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【破滅】

 女の子が浜辺で犬の散歩をしていると、突然犬が走り始めた。その女の子の名前はマギーと言った。マギーが「ちょっとエアロ! 待ってよ~!」と犬を追いかけると、浜辺に人が倒れている。マギーは「大変だ! 」と言って来た道を走って戻った。


 マギーは家に駆け込むなり「大変だよ!」と言って料理をしていた母のローラの袖を引っ張った。ローラが「危ないから、あっち行ってなさい!」と言うと、マギーは「大変なんだってば!」と言った。ローラが「何が大変なのよ!?」と言うと、マギーは「人が倒れてるの!」と言った。ローラはエプロンで手を拭きながら「どこで!?」と言うと、マギーがローラの手を引きながら「こっちこっち」と言った。ローラは仕方なく子供に着いて行くと、浜辺に倒れている人を見つけ慌てて駆け寄った。


 ローラは、とりあえず波の届かないところまで倒れている人を引き上げようと、服を持ち引きずると、マギーも「あたしも手伝う!」と服を引っ張った。マギーが引っ張りながら「死んでるのかな……?」と言った。ある程度まで引き上げると、ローラは胸に耳をあて「良かった、生きてる!」と言った。


 ローラがほっとしたのも束の間、少し先で犬が吠えている。マギーが「エアロだ!」と犬のいる方へと走って行くと「ママ~ こっちも~ !」と言った。ローラが駆け寄ると、そこにも何人かの人が打ち上げられていた。ローラは急いで服を掴むと、引きずりながら「お父さんとと、病院の先生呼んできて!」とマギーに向かって言った。マギーは「うん!わかったぁ~ !」と言って走り出した。


 抛筌斎が気が付くとそこは病院のベッドの上だった。「ここは…… そうだ、妻と子供達……」と抛筌斎はがばっと上半身を起こすと「気が付いたみたいですね」と看護婦が言った。


 久野は『そうだ、家族と城にいた家臣の十兵衛達だけは助かったんだ……』と思い出していた。


 抛筌斎は看護婦に「他に助かった者は?」と聞いた。「貴方の他にも子供を含めて8人も運ばれて来たんですよ、いったい何があったんですか?」と言った。


 抛筌斎は『ここは何処なんだ? 』と思い、辺りを見回したがわからない。抛筌斎は自分達の星が隕石で穴だらけになって行くのを思い出し、自分達の星では無いことだけは理解出来た。抛筌斎は『自分達を助けてくれたのだから悪い人達では無いだろう…… しかし自分達の置かれている立場を理解出来るまでは、自分達の素性は明かさない方が良いだろう……』などと考えていた。


 看護婦が「大丈夫ですか? 何処か痛みますか?」と言うと、抛筌斎は「助けられる前の記憶が無くて……」と誤魔化した。


 しばらくすると助けてくれたローラ親子が、抛筌斎が気が付いたことを聞き付け様子を見に来た。看護婦が「この人が助けてくれたんですよ」と抛筌斎に言った。抛筌斎が「あなたが! 何とお礼を言ったら良いか……」と言うと、マギーが「あたしが見付けたんだよ!」と言った。抛筌斎は「そうか! 君が見付けてくれたのか、ありがとう」と言った。ローラが「とにかく気が付いて良かった…… でも何であんなことに……?」と言うと、看護婦が「助けられる前の記憶が無いみたいなんですよ」と言った。それを聞いてローラは「それは可哀想に……」と言った。


 そしてローラは「退院して何処か行く宛はあるんですか?」と聞いた。抛筌斎は「いえ……」と言うと、ローラは「だったら家に来ませんか?」と聞いた。抛筌斎は「いえ、妻達もおりますので…… お気持ちだけ頂いておきます」と言った。ローラは「だったら全員で来たら良いじゃないですか」と言った。抛筌斎が「子供もいるし、そんな大人数ご迷惑じゃ……」と言うと、ローラは「平気よ! 家は農場やってるんだけど、これから小麦の刈り入れシーズンだから人手が足りないから」と言った。抛筌斎は「本当ですか! 助けて頂いた上に…… 何でもしますので宜しくお願いします」と言った。


