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夢の魔法  作者: 天窓
10/13

バトルフェイズ



少し前の俺は何を言っていたのだろうか。穴があったら入りたい。


雪野さんを捕縛するためにワクワクしながら

教室から人の流れが無くなるのを待っていたのだが、


事件。起きちゃいました。


 ―――俺に都合の良い主人公補正の事件など期待出来ないのである(キリッ






「そうか、これが主人公補正か…」


「いや夢野、何言ってんだ。この状況どうすんだ?頭大丈夫か?」


分かってる。分かってるよ辰野君。もちろんこの状況は非常によくない。

今、俺たちは廊下からばれない様に6組内部を覗いているのだが

うら若き乙女が3人の男子高校生に囲まれているのである。

何か自分達がしようとしてたことを先にやられた感があるが気のせいだってば。

しかしまぁーなんで進学校にまで来てあんな奴がいるのかねぇ…

頭の良さと行動の程度が合ってないんだよ


「うむ。どうしたものか。教師を呼ぶべきだろうか?」


「普通ならそうしたい所だけど…」


確かにそうすればこの状況は解決する。

だが、それでは彼女の心は救えないだろう。

どうしたものかと考えていると

彼女の反応の薄さに業を煮やした男たちが彼女に触れようとする


「それはいかん、それはいかんぞ」


それはいかん。


「辰野、富士野君。突入する。援護を頼む!」


「「了解(した)」」


お前らも案外ノリが良いな。

仕方ない、颯爽とお姫様のピンチを救う展開で行こう。ビバ主人公!






―――――――


「お忙しい所こんにちは!山岳部ですっ!」


どうしてだろう。どうしてテンパると自己紹介するんだろう。

とりあえず先陣を切り威勢よく突入したが全てにおいてはずした感が否めない。

なんか違う。やっぱ主人公無理。


「なにお前、何か用なの?」


あ、こんなダサい突入でしたがバトルフェイズにシフト出来るのね。助かった。

案外空気読めるじゃんこいつら。


「ちょっとそこの雪野さんに用事がありましてね。申し訳ないですけど彼女を借りていきます」


「…はぁ?いきなり来て何言ってんのお前?彼女は俺たちと遊ぶんだから帰れよ」



おぉ…何という小物臭。まさに三下。良い台詞だ。だが少し沸点が低すぎる。

俺に近かった男共のリーダー(仮)が俺の体をドン、と小突く。

手下A、Bもこちらに近づく。


「おぉ…ならばこちらも召喚フェイズ!辰野!富士野君!」


「おうよ!」


「うむ!」


廊下から精鋭たちを召喚する。

そしてもうこれはバレたらがっつり停学コースの闘いが始まる。

毎日春ちゃんが家に来るとかだったら願ったりだぜ!どうかばれませんように!


「作戦はこうだ。お前たちは犠牲となってくれ。俺は雪野さんを連れて部室に逃げる」


「夢野、前から思ってたけどお前ってそこそこに最低だわ」


「はっはっは。良かろう!任された!」


「何グダグダ言ってんだお前ら!」


リーダー(仮)が俺に殴りかかる。

ちょっ、マジでいきなり殴るとかやめて頭おかしいこの人

俺の運動神経は普通なので華麗に躱わすとか無理な訳で、咄嗟に腹をガードする。痛いのは嫌!

しかしリーダー(仮)の攻撃は俺に届かなかった。何故なら。



「富士野君!」



なんと富士野君がリーダー(仮)の拳を受け止めていた。

富士野君の外見はその大仰な話し方のイメージ通り

ひょろっと上背のある優男といった様である

正直あまり喧嘩は強くないだろうと見ていた。

そして相手は喧嘩慣れしてそうな馬鹿どもである。

なので筋肉坊主はさておき此方の戦力上、形勢は不利なので

目標(雪野さん)を保護したら撤退という形で作戦を立てた。

だが富士野君は思わぬ能力の持ち主であったらしい。かっこいい。

自慢の拳をなんなく受けとめられたリーダー(仮)以下が焦る。

拳を受けとめたまま富士野君がにやりと笑う。


「夢野!いきたまえ!ここは任されたと言ったであろう」


きゃー富士野くーん!

ここは任せる!俺は逃げる!

リーダーの脇をすり抜けて雪野さんの元へ駆ける。

あとの手下共はこの状況と残存兵力(筋肉坊主)に尻込みしている。勝機。

なんだか呆然としている雪野さんはフリーだ!

俺は教室の隅で怒涛の展開に目を丸くしているいじめっ娘3人組(いたのか)を尻目に


彼女の手を取り駆けだした。




昨日と同じように。





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