第一話
ここは、中国学園高校。
そう。中国町の不良たちが進学する、いわばヤンキー高校。
不良たちの夢、それは学園制覇だ。
この学園の不良たちには、喧嘩の強さごとに階級と派閥のようなものがある。
不良たちはそれぞれ、自分の喧嘩の腕前を信じて上を目指す。
上の上まで昇りつめ、ここに集う荒くれものを、己の力でねじ伏せ、従わせる。
それが学園制覇だ。
そんな学園に1人のヤンキーがいた。
2年生で名前は毛利元就といった。
毛利元就の胸は、復讐心に燃えていた。
なぜなら、1年生の秋、こんな事件があったからだ。
今、学園を取り仕切っているのは、3年生の尼子経久と大内義興の2人で、
学内では大内派と尼子派による抗争が続いている。
当時、尼子経久と大内義興、二人の学年は2年生だった。
その年の秋、大内義興がこんなことを言い出した。
俺の中学生の頃のマブダチに、足利義稙ってやろうがいるんだけどよ。
そいつは今、室町高校にいるんだが、どうもいじめられているらしいんだ。
俺はやつをいじめている、やからが許せねえ。
ぶっつぶす。
結局、中国学園の2年生の中から喧嘩上手が選び、
室町高校に殴り込みをかけることになった。
2年生には毛利元就の兄、興元がいた。
興元は喧嘩が強いというわけではなかったが、
大内義興とは中学からの仲で、縁が深かった。
室町高校殴り込みの一週間前、毛利興元に大内義興から話があった。
義興:おい、興元。喧嘩ってのは数が多いほうが有利だよな?
おれのダチ、足利義稙を助けてやってくれないか?
今は、お前の力が必要なんだ。
興元:義興さんの頼み、断れないっすよ。
義稙さんをいじめている奴ら、ぶっ潰しましょうよ。
本心は違った。
興元は喧嘩があまり好きじゃなかった。
しかし、大内義興には逆らえない。
毛利興元は後輩ヤンキーたちから慕われていて、
いわばそのまとめ役になっていた。
大内義興は毛利興元を殴り込みに参加させることで、
校内での勢力拡大を図ったのだ。
殴り込みの前日、毛利興元は弟の元就に言った。
興元:元就、今回は激ヤバだぜ。
室町高校の奴ら、そうとう強いらしいんだ。
それに、義興さんもマブダチのためとありゃ、、
今回は死ぬかもしれねえ。
元就、後を頼む。
元就:兄さん。どうか、ご無事で。
そして、殴り込み当日がやってきた。
大内義興を先頭に、室町高校の校門を蹴破り、教室に殺到する。
おいおい。てめぇら。
よく聞きやがれ。俺は、大内義興。
この中に、俺のマブダチの足利義稙をいじめてる野郎がいるって聞いたんだが、
そいつは誰だ? おい!! 返事しやがれ!!
大内義興の怒声に、一人の男が応じた。
俺は、室町高校のサブリーダー、細川政元。
やるんだったら受けてたつぜ。
よかったなあ、義稙。
テメエみたいなクズを助けに来るような馬鹿と友達で。
アハハハハハハハッツッツッツッツ
かかれぇぇぇ!!
取っ組み合いが始まった。
死人がでるような、壮絶な喧嘩だった。
喧嘩は大内方がやや優勢のまま終わり、足利義稙へのいじめの中止を条件に、
室町高校との和解が成立。ことは終わった。
毛利興元は瀕死の重傷を負い、殴り込みの翌日。
元就、もう、限界だ。
おれは。もぉ、、。
興元は死んだ。
兄さーーーーーーーーーーーーぁぁぁん!!
毛利元就は誓った。
いつか必ず、兄の敵を打つ。
そして、学園の覇者となり、この果てしない喧嘩と抗争に、俺は、、
非離雄怒を打つ。
第一話 義興と元就 完