六日目[冷笑]前編
・・・。
もう笑うこともない。
いつからだろう、笑うことがなくなったのは・・・。
この事件の犯人は一人自室で思考を巡らせていた。
結果として、終わるだろう。
いや、終わらせるためにこの事件を起こしたのかもしれない。
自分のことでさえ、もう分からない。
この事件での最大の被害者は、鈴波蘭かもしれない。
彼女は良く動いてくれた。
それほどまでに、あの箭内健に思い入れがあったのだろう。
故に、操るのも容易かった。
それを言うなら、あの女もか。
まぁ、今となってはどうでもいいことだ。
冷たく笑った。
気掛かりは、月島遥。
彼の意図は全く読めなかった。
この事件を解決するために動いていたのかと思えば、自ら死を選んだ。果てには、この事件についての真相を伝えることすらしなかった。
彼は本当に死に場所を求めていたのだろうか。
ただ、自分が死ぬために・・・?
それとも、この事件も彼にとっては遊びでしかないのか・・・?
分からない。
理解ができない。
犯人は一つの写真を取り出した。
そこには、幼い犯人や箭内、鈴波、そしてふたりの老夫婦が写っていた。
あの頃に戻れれば、そう思った。
でも、それは幻想。
人は過去へは戻れない。
父さん、母さん。
さようなら。
そう言って、写真を破り捨てる。
もう、自分は犯人でしかないのだから。
終わらせるために、“裏切ろう”。




