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【予知夢】

 「プー」久野は真っ暗になった意識の奥底で、その音を遠くに感じていた。やがてその音が近づき通り過ぎていった。


 「千里」と言う声と同時に肩を揺さぶられた。久野が目を開けると左には海が広がっていた。回りを見ると、久野は車の後部座席に座っていた。


 「ここは……」と久野が言うと、隣りに座っている友人の末次が「何寝ぼけてんだ、そろそろ着くぞ」と言った。「あぁ」久野は友人の末次が持つクルーザーで遊ぶ為、クルーザーのある葉山へ向かっていた。その車中で、いつの間にか寝てしまったらいし。


 マリーナに着き、久野達はクルーザーへと乗り込む。末次が「ほいじゃ~行きますかぁ~」とクルーザーを出した。


 動き出したクルーザーの中で、久野は夢の事を考えていた。「夢とはいえ死ぬ夢とは…… あまり縁起の良い夢じゃないよなぁ~ でも、晴夏さんは可愛らしい人だったなぁ~」


 「それにしても何であんな夢見たんだ? 俺が千の利休って、確かに中学のころ、久野千里って名前から、並べ変えると千の利休だってからかわれたけど……」


 「ん? 長田伸夫も並べ変えると……」そんな事を考えているとダイビングスポットに到着した。


 久野達は準備をして、海へと飛び込んだ。沖は浅場に比べて水温が低かったが、シロオビコダマウサギやスミズメミノウウミウシ等が見られた。


 更に潜り続けると、トチザメ、ミノカサゴ、ヒラタエイも姿を見せてくれた。ある程度、海を満喫したところで末次が親指を立て上を指した。


 海面へと上がって行く末次の姿を目で追いながら久野は「もう少し楽しみたかったなぁ~」と思った。「しょうがない、上がるかぁ~」と上がろうとする久野の足が急に重くなった。


 久野が足の方に目を向けると、足元には人影が。その人は海中にも関わらず、マスクやレギュレータだけで無くタンクも背負っていない。 久野は『人間じゃない?』と思い急いで浮上しようとするが、それが足を掴んで離さない。


 もがく久野のマスクからブクブクと泡が漏れ、海面へと上がっていく。久野を掴む手が、徐々に太もも、腰へと上がってくる。やがて肩を掴まれると、久野の目の前に顔が……


 久野はその顔を知っている感じがした『こいつは、ここへ来る途中の夢に出て来た…… あぁそうだ、こいつはあの時の……』


 久野は『こいつは吉法師の見舞いにきた占星術師ルキフェル…… 朱雀の研究をした軍の研究所に居たルシフェル博士……』と思い出した。


 そいつは久野の顔を覗き込みニヤッと笑うと「これでまた動きだす……」と言った。そして「もっと私を楽しませてくれ」と言った。薄れゆく意識の中で久野は悟る『全てはこいつの仕業だったのか……』



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