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夢の魔法  作者: 天窓
7/13

「断罪する真実の発露」


『超能力』


なんとはなしに超能力といってはいるが、超能力とはなんであろうか。

これも昔は毎日のように考えた。現在進行形で考えていることでもある。

ただ『魔法』というにはあまりに夢が無く、むしろ体質に近いそれらを俺たちは超能力と呼んでいる。

考えても考えても答えなんて出ないのだ

それはあまりに自然で日常的だから

だから仲間を集めたい。一緒にこの現象の理由を知りたいのだ

いや、本当は理由何て知らなくても良いのだろう



ただ自分だけが異常では無いと。それだけを確認したかった。



             ●



「…ちょ、超能力ですか!えっと…えと……無いと思います!」


その代償はこの空気である。

突然何を言い出すんだこの筋肉坊主は?とでも言いたげな顔をしながら、

それでも質問に元気よくお答え頂いた鈴野さんはとっても良い子なのだろう。飴玉あげよう。

横目で辰野の方を見る。黙って首を横に振っていた。


嘘発見器(ポリグラフ)』発動しませんでしたー


最近打率が良いので期待したがやっぱり使えないかもしれない。しょっぱい能力だ。

さーてこの空気の回収はどうしてくれようか。などと考えながら鈴野さんを見ると

なんだかチラチラと富士野選手を気にしている。ぉおっとーこれはやばい。

忘れてたけど富士野君はクラスをまたいで噂が通る学年公認の痛い子なのである

能力が本物だと知っている俺たちからすれば多少アレだがまぁ許せるアレなのだが鈴野ちゃんは素人。『山岳部』だと思っていたら電波ゆんゆん宗教団体だったでござるみたいな気持ちだろう。

富士野君。おかしい(と思われる)のは君だけで十分なのだよ。


「あ、あぁ、ごめんなさい鈴野さん。俺たちの中のちょっとした挨拶みたいなものですよ」


俺は富士野君の方を見ながら鈴野さんに苦笑いをプレゼント。

これで先ほどの質問は俺たちが富士野君の属性(自称・超能力者)を利用した

ジョークの一種なのだよ、ははは。と思ってくれるはずである。であってくれ。どうだ!?


「そうなんですか!」


「そ、そうなんですよー!鈴野さんは超能力者ですかー?なんちゃってー」


「違いますー超能力なんてないですーふふふー」


ちょろい!これはちょろい!飴玉もう一個あげよう。

客観的に考えて今の攻防で納得するのはおかしい、ちょろすぎる。

ていうか、ふふふとか可愛い。やっぱり女の子は笑顔が一番よねぇ…

笑顔で飴玉転がす鈴野さんを見ていると昼休み終了の予鈴が鳴る


「良し、それじゃあこれからよろしくお願いします鈴野さん!」


「はい!あ、今日の放課後はどうしますか!ジムに行く準備はして来ました!」


どんだけジム行きたいんだ。


「そうしたら、今日の鈴野さんの活動はジムで筋トレです」


「はい!」


パタパタと振られる、しっぽが見える。

やめろそんな目で見るな辰野。鈴野さんと親交を深めるのはまた後日ゆっくりとだ。

まだメンバーも足りてない。俺たちの花の学園生活はこの山の先にあるんだ。

「では入部届けを春ちゃんに出して―――」

鈴野さんにも部員になってくれそうな人を勧誘するように頼んでおかないとな。




              ●


5限目の授業は歴史であった。

俺は悠久の時代に思いを馳せながら考え事にふける。

教科書にラインを引くのはテスト前で良いだろう。

今回リスクを侵してまで鈴野さんに『嘘発見器(ポリグラフ)』を使用したのは訳がある

嘘発見器(ポリグラフ)』には隠された能力があるのだ。

いやまぁ全然隠れて無いんだけれども、小学校時代の考察の賜物である。


嘘発見器(ポリグラフ)』は相手の『嘘』が分かるだけという簡単なものじゃなかった。

相手の『答え』の『嘘』が分かるのである


つまり質問内容によっては相手がその答えに対して

自分でどう思っていようが関係ないということである。

これを確認した時、辰野の能力がタダの勘が良いというレベルの話では無いことを理解した。

そして同時に能力が『魔法』の領域に近づいた気もしたのである。

両者には絶対の差がある。

現実の嘘発見器もその人が嘘を真であると信じ込めば騙される。

超能力を持っていると信じ込んでいる人に

「あなたは超能力を持っていますか」と聞いても真実は隠される。


だが辰野の『嘘発見器(ポリグラフ)』には隠せない。


ややこしい話であるがそういうものなのだから仕方ない。

それだと質問内容の解釈によっても影響するのではないかと言われそうだが

正直そこまで整然と説明しきれるものでもないのだ。

『辰野が意図する聞きたいことに対しての真実』が分かると言えば簡単か

なんにせよ『嘘発見器(ポリグラフ)』にはそういった側面があるのだ。

良く分からないみたいだった富士野君には

「本人が超能力者だと気づいてなくても結果的に能力が教えてくれる」といっておいた。

ビバご都合展開である。すごいぞ辰野!まさに「断罪する真実の発露」にふさわしい能力である。


この事実に気付いた時はテンション上がりまくりで色々試した。

アポロが月に行ったか?という質問の能力の回答は控えさせて頂く。

まぁ10回に1回の成功率も致し方ないような気がした訳である。

しかも心なしか「断罪する真実の発露」の成功率は普通より低い気がする。

未来の事も分からないみたいで「俺が80歳まで生きられるか」の答えは

辰野曰く「発動したと思うが何かわかんない」とのことであった。

あくまで現在の事実に対して有効だと考えられる。

以上の全ては俺の机の引き出しの二重底にある「超能力研究書」にまとめてある。

正当な手順を踏まないと燃える仕組みは自然発火しそうなので諦めた

どうせ見つかっても黒歴史ノートとして丁重に扱われるだけである。


どうにせよ、当面の辰野の能力は鈴野さんへの質問で使ってもらおう。

今思うと富士野君に一発成功したのは正直もったいなかった、うん。






そして放課後


ゆきのんとの接触タイムがやって来た。



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