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霊呪忍  作者: 緑スライム
3/4

呪物

ニコラが備品を申請したり物を買うことになっているが、予算は当然全員負担だし、荷物持ちだってする。


というわけで、打ち合わせも兼ねてニコラの家に行く事にした。


ニコラの店は大きな商店だった。


「ほえー」

「そ、そんな大した物じゃないから。確かに王都で10本の指に入る商会だけど……」

「いや、すげーよ。すげー呪力の気配がする。お前の家、やばいの? 悪徳商人? それとも潰れかけ?」

「早く助けに行った方が良くない? これ中で暴れてるんじゃない?」

「ええ!? お、お願い!!」


めちゃくちゃ呪霊の気配がしたので慌ててハガネの剛力天山に掃討してもらった。

魔物になりかけだったので大変だった。

ハガネの速流大河にも出てもらい、霊的攻撃とレオン、アレクの物理攻撃(魔法だったが)でやっつけた。

おかげで妹ちゃんとお母さんからの好感度が爆上がりである。

やばい商売してないよね? 大丈夫?


「お化けね、とても信じられんが……しかし、魔物が出たのは事実だ」

「騎士様が来て、バーンってやっつけてくれたの! バーンって!」

「まあ、気休めとお考えください」


 妹のサラちゃんが大フィーバーだ。その手には、魔物の素材。

 いやー魔物が倒されてすぐ、解体させて素材をもらってはしゃぐ妹ちゃんは間違いなく大物になる。

 ちなみに原因は呪物だった。変なもの仕入れちゃダメだよ。

 それにしても、未来のメンバーサラちゃんに素直にお話聞いてもらえそうでよかった。

 お茶を出してもらい(お茶菓子などという贅沢な概念は貴族にしかないのだ)、打ち合わせついでにリンの話を聞く。


「私は、神官の家柄なんです。特にお祖父様は、見えてる人でして、穏やかに人々を導く、凄い人で……。神官ならともかく、大神官ともなると、やはり奇跡を起こせる人じゃないとダメなんです。だから、見えるようにならないと……!」

「見えなくても奇跡は起こせるよ」

「そうですよね、だから……えっ」

「神力は信仰心を媒体にした術だから、ちゃんと神官の修行積んでお祈りして信仰してれば加護は宿るよ。そうでなきゃ、神殿のお守りは偽物が殆どになっちゃうでしょ。見える人ばかりじゃないんだから。さらに言えば、神官さんは神様に守られてるから感覚的に鈍い部分あるよ。おじいちゃんがよっぽど凄く凄く才能あったんだね。余計なこと考えるより、神官さんは儀式とかお祈りの勉強した方がいいよ」


これは母からの受け売りだが、神主様は本当に凄かったらしい。

弱い呪霊とかは近寄ってもジュッて消えちゃうんだって。

実際、私の目の前で、小さい呪霊がジュッと消えた。

見えないからって神官として、認められていないわけではないのだ。


「そう……なんですか?」

「それでも不安なら……私達も、神様のお力をお借りしたくて、色々してるけど。一緒に研究する? それと、この呪物はリンに責任持って浄化してほしい。ほらこういうのって、リンしか出来ないんだよ」

「効果が実感できないんであれば、俺らが教えてやれるし、ちょっと工夫して効果がわかりやすいお守りも作れるかも」

「します!」


 リンの悩みが解決した所で、商品を物色。

 いろんな物を見せてもらいつつ、サバイバル演習で必要そうな物を買う。

 

 その後、サラちゃんに簡単な護身術を覚えてもらい、学園に戻ってきた。

 呪物? 真っ黒なアクセサリーがキラキラ輝く白いアクセサリーになって、リンの胸を飾っている。初めての戦利品って奴である。


 あ、そうだ。年齢について言っておこう。

 

 私、メイは11歳、ハガネは10歳、ニコラは10歳、アレクが14歳、レオンが15歳、リンが12歳である。おまけでサラちゃん9歳。

 学園は10歳から入学可能で、ニコラとリンはストレート入学、アレクとレオンが特待生入学だったりする。レオンとリン以外は一年生で、レオンは今年卒業。学園は最短5年、最長10年で卒業をする。基準を満たせないと卒業できないのもそうだが、サバイバル実習での貢献が必修科目で五回なのも必須なのだ。

 レオン、最終学年なのにぼっちだったというのはちょっと……。文官もコミュ力は必要ではなかろうか。


 何はともあれ、サバイバル演習である!


 馬車で一泊。

 魔物の森までやってきた。

 ここの魔物を間引きするのが学園生のお仕事だ。

 

「メイ」

「うん、すごーく嫌な感じがする」

「そりゃ魔物がいるんだから、そうじゃないか? 1匹の魔物に凄い反応してたし」


 見えない感じ取れないレオンが軽くいう。


「いや、レオン。君は見えなかったからわからなかっただろうけど、ものすごい数の呪霊が中にいたんだよ。実体化したのが1匹というだけ」

「でも、この研修必須だから」


 アレクが補足し、ニコラが困ったように言う。


「どうにか出来ないものでしょうか?」

「多分呪物だと思うのよね。急いで行けばなんとかなるんじゃないかしら。リンがいるし」

「私の出番ですね、任せてください! こんな事もあろうかと、儀式の準備までバッチリです!」

「頼り甲斐のある神官様ね、任せた!」


 こうして、私達は速攻で片付ける事にした。

 ただ……。陰謀の匂いがするのよね。この森は王族もいる国立竜玉学院も使うのだし。

 ちょっと準備しておこうかしら。


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