表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/12

[長編/連載中]『打ち砕くロッカ』――王道の最高峰を踏破する、根性と魔法の青春活劇

 


 もし、魔法が使える世界なら、と誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか?

 魔法がある世界なら、きっと魔法を習う学校だってある筈だ。魔法学校に通って、試験を受けたり、友達と放課後に街に繰り出したり……そんな普通のようで普通でない青春を、送ってみたい。そう思うのは、きっとごく当たり前の欲求なのでしょう。


 さて、今回ご紹介するのはそんな一風変わった学園を舞台にした魔法物語であり、泥臭く勇ましい英雄譚であり、一人の少女のきらきらと眩しい青春ストーリーです。


 この物語の主人公、ロッカ=ウィルコークス。

 男物の大きなオイルジャケットをまとい、力の篭った鋭い目付きを持つ、女の子らしさとは極めて縁遠い彼女は、鉄国は田舎のデムハムドから、はるばる水の国の大都会、古代都市ミネオマルタへとやってまいりました。


 もちろんその目的は、歴史に残る数多の魔道士を輩出してきた、由緒正しい国立理学校に入学するため。

 しかし、ロッカにとってそれは決して望ましいものではありません。


 何故ならこの入学は、頑固な父親に無理やり押し付けられたものであり、何より彼女が編入することが決まっている教室は、特異科−−魔術が奇妙に変質してしまう体質を持つ人間を、研究への協力と引き換えに好待遇で迎え入れる、由緒正しい学校のみそっかす集団の巣窟だったのです。


 自分自身の性質が、ちっとも魔道士には向いていないと理解しながらも、持ち前のバイタリティと好奇心によって、せっかく理学校に入学したからには、魔道士を目指してみたいと前向きに考えるロッカ。

 しかしその道のりは、決して容易ではありません。

 ロッカの特異体質は、強固な鉄を生み出す筈の鉄魔術が脆い石くれになってしまうというもの。

 ただでさえ勉強が苦手だというのに、そんなハンデを最初から持ち合わせてしまっては、前途多難も極まるという話です。


 けれどこれは、そんな最底辺の状況から出発するからこそ素晴らしい、成長物語でもあるのです!


 脳筋で負けん気が強く、喧嘩っ早いロッカ。

 彼女のそんな性格は、入学早々にトラブルを招き寄せます。

 決して負けられない勝負に挑まなくてはならなくなった彼女は、クラスメイトとなった特異科の友人達の知恵を借りて、少しでもハンデを乗り越えようと数少ない利点である努力と根性を振り絞るのです。


 どれだけ先が真っ暗に見えても、絶望的な状況に陥っても、ロッカは絶対に諦めません。

 僅かに希望に齧り付き、がむしゃらに突き進む。それが高くそびえた壁を突破させ、まったく予想外の景色を我々の眼前に突き付けてくるのです。


 友情と努力と希望。これぞ、まさしく王道!

 しかし、この王道が実に爽快で気持ちがいい!

 ついでに言うと、頑張る女の子というのは、非常に私好みのモチーフでもあります。完全に私事ですが。


 むかつく級友の思いがけない面を知って見直したり、殴り合ったライバルと和解しないまま奇妙な信頼関係を築いたり、欠点ばかりと思っていた性質が発想を転換する事で逆転を生み出す奇想天外な一手となったり。

 王道の素晴らしさをこれでもかというほど満喫できるのは、ストーリーの巧みさと作者様の筆力の高さがあって故のものなのでしょう。

 またここぞというタイミングで使われるタイトルコールも、胸を熱く滾らせるとともに、これは巧いと唸らされる事受け合いです。


 他にも友人たちとの魔物退治や洞窟探検などの小冒険や、それが終わった後の大宴会。

 学園祭や、街でのちょっとした買い物や、これも王道杖選びなど、心躍るイベントが盛り沢山。



 私の拙い言葉では、この物語の素晴らしさは語り尽くせません。

 ぜひとも皆さんも、ロッカの青春活劇を一緒に追体験してみましょう。

 かなりのお勧めです。






『打ち砕くロッカ』/ジェームズ・リッチマン様

(http://ncode.syosetu.com/n6394bu/)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