【新天地】
宇宙船の窓からは、青い星が姿を現した。久野は『この窓からの風景はテレビで見たことがある…… 地球だ!』と思った。
抛筌斎達は、この星に降りてみることにした。降りたつと、そこは故郷の星に似て、水と緑と光溢れる星だった。この星の人類は原始的で能力も持っていなかった。
抛筌斎達は、出来るだけこの星の人類に干渉しないよう能力者だけの国、アトランティスを築きあげた。しかし時が経つに連れ、外の世界に興味を抱く者が、アトランティスを離れ外の世界と交わった。ある者はキリストと名乗り、人類を平和へと導いた。
抛筌斎達は、残りの人生をこの星で家族と幸せに暮らした。抛筌斎は人生の膜を閉じるようとしていた。抛筌斎は枕元に子供を呼ぶと、小さいころから幾度となく話してきた、トリニティへの能力の過信から故郷の星を滅ぼしてしまったこと、また違う星の人々の前でトリニティの能力を見せてしまったがために、その星から逃げなければ成らなくなったことを話した。改めて話しを終えると、闘いへのトリニティの使用を禁じ、それを子供に引継いだ。
久野の脳裏に、抛筌斎として生涯が駆け巡って行った。その人生の膜を降ろすとき、愛する家族に看取られ久野の心は満たされていた。やがて久野の視界に暗い闇が訪れた。
抛筌斎の死後、トリニティを引継いだ者の中には素戔嗚尊と名乗り、トリニティで出現させた朱雀を倒して見せた者もいたが、それいらい朱雀の姿を見た者は居なかった。人類と交わり、血が薄まる事で、能力も薄れてしまったのだろう。
トリニティを引継いだ者の内、何人かは朱雀を呼ぶことに挑んだが、トリニティが認めるだけの能力が無い者は腕の龍に飲まれ、その命を落とした。そんな事を繰り返すうち、トリニティの所在を知る者も居なくなった。




