五日目[決意]前編
深夜一時。
月島遥は、これまでを振り返る。
結局、自分にできたことなどあったのだろうか。
自らの人生を振り返れば、ただ虚しさが湧き出してくる。こんな荒んだ人生を送るのなんて俺ぐらいだろうなぁ。
軽口を叩いた所で、変わることもない。
結は許してくれるだろうか。いやぁ、許さないでいい。
彼女を連れ回し、巻き込んだのはほかでもない自分なのだ。今更勝手に消えることを許してくれなんておこがましい。
自分はいつもそうだ。
いつも誰かを巻き込んで、傷付けるだけだ。
体から血とともに力が抜ける。下手をせずとも俺の死体は色々細工されるだろう。
「一つ、頼んでいいかなぁ・・・。」
壁にもたれ掛かりながら、弱々しく言葉を発する。
もう、自分を殺す存在を視界はぼんやりと輪郭しか写せない。
「手帳に残した言葉がある・・・。別にダイイングメッセージでもないから・・・、それだけは残しておいてくれると・・・いい・・・な・・・ぁ・・・。」
そう言って、視界は閉じた。
最後の最後で自分を殺す相手に頼みごとなんて、いかにも俺らしいふざけた話だ。
もっと足掻けば、助かったかもしれない。
結には言えない。
“初めから死に方を求めて生きてきた”なんて。
もう彼女はわかっているだろうけど、それでも自分の口からいうことじゃないよなぁ。
そして、箭内君は生き残れるかな。
ただ少し、大人びた考えができて、それでいて優しい彼なら・・・。
事実を知っても前を向いて生きてくれるだろう。
・・・結果として君を僕は裏切ってしまうかもしれない。
ましてや、先に居なくなってしまうことも責任逃れだなぁ。
だって、
“鈴波蘭を殺したのは、俺なんだから”
月島遥は、この一連の事件の“被害者”であり、“加害者”である。
時として、残酷。
時として、真実。
彼だけならば、生き残ることは容易だったろう。
しかし、彼はその選択をすることはなかった。
もしかすれば、彼は事件の犯人を知っていたのかもしれない。
最初の被害者だけで、事件解決が出来たかもしれない。
今となっては、もう。
答えが出ることはない。
彼は、自らの死という目標を達成してしまったのだから。




