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憧れの後輩 Aちゃん   作者: 下山平兵衛
1/1

[1日目]

"風に揺れて緩やかなカーブを描く栗色の髪、透き通るような真っ白な肌、小さい顔にぎゅっと詰め込まれた大きな目と軽くスンとした鼻に小さめの形の良い唇、小柄ながらすらっとした手足"


全てがタイプだった。全てが私とは真逆だった。

脂ぎってギトギトした髪、霞み切った肌、無駄に余白部があって真ん中にちょんちょんと一重の目に分厚い唇、肩幅が広くゴツゴツとした手足。何で私はこんなにも醜い容姿なんだろう。何故こんなにも差があるんだろ。私が一体何をしたと言うんだ。

性格にしても正反対だった。私は、この醜い容姿のせいで散々嫌な思いをした。だから基本的には他人とは接さないスタンスだ。それに比べてAちゃんは人懐こっくて誰からも可愛がられるタイプだった。常にAちゃんの周りには人が沢山いた。素直に羨ましかった。素直に憎かった。だから、私はAちゃんになる事にした。真似をするのではない、成り切るでもない。Aちゃんになる、のだ。そう決めた時から毎日欠かさず観察し続けた。手っ取り早くなるには、見た目から入るのが一番。だが、それは出来ない。あんなに沢山の洋服も持ってないし化粧品も持っていない。あんなに綺麗な栗色の髪にも出来ないし、キラキラとしたネイルも出来ない。だって、お母さんが駄目だっていうから。お母さんの言うことは絶対だ。逆らうなんて出来ない。お母さん曰く化粧してネイルしてキラキラしたアクセサリーを着けるのはチャラチャラしてみっともないらしい。それに幾らお金掛かるの?と怒られた。Aちゃんは別にチャラチャラしてないけど、、。駄目なものは駄目みたい。だから、見た目は成り切れない。でも、どうしてもAちゃんに成りたい。お金を掛けずに、、。ああ、そっか。着飾ってる物だけが見た目じゃないんだ。喋り方と仕草と歩き方を変えたら良いんだ。序でに利き手も変えよっか。私はその日の夜から毎晩徹夜で左手で字の練習を始めた。部屋の壁に向かって喋り方の練習も始めた。Aちゃん専用のノートを作りそこに特徴を箇条書きにし、近づける方法を研究する事にした。


≪喋り方≫

・声のキーは高め。

・少し早口

・だけどゆっくり喋る

・声のボリューム小さめ

・か細く

・少し滑舌悪く


≪仕草≫

・笑う時は片手を口元にあてる

・考えことする時は左手の人差し指を第二関節まで曲げてそのまま下唇に充てがう。


≪歩き方≫

・摺り足気味

・猫背

・覇気を出さずに

・気怠げに

・足幅小さく

・遅歩き


≪利き手≫

・基本、何でも左手で

・字を書くときは手を巻き込む



今思い出す限りの特徴を書いてみた。我ながら、観察力が凄いと思う。でも、まだまだ探していけば特徴は山ほどあると思う。その特徴を一つ一つ熟せば絶対にAちゃんに成れる。全て難なくこなせた時は私がAちゃんに成った時だ。今日は、取り敢えずここまでにしとこうか。明日からはもっと気合を入れて観察し続けよう。



私がAちゃんになるまであと、、××日。

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