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【事故】

 久野千里ひさのせんりは友人の末次すえつぐに誘われダイビングをしていた。


 ある程度、海を満喫したところで末次が親指を立て上を指した。


 海面へと上がって行く末次を追って上がろうとする久野の足が急に重くなった。


 久野が足の方に目を向けると、足元には人影が。その人影は海中にも関わらず、マスクやレギュレータだけで無くタンクも背負っていない。久野は『人間じゃない!?』と思い急いで浮上しようとするが、それが足を掴んで離さない。


 もがく久野のマスクからブクブクと泡が漏れ、海面へと上がっていく。久野を掴む手が、徐々に太もも、腰へと上がってくる。やがて肩を掴まれると、久野の目の前に顔が……


 久野は気を失うと、そのまま深い海の底へと沈んで行った。



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