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婚約破棄から幸せへ  作者: 某某
番外、他視点、後日談
7/11

注ぎ方を誤った愛+おまけ

前話の関連



『おとーさま!』


『何だ、ミーナ』


『おべんきょー、たくさんできるようになりました!』


『・・・・』


ああ、可愛いな、俺の娘。

褒めてほしそうに頭を強調するような体勢で、俺に擦り寄ってくる。

いつも通り、反射的に手を伸ばしかけるが、すんでのところで踏みとどまる。

いかん、このままでは娘は思い上がる。妻と話し合ったばかりではないか。

当時の俺は、そんな馬鹿なことを考えていたわけで。


『その程度、俺の娘ならば当然だ。あまり調子に乗るな』


『おとー・・・・さま・・・・?』


悲しそうな目。やめてくれ愛しい子よ。全てはお前の将来の為なのだ・・・・!

心を鬼にして、俺は言葉を続けた。


『思い上がるなよ、その程度のことでは駄目だ。精進しろ。何か明確な成果を見せたとき・・・・まあその、なんだ。存分になでなでしてやるから・・・・』


後半になるにつれ、非情になりきれず語気が弱まってしまった。だって、可哀そうだったし。


『・・・・!』


何か悟ったような表情をして、コクリと頷いたイルミアナ。


『いままでいじょうにがんばればいいのですね』


その言葉通り、娘は今まで以上に努力を重ねる子になっていった。

数日後のことだ。


『おべんきょー、またすすみましたよ!』


『その程度当然だ』


『・・・・はい』


残念そうな表情をしたかと思えば、次の瞬間にはやる気に満ちたものに様変わり。

俺が冷たくあしらえば、目に闘志の炎を滾らせた娘が自分の部屋へ戻っていく。その繰り返しだった。


『おべんきょー、みんなのなかでいちばんになりました!』


『・・・・マジで?』


どうやら同年代の貴族の息女の中で、一番学力高くなっちゃったらしい。この子。

流石にこれは褒めてもイイよね・・・・。

最近娘をほめる回数を自らめっきり減らしてしまった俺は、娘の頭に触れられないことから、大変飢えていた。

具体的には、腕の震えが止まらず、娘の甘えた顔を毎夜夢に見るようになった。

一種の禁断症状だったと、俺は思うね。


『よく頑張ったなぁ!偉いぞっ!』


思いっきし、わしゃわしゃと頭を撫でてやる。

イルミアナは、一瞬何をされているか理解できない、という顔をして、


『やった・・・・!ほめてもらえたっ』


嬉しそうに顔を緩める娘を見て、どれだけ必死に、この子が甘えたい気持ちを我慢していたか思い知った。

厳しく躾けはしても、もう少し褒める頻度は増やそう。

そうしないと、俺もイルミアナも持たないだろう。特に俺。下手すれば禁断症状悪化して死んじゃうかもしれないよ。

他にも、


『ミーナ、お前の容姿は凡庸だ』


『よーし?ぼんよう?どういうことですか、おとーさま』


『別に言うほど可愛くないということだ。お前は可愛くなどない。『普通』だ。いいな?お前は、可愛くない。お前を可愛いとはやし立てる者がいても、あくまでお世辞だ。本気じゃない』


『わたしは、かわいくない・・・・』


『そうだ』


もう最後には半ば洗脳に近いこともしてたと思う。

本当はこの世のどんな存在より愛らしい娘だったが、自分の容姿に自信を持ちすぎて他者を見下さないか不安になった。

それならば、端から己の容姿が周りより劣ったものであると、思い込ませればいい。

当時の俺は、この発想天才じゃん!なんて思っていたが、今思い返せばあまりに娘が不憫だ。

将来に目を向けすぎて、目の前にいる小さな我が子への配慮が疎かになっていた。

それでもひねくれずに育ってくれたのは、教育云々以前に、娘が生来持ち合わせた性質がよかったのかもしれない。本当に悪いことをした。


親父に悪気はない。無い頭を振り絞って、娘の将来を案じた結果、ああなったのだ・・・・!


感想っ!ありがとうございました!

ブックマーク件数も増えて増えて・・・・評価ももらえて・・・・!

有りがたき幸せでございます。


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