第二話
ある男が立ち、大内が揺らぎ始める。
大内義興のマブダチ、足利義稙を助けるため、
室町高校へ殴り込みをかけた大内方のヤンキーたち。
その抗争のさなか、毛利元就の兄、興元が重症を負ってしまう。
興元はこのケガが遠因となって亡くなった。
元就は兄を抗争に巻き込んで死なせた、大内義興が許せないでいた。
そして室町高校殴り込みの後、殴り込みに参加したヤンキーたちに、
とある異変が起きていた。
ダチの1人:吉川国経
なあ、最近さ。校内の様子おかしくね?
尼子方の連中、なんだかよくまとまってるっていうか。
ダチの1人:熊谷信直
たしかに、吉川の言う通りかもしれねえな。
それに大内義興、調子乗ってね?
マブダチのため、とかなんだか知らねえけど、
殴り込みに駆り出されるの、正直ダリーんだよな
兄貴を殺されちまった、元就の野郎は酷だぜ。まったく。
異変とは、そう。
大内義興への不信感だった。
自分の事しか考えない大内の態度に嫌気がさしていたのだ。
この“嫌気”を尼子経久も察していた。
尼子経久
大内義興を慕う連中、最近様子がおかしいな。
これはチャンスかもしれねえな。
尼子経久は行動を開始した。
殴り込みで疲弊した奴らに甘い言葉をかけ、
尼子方に引き込むためである。
放課後に元就は、尼子経久に呼び出された。
下駄箱に手紙が入っていた。
毛利元就へ
お前も大変だな。
兄貴をヤられちまって。
ところで、ちょっちいい話があるんだ。
16時に体育倉庫で待ってるぜ。
経久より。
元就は体育倉庫に向かった。
するとそこには、見知った顔がたくさんいた。
吉川国経
おお。元就じゃん。
お前も来たのか。
吉川国経をはじめ、大内義興に加わって、
興元と親しくしていた連中が集められていた。
尼子経久が口を開いた。
よし。みんな集まったみたいだ。
なあ、単刀直入にいう。
大内義興、みんなどう思うよ??
興元のダチだった宍戸元家が言った。
うぜぇ。
調子にのってやがる。
殴り込みだの何だのって。
駆り出されるのは俺たちじゃないか!!
みな口々にいった。
そうだそうだ!!
この様子に尼子経久笑みを浮かべた。
よしよし。
お前たちの気持ちよくわかるぞ。
辛いことがあったら、遠慮なくこの尼子経久に言ってくれ。
力になるぜ。
この集会の裏には、何か企みがある。
毛利元就は、ただならぬ何かを感じていた。
また、抗争が始まる。
第二話 尼子経久が動く 完