プレゼント
「とんとんとーん、おじちゃーん!」
次の日、お昼前のちょっとした時間に家の戸が叩かれました。少年が出ると、そこには四人の子どもがいました。
「おいちゃんおいちゃん、おじーちゃんわー?」
五歳くらいのちいさな女の子がにこにこしながら少年に話しかけてきました。その子は首にどんぐりでできた首飾りをぶらさげていました。それをみたとき、少年は不思議な気持ちになりました。
「それは……?」
思わず少年は首飾りを指さし、女の子に訊きました。
「これ? サンタさんがくれたの! えっとねー、朝にねー、あったの! ほしかったの! かわいい?」
にこにこと、本当に嬉しそうに女の子は喋ります。よくみると、他の子も昨日少年が運んだものを持っていました。
「おれのもみてー! けんだぜけん! かっけー!」
「むしつかまえよーよむしー。おじーちゃんはー?」
「わ、わたしも……。指輪……」
子どもたちの嬉しそうな満遍な笑顔に、少年は自然と瞳から涙がこぼれました。よくわからない不思議な気持ちが、胸に溢れかえっていました。
「あれ? おいちゃんどうしたの? かなしいの?」
女の子は覗き込むように少年の顔をみました。少年はたまらずその場にヘたれこみました。
なんたろうこの気持ち、みてるだけで嬉しくなるような、救われるようなこの気持ち。思わず言葉が少年はでました。
「ありがとう……」
なぜそんな言葉が出てきたのか、わかりません。ですが、心の底からでてくる言葉でした。
老人の言っていたことがわかったような気がします。人にプレゼントをあげることは無駄じゃない。自分に得るものがないからと少年は思っていましたが、そうではないと感じました。
目に見えるものだけがすべてではない。人間は誰かが幸せになっても自分を幸せにできる。
「えっとね、ハゲじじいはプレゼントを配りにいったんだよ。遠い遠いところまで」
そして、村には毎年冬のある日になると、煙突からプレゼントが落ちてくるのでした。