 マギーが「皆んな家に来るの?」と言うと、ローラが「そうだよ、仲良く出来る?」と聞いた。マギーは「やったぁ~! 兄弟欲しかったの~ 何して遊ぼうかなぁ……」と言った。ローラが「この子も喜んでますし、決まりと言うことで!」と言った。


 抛筌斎がマギーの家にお世話になるようになって2週間が過ぎようとしていた。その間、この星について解ったことは、かなり化学が発達していること、抛筌斎ほどでは無いが多少能力が有ること、それから他の国と戦争中であることだった。抛筌斎は『これだけ化学が発展して何不自由無く見えても戦争は無くならないものなのか……』 と思った。


 抛筌斎は何時ものように小麦の刈り入れを手伝っていた。ローラが「少しは慣れました? 思ったよりしんどいでしょ」と言った。抛筌斎は「最初は足腰が辛かったけど、大分慣れてきました」と言ったそのとき、抛筌斎の脳裏にミサイルが落ち小麦畑が燃え盛るイメージが浮かんだ。久野は『そうだ、このあと朱雀を……』と思い出していた。


 そこへ「ウーーー」とサイレンの音が聞こえ「敵国のミサイルを発射を確認しました! 速やかにシェルターへと避難してください!」とのアナウンスが聞こえて来た。逃げても間に合わないと思った抛筌斎は、朱雀を呼びんだ。


 舞い降りた朱雀を見てローラは「これはいったい何なの…… ?」と言った。抛筌斎は「とにかくこいつでミサイルを止めます! 話しはあとで!」と言うと、朱雀は空高く舞い上がった。


 ローラは朱雀を目で追いながら「ミサイルを止めるって……」と言った。町では突然現れた化けものを指差し「何だあれは! 新しい兵器か!?」と人々が注目した。


 人々が注目する中、朱雀は次々とミサイルを撃ち落としていった。町の人々が見守る中、朱雀は町に降り立った。抛筌斎が朱雀から降りると、妙樹や子供達が出迎えてくれた。やがて抛筌斎の周りには、英雄の姿を一目見ようと人集りで一杯になった。


 抛筌斎のもとへローラは駆け寄ると「その化けものはいったい何なの? そんなことはどうでも良いわ! とにかく町を救ってくれてありがとう!」と興奮して言った。そこへ「同行願えますか」と軍人か人々をかき分け抛筌斎の腕を掴んだ。ローラが「町の恩人に対して何なの!」と言うと、軍人は「貴様はすっこんでろ!」とローラをつき飛ばした。抛筌斎は軍の研究施設へ半ば強制的に連れて行かれた。


 ローラと妙樹達は農場に戻り抛筌斎の帰りを待っていた。すると窓からローラの家の前に軍用車が数台止まるのが見えた。ローラが「帰って来たのかな?」とドアを開けてると「やつの仲間がいるだろう!」と軍人が強引に押し込んで来た。抛筌斎の家族と十兵衛達も犯罪者でも扱うように連れて行かれてしまった。


 研究施設では、ルシフェルと名乗る博士が「貴方の持つ能力と、あの化けものについて教えて頂きたい、貴方が協力していただければ、御家族の安全は保証しましょう」と言われた。家族を人質に取られた状態で、抛筌斎は協力せざるを得なかった。


 それから月日は経ち…… 軍では朱雀の研究が進み、朱雀より力は劣るものの、頭が龍の様な形をした黒く巨大な物を作りあげた。黒い龍は、人の欲望や憎しみをブースターに使い、使う物の能力を倍増するように作られていた。軍は黒い龍の軍団を従え他国への侵略を始めた。


 軍の内部では、抛筌斎の高い能力を恐れるあまり、抛筌斎にいつか全てを乗っ取られるのではないかと考える者もいた。軍ではいつしか抛筌斎と朱雀の存在をうとましく思うようになって行った。


 軍の不穏な動きを察知した十兵衛が、抛筌斎の家族と仲間を救い出し、抛筌斎を迎えに来た。抛筌斎達は軍の宇宙船に乗り込み、追われるように、その星を脱出した。


 それから暫くして、黒い龍に欠陥があったのかは原因が不明だが、黒い龍が暴走を始めた。やがて欲望や憎しみで蔓延まんえんした、地球で火星と呼ばれる星は100日間炎に包まれた。


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