【滅び】
そのころ天界では、ルシファーがゼウスに「地上が平和になったのは良いのですが、最近では人間が増え過ぎて、このまま増えていくとこの星は……」と相談を持ち掛けていた。
人間に子供を産ませていた事が妻にばれ、それどころでは無いゼウスは「ルシファー、お前に任せる」と話しも聞かず言い放った。
ルシファーは、ポセイドンに大津波を起こさせた。その時、海には吉法師の妻と子供達が遊びに来ていた。水は、吉法師の妻子と海辺の村を次々に飲み込んでいった。妻子を1度に亡くした吉法師は、嘆き哀しみ床に伏せるようになってしまった。
羽柴と抛筌斎は吉法師を心配し見舞いに来ていた。そこへ国1番の占星術師ルキフェルが見舞いに来て、吉法師に「神がなさる事とはいえ、あまりにも惨過ぎますな」と言った。「確かに今度の事は残念でならない……」と羽柴は答えた。
ルキフェルは「このまま神に、この星を好きにさせて良いものか……」と言った。羽柴が「しかし……」と言い掛けると「あなた方以外に、この星を守れる者は御座いません」とルキフェルは言った。
ルキフェルは更に「あなた方は、神に匹敵するほどの力が有るではないですか! どうかこの星を御守りください」と言った。
吉法師は起き上がると、「羽柴に、手伝ってくれるか?」と聞いた。羽柴は「貴方の頼みとあれば!」と答えた。羽柴が「俺達は、神からこの星を護るため、これより神に戦いを挑む!」と言うと、吉法師は「お前も一緒に来てくれ」と抛筌斎に言った。
抛筌斎は「とりあえず落ち着いて話し合おう、自分達が何を言っているか解って言っているのか?」と言うと、羽柴が「俺達には、この力がある」と答えた。
抛筌斎が「いくらこの力があると言っても、神には到底……」その抛筌斎の言葉を遮るように、吉法師は「もうお前には頼まん!」と言い捨てると白虎に乗り空へと一直線に舞い上がった。羽柴も玄武に乗り、吉法師の後を追って飛びさっていった。
抛筌斎は、困った事になったぞ…… と思った瞬間、脳裏にある光景が浮かび上がった。それは、神の怒りを買い、星全体に無数の隕石が降り注ぐ光景だった。
抛筌斎は朱雀に乗り、直様城へと引き返す。「この星を護ることはもう無理だ、せめて家族だけでも守らなければ! 頼む、間に合ってくれ! 朱雀、俺に力を貸してくれ!」と祈った。
それから直ぐその星に隕石の雨が降り注ぎ、地球で月と呼ばれる星は終わりを告げた。