真の愛は、知れば知るほど温かい
もうこれはおかしい。誰か僕のPCにウィルス送り込みませんでしたか?
ブックマーク件数増加に、日間ランキングの急上昇。さらにはお気に入りユーザーに登録してくださっている方も・・・・。
誰か僕のPCにウィルス送りましたよね?(再確認)
「だってそうでしょう?愛しているだなんて、そんな」
「やっぱり、あなたは私を愛してなんていなかったんですね・・・・」
声に、意図せず落胆が混じっていました。最初から、わかっていたはずなのです。彼が、私を愛してなどいないことなんて。
でも、理解することと、感情が受け入れることは、別物です。体が、震えてしまいました。
「そんなわけないでしょう。・・・・もう耐えられない」
「え?」
もう、耐えられない?私との、生活が?
これから言われるだろう言葉を、予想しました。それはきっと、私たち二人の別離を意味する言葉――――――――
「よっしゃアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「え?えぇ・・・・?」
――――――ではありませんでした。思わず困惑した声が漏れます。何故、旦那様はガッツポーズで叫んでいるのでしょう。
「今の言葉、嘘ではありませんよねっ!?」
「は、はひ・・・・」
急なリアクションに驚いて、私の呂律は正しく回りませんでした。
「やっと、やっとです!あなたの心が!あなたの心が!手に入りました!!これで、心身共に、あなたを手に入れることができたっ・・・・!嘘では、嘘ではないんですよね!?」
どういうことなのでしょうか?私は、求婚された時と同じかそれ以上に混乱しました。これではまるで、私が告白したことを喜んでくれたかのようで、
「旦那様は、私を愛してくれているのでしょうか?」
何度も考えた疑問。彼の真意は別にあるのでしょうか、それとも、私を心から愛してくれて、求婚してくれたのでしょうか。
「当たり前です!何度も言っているじゃないですか」
「だってそれは、何か打算があって・・・・」
「もちろんありますよ。あなたの心が欲しかったから。立場としてではなく、心から夫婦として、あなたをこの家に招き入れたかったから」
「ほ、他には?何かあるのでしょう!?家柄に関係することとか・・・・それからっ、それから・・・・!」
「家柄に興味など端からありませんよ。ただわたしは、あなたと共にありたかったから、あなたに求婚したのです」
「私なんかの、どこが・・・・」
「そういう、自意識の低いところ。嫌いではないですが、あまり好ましくもないです。あなたはこんなにも、魅力的な女性なのに」
「・・・・意味が分かりません。求婚された時から、今日まで。あなたが何を考えているのか、ついぞわかりませんでした」
「ならば、教えて差し上げます」
「んむっ!?」
一瞬何をされたのか、わかりませんでした。強く引き寄せられたのに気付いて。そしてすぐに、自分が口づけされているのだと気付きました。羞恥で顔が真っ赤です。
至近距離に、綺麗な顔立ち。反射的に突き飛ばそうとしましたが、強く抱きしめられ、敵いませんでした。触れるだけのものなのに、彼の熱がたくさん伝わってきました。しばらく抱きしめられたまま、数十秒後、やっと解放されます。
「な、な、な・・・・!」
「こういうことです。一年前、いや、もっと前か。・・・・あなたを初めて見たときから、ずっと惹かれていました。もうすでに、ディードリッヒの婚約者となっていたあなたは、近くにいるのに、触れることも許してくれませんでしたね」
「・・・・伯爵を裏切る訳にはいきませんから」
下手に誤解を生んで、関係を壊したくはなかった。結局、私が至らないばっかりに、婚約は破棄されてしまったけれど。
「あなたはいつも、アイツのために一生懸命でしたね。友人に自分が新たにできるようになったことを嬉々として語っているときなんて、それはもう愛らしくて。他者の為に努力し、尽くす姿が、あなたの魅力なのだと感じました。あなたのような努力家で、優しくて、可愛らしい人に尽くしてもらえるなんて、それこそ夢のようなことなのに、ディードリッヒはそれがわかっていなかった。本当に羨ましかったです。だから、こんな風に言ったらあなたは傷つくかもしれませんが、アイツ自身の脆いプライドのおかげで、私は、イルミアナ。これから私の妻になる人と、結ばれることができた」
この人は、きっと、本当に私を愛してくれている。今の彼の言葉に、表情に。偽りがあるとは思えませんでした。この人と、共に歩んでいきたい。そうすればきっと、幸せで、温かい家庭を築ける。確信にも似た予感がありました。
「・・・・信じていいんでしょうか?」
「もちろん。この世の誰よりも、あなたを、イルミアナ・イミラウスを愛しています」
「ありがとう、レイダス。私も、あなたをこの世で一番愛しています」
「二番も三番もいませんよ。この世で真に私を愛してくれてるのは、あなただけだ」
「・・・・レイダス」
うっとりと、最愛の人の名を呼びます。そういえば、ファーストネームで彼を呼ぶのは、初めてでした。彼はそれに気づいたようで、本当に嬉しそうに、声を漏らしました。
「ああ、私の最愛の人。初めて名前を呼んでくれましたね」
「夫婦になるんです。いつまでも、他人行儀じゃいけません」
恥ずかしくて、普段なら言えなさそうな言葉でしたが、雰囲気に任せて、なんとか口にしました。とはいっても、目を直視できず、顔を横にそむけてしまいましたが。
レイダスは、そんな私を見て、
「ああ、可愛いっ・・・・。もうずっと、あなたのことしか考えられなかった。遠くにいたあなたが、今は隣にいてくれる。こんなにも、嬉しいことはない」
ぎゅーっと抱きしめてきます。苦しいくらいの愛情に、胸で渦巻いていた感情が爆発しました。
「だいすきっ」
その後のことは、ここでは言うのも憚られるようなことでした。なので、結末だけを簡単に。
私たちは、本当の意味で夫婦になりました。
ご拝読ありがとうございました。
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