第一章 号令
この世界では反米国が大きな戦力を持ち各地を進行していったため、危機を感じた米国は日本政府に軍の所持を許可し自衛隊が日本兵となった。だがあくまで民主主義国家なので徴兵令などはなく比較的に平和?でした。
ちなみにこの世界線ではロシアの内紛により、ロシアという国名ではなくなりソビエト社会主義共和国連邦となりました。
少年兵の朝は早い。朝5時には起床してグラウンドに集まる。そして朝の練習が始まるのだ。
ほとんどの少年兵は眠気に誘われ上官からの怒りのお言葉がグラウンドに響き渡る。
そんな中、白艇ヒバナは木刀を構え剣道に励んだ。本来剣道は貴人の者や上官が身につける特別な訓練であり少年兵なのは本来行うことはできないが、稀に彼のような成績が優秀な兵士はこの剣道を身につけることが許されているのだ。もちろん彼を妬むものも多くいる。
だからこそ彼は上官以外誰一人として信用していなかった。
ある日のこと北海道での活動中のことだった。
「先輩。本当にこっちで合ってるんですか?」
「大丈夫だ安心しろ」
ヒバナは小銃を持って散策をしていた。看板を撃ち抜く簡単な訓練だった。薄暗い森を進んで行く。かすかに差し込む陽の光が森の美しさを移し出している。でも警戒心を解いてはいけない。これはあくまで訓練。訓練で気を抜いたら戦場で気を抜くのと同じことだ。それにこの先輩だって信じきれるわけではない。
訓練を終え、慎重に下山しているとき、やはり信用できるものなどいないと実感した。
突然ワイヤーのようなものが引き上げられる音と共にヒバナの足が地面から離れ宙に浮く。
「先輩⁉これは?」
ヒバナは驚きのあまり手足をジタバタさせる
「うまく引っかかってくれたな!目障りだよお前!脱出できたらこのカバンから物資でも調達すんだな。まぁきっとそこから出れずにヒグマにでも食い殺されるんだろうが!」
彼はなんとも醜い笑みを浮かべながらそういった
「なんでこんなことをするんですか?この卑怯者!武器を持つ資格もない腐れ兵が!」
ヒバナはやつに罵声を浴びせひたすらに叫ぶ。睨みつける目は怒りに燃えていた。
「俺はお前が嫌いなのでね。何度でも言うがいい。私は貴族の子供だ。いくら訴えてもかき消してやるさ。それに何も持ってないお前にこの網から抜け出せるはずがないだろ?」
先輩は高笑いしながらその場を去っていった。
「行ったのか?」
ヒバナは先輩が行ったのを確認し護身用のサバイバルナイフを懐から取り出し網を切った。
「…こんな森で…まさに死の罠だな…
えぇっとバックはこれか…中にはテントと寝袋…?
先輩は本当に俺を殺そうとしてたのか?」
ヒバナは疑問を描きながらもテントを組み立て始めた。
いや、彼はそんなこと微塵も考えてないだろう。まずヒバナが抜け出せることすら考えてないだろう。
そうこうしているうちにテントが完成しヒバナは寝袋を引いた。
ある程度の空腹は7歳のときに卒業した。ヒバナは静かに瞳を閉じる。
明日、軍は遭難した自分を助けに来てくれるだろうか。
そんな不安はあったが考えていても何も変わらない。考えても無駄なことは下手に混乱を招くだけだ。そう心をなだめヒバナは眠りに入った。
その頃。ネオン輝く都心に堂々と立つ東京第一基地に一つの報告が入った。
「報告します。白艇ヒバナが脱走したとの報告が」
その瞬間大尉の部屋は凍りついた。
報告したのは先程ヒバナを捉えた兵士と他数名。おそらくグルだろう。
「嘘だな…そのデマ情報を流したやつを連れてこい」
凍った部屋に鋭い一言が響く。大尉の冷静な対応に周りの護衛も報告者達も凍りつく。
その瞳はどこか力強いものであった。「なぜ脱走していないとわかるのか」
「どうしてそこまで信じられるのか」
周りの人々は動揺した。そんなのわかりゃしない。白艇ヒバナは優秀だが自分をさらけ出すような性格ではない。だからこそ彼の本心がわからないのだ。
しかし消して彼は勘で答えたわけではない。彼だけがヒバナの性質を全て知っていたからだ。
報告者達は身を震わせる。
「情報を吐いてもらおうか」
大尉の言葉が部屋に響き渡った。
北海道の山に一人放たれたヒバナ。
そこで出会ったのはまさかの子熊だった。子熊と二人、壮絶な自然界で彼は生き延びることができるだろうか?




