四日目[不穏]後編
つまり、犯人はまず鬼木さんを含めた僕達を誘拐。後、この館に閉じ込めた。
続いて、あらかじめ用意していた滑車で鬼木さんを天井まで吊るし上げ勢い良く落下させた。この時の高さはぱっと見、気絶した人間を殺すには問題ない程だ。
だがそこで一つ目の誤算が起きた。
シャンデリアにあたって、当初の殺し方とは別のものになってしまった。だけど、これも犯人からすれば想定の範囲内かもしれない。犯人は予定通りに滑車とどこかから用意したワイヤーを回収し、まるで自分も誘拐されたかのようにして部屋に入った・・・。
「遥さん、ちょっと推理が強引じゃないですか。まず、犯人がなぜ僕等を誘拐したのか・・・。それと、どうしてこんな回りくどいやり方をしたのか。更には、“僕達がどうやって選ばれたのか”とか・・・。どうするんですか?」
僕はあからさまなダメだしのように口を開いた。
笑った。
遥さんは普通に笑った。
苦笑いどころか、嘲笑うこともなく
純粋な子供のように笑った。
「君は本当に馬鹿だなぁ。というか、子供だなぁ。いやぁ・・・まったく。」
遥さんの笑いが止まらない。
暫く笑った後、少し安堵した表情を見せた。
「遥さん・・・?」
僕はその姿に不安を感じた。
まるで僕に子供らしさを感じて、普通であることを感じたような。
「いや、何でもない。さてと、簡単に説明するなら“推理が完璧でないといけないと勘違いしているんじゃないかなぁ。”ってこと。事件の全貌なんて生き残れば勝手に警察が教えてくれる世の中だよ。今の警察は優秀。優秀。」
そう言って、遥さんは気の抜けたように伸びをした。
「“目的を見失ったら、するべきことを間違える。自分を見失ったら、目的を失う。”」
そう言って遥さんは、僕を指さした。
これが彼、月島遥との最後の会話だった。




