五日目[決意]後編
「箭内君・・・?」
結さんはこちらの様子を伺っている。
そんな彼女に僕は微笑みを返した。
「・・・。なんとなくですけど、予想通りです。別に気にすることはありません。むしろ遥さんは僕のためにここまでしてくれた。」
僕の中で、何かが変わった。
電流が並列から直列になった、なんて表現でもしてみる。
だが所詮は正しい表現とは言えないだろう。
「あなた、変わったわ。・・・。」
変わりように沈黙する結さんに、
遥さんみたいに動こうと思っただけですよ。
なんて遥さんらしく返した。
そう、もう真面目さを貫く必要はない。
今の僕に必要なのは冷静さと、この事件を解決させることだけ。
「結さんはここにいてください。本当に助けが必要になった時だけ呼びます。」
そう言って足早に部屋を出た。
飯なんて各自で取るだろうし、顔を合わせる必要もない。
手始めに僕は遥さんの部屋へ向かった。
書かれていた通りに僕はナイフと“遥さんが持っていたはずの本”を探し出した。
これは、蘭の部屋から遥さんが持ち出したものだ。
彼の遺書など、このためにあったのだろう。
僕はその本を開いた。
これは遺書、しかも蘭が書いたものだった。
殴り書きされているため、読めない字もある。
(彼は許してくれない。お父さんは変わってしまった。私達は父さんの言う通りに育った。そしてそれを否定なんてしない。
だってお父さんがいなかったら、箭内君や私やーーーって死んでいた。
私達孤児を救ってくれたのはお父さんなんだもん。
でもーーーちゃった。お母さんがーーーーーーーーから変わっちゃった。
間違ってたんだ。私達は間違ってたんだ。
人を殺せば救われるなんて正しいはずがーーーーーー。
箭内君はそんな記憶を失った。ーーは許してくれない。でも私はーーーーーーー。
だから彼の代わりにあの男を殺ーー。
せめて、ーーーーーーー。
私は箭内君をーーーーーー。)
僕は本を閉じた。
感想は、ふざけた話だ。
そう、思った。
彼女の思いに気づいた所で、
彼女の苦しみに気付いた所で、
もう意味を成さない。




