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霊呪忍  作者: 緑スライム
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友達

 ニコラは友達なので、お昼はご一緒させてもらう事となった。

 ニコラはストレスでひっきりなしに何かを口に入れていないとダメだったらしく、感謝されてお菓子や干し肉などを半分分けてもらった。裕福ではないし温情で学校に通わせてもらっている身なので、素直にありがたい。


「君達も、その、見える?」

「うん、お仲間に会えてよかった」

「滅多にいないからな」

「僕、僕しか見えないと思ってた」


 ニコラは震える声で告げた。わかるよ、よしよし。

 ニコラの頭を撫でてあげる。


「多分、同世代で一国に10人ぐらいいればいい方じゃないかな」

「そんなに少ないの?」

「そ。その上、見えると憑かれやすいんだよな。よければ、自衛方法教えようか?」

「お願いするよ!」


 勢い込んでニコラが言う。


「いいよ。まずは、見られてると気づかれないようにすること。メガネとか、ベールなんかが有効だぜ」

「あ、それで二人とも目元だけベールをしてるんだね」

「そういうこと。メガネは高いしな」

「はいはい、その前に視力検査いきまーす。あれ見える? これ見える?」


 そうして、私達はニコラにスパルタで護身術を教えた。

 

「知らないふりってのは大事だよ。あと、魔物と間違えないように注意!」

「視界のチャンネルの切り替えができるようになると便利だぜ」

「護符を持っていたほうがいいわよ。よく効く護符はね……」


 私達は変わるがわるニコラに教えていく。

 ニコラは商人の子供だったので、代わりに色んな商品や国々のことを教えてもらう。元忍者のハガネのシゴキもあり、ニコラはぐんぐん痩せていった。

 あら、痩せるとイケメン。ふくよかで暗い雰囲気が、あっという間に爽やかイケメンへ。

 ニコラは祖母が見える系の人だったらしく、妹も(多分お母さんも?)見えるそうなのでその血筋に期待大である。もちろん、冬の長期休暇に会いに行く約束をした。どうせだから徒党を組みたい。今から呪術界作ったら私達が総監部じゃん、やったね!


 さて、学校に来たからには学業についてである。

 私達は数学とかについては問題がないので、問題は魔法学とこの世界の神学になる。

 魔法は身体強化と炎を出したり、氷を出したりといったことだった。

 ハハァン。魔法学はさてはあまり発展してないな?

 魔力は不思議なことを実体化させる感じの力で、霊力とも相性がいい。

 霊力、神力、術式と組み合わせるとかなりの発展が見込めるし、単体でも大きなポテンシャルを持っていると思われる。

 まあ、普段は周りに合わせてるけどね。普段の練習は結界空間でしている。


 ちなみに長期休暇は冬である。

 夏になり、サバイバル実習が開催された。

 5〜7人のチームで挑まなければなのだが、我がチームは3人なのでそれぐらいのグループと一緒に慣れればと思っていたのだが、ぼっちが2人、取り巻きを振り切って来た子が一人。


「よ、よろしくお願いします! アレクです!」

「レオンだ」

「リンです」


 アレンとリンは何故かベールをしていた。私達に合わせてくれたらしい。

 片方はめちゃくちゃ憑かれてるし、面白すぎか。


「このベールはお化けが見える人の為のものだから、しなくても大丈夫だよ」

「お化け? そんなものいるはず」

「あっ はい。安全になって重宝してます……」

「常識ですよね!」

「えっ」

「アレクとリンも見えるなら、護身術学ぶ?」

「是非! あと僕についてるお化けとレオンについてるお化けもついでにやっつけてください!」

「お願いします!」

「お安い御用だよ。それと、こういう呪霊は祓う、幽霊は除霊するっていうんだ」


 ハガネは呪霊を祓う。片方結構大物だったので、術式を使った。

 絡繰五仙のうち一人、剛力天山を披露する。

 うっわ反撃してきた。これ、あと一歩で人に害を及ぼしてたんじゃあ。いや、手足を引っ張るくらいの事はできてておかしくないな。

 それでも、5分くらいで戦闘が終わる。

 アレクとニコラがキャアキャアするので、少し目立ってしまった。

 あとレオンが目を白黒させている。

 

「肩が軽くなった……?」

「す、少しはやるようですね!」

「なにそれ、騎士様⁉︎ あ、凄い大物憑いてたよ、レオン」

「凄い、格好いい、ハガネ! 僕もできるようになるかな!?」

「はぁ? 証拠を見せろ、証拠を」

「別に証明する必要もないけど……。俺の守護霊の指の数を順番に書いてみる?」


 ハガネは剛力天山の指を折らせる。

 私達が同時にその指の本数を書いていく。


「な、なんだと……。あ、リンだけ違う」

「あなた、恨み買ってるからすぐ憑かれるのよ。で、リンはどうして見えるふりを?」

「下手すると早死にするね」

「リンくん、僕らの仲間になりたかったの?」

「み、見えます! 見えるんです! 見えるようになる方法はありますか!?」


 実際、憎まれっ子世に憚るというが、こちらの世界では逆で邪は魔を呼ぶというのがよく言われる。実際に恨まれた役人とかが魔に襲われる事件もあり、故に、環境の割には若干悪人が少ない……ような気がする。あくまで若干だが。

 おそらく、呪力と魔力が合わさって魔物が生まれたのだろう。呪術で似たような事ができる。

 あと、リンは何故それほどまでに必死なのか。


「護身術と言っていたが」

「教えてください! 見える方法も」

「こればっかりは才能よねぇ。見えない人は、神殿が販売するお守りを買うか、儀式の時に神に捧げられてる神曲を歌ってみるかするしかないんじゃない? 保証はしない。あとは年一で祓ってもらうか」

「安くしとくよ。まー信じないでもいいけど。年一回金貨一枚でどう? 月なら大銀貨一枚」

「才能……。金貨一枚……。す、凄い……。僕、頑張る! 呪霊を祓う騎士になる!」

「うう、やはり才能……。才能が憎い……! こんなんじゃ大神官様になれない……!」


金貨一枚は一月家族が余裕で暮らせる額だが、高いとは思わない。何故なら、レオンについていたのはちょっと大物だからだ。この金額で妥当。あとリンは荒ぶらないで。あとでゆっくり話聞くから。


「わかった。お願いしよう。月一で」


 その言葉に、私達は目を見開く。年額大銀貨2枚分、金貨一枚より高くなるぞ。


「信じるの?」

「聞いてしまったからな。不安な気持ちを持ち続けるよりはいい。そのベールも安全になるのか」

「お化けと目が合わないようにするものだから、お化けが見えない人はいらないかな」


 そうして、私達は早速サバイバル実習に向けて準備をする事にした。


 私とハガネとレオンとアレクが戦闘要員、ニコラが補給、リンが保険要員である。

 レオンは文官になりたいが、みっちり鍛えもしたいのだという。

 実際、有能な文官は文武両道の人も多いとか。

 文官のレオン、商家のニコラ、騎士のアレク、神官のリン。志望通りの仕事につければだけど、結構いろんな方面にコネが出来るかもしれない。

 この縁を大切にしましょうかねっと。


 ちなみに私たちの目標は霊能者協会とか呪術界とか忍びの里とかそんな感じのものを作りたいとふわっと思っている。

 とりあえず、資金と仲間集めだ。

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