の更新が終わりましたら3日ペースくらいで考えています

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― 新着の感想 ―
[良い点] 巨大な蟻、いいですよね! [気になる点] 巨大な蟻に咀嚼されたくは無いですね、 無事に切り抜けられるのか? [一言] 逃げた馬も咀嚼されて無ければよいのですが。
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