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最終夜〈 電脳空間 - 廃棄エリア - 〉



-◆-




 - 灯火を追う影ひとつ -



 - 追うものと追われるもの -



 - それはさながら影鬼のよう -



 - 次の鬼はだあれ? -






-◆◆◆◆◆-



最終夜〈 電脳空間 - 廃棄エリア(すてられたばしょ) - 〉




 電脳の闇黒の中で、もがく魂の欠片を嬉しげに喰らう鬼。


その後ろ姿、(はがね)(いわお)のような大きな背へと掛けられる誰かの声。



「見つけた♪」




 蠢く人の情報(こころ)を噛み砕きながら、訝しげな表情で鬼が振り返る。



「鬼狩りの時間だよ」




 棄てられた電脳空間(おにのすみか)に立つ女性の影が見えた。


その影の頭部の上側には二つの突起がある。角にしては太く柔らかな印象……、獣の耳だろうか……。




「今度はあたしが鬼だよ♪」


楽しげな声が闇に響く。














「ねぇ、逃げないの?……」


空間から双剣を掴み出した女性(それ)は、

縦長の瞳を鬼に向けて、嬉しそうに細めた……。






「さあ、もういいかい?(笑)」












〈おわり または はじまり〉










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆















 殺したい相手をあと腐れ無く殺すには

 その唾棄すべき存在(もの)

 魂すら残さず食ろうてやればいい


 この世へと生き返らぬようさせるには

 悔いる(おもい)を救いとき放つか

 輪廻すら怖れるよう傷を刻みこめばいい


 恐怖を喰らい愉悦となす

 (こころ)を喰らい望みを絶つぬ

 力を喰らいおのが身を満たし

 魂を喰らい虚無へと堕とす


 そして忘れる

 歓喜も憎悪も恐怖すらも喰らい尽くし

 後には何も残さない


 虚無と忘却の彼方に棄てる

 残るは黒白(あったはず)の痕跡のみ

 それは、炭と灰の如き記憶の残滓




  もう思い出さない



  かつてあったもの



  それはどこにもない





  ()が嗤う



  さあ次は何を食ろうてやろうか



  闇に昏き悦びが灯る











◆◆◆




 もういいかい?


 まぁだだよ


 もういいかい?


 もういいかい?



 電脳(ネット)の中には鬼が棲んでいる。


 振り返ってはいけない。


 のぞいてはいけない。


 眼を合わせた鬼が肩を掴んで離さない……。







 聞くともなく聴こえてきていた、

 音声放送(ラジオアプリ)で流していたホラー特集の音声データ(こえ)


 何の番組だったかもうわからない。

 検索し(ググっ)ても出てこない……。


 聞こえた(こえ)が頭から消えない……。


 心の奥底にこびりついている……。





-◇-











  喰いたい……






  もういいかい……





  もういいかい……


















   見ぃつけた♪






-あとがきと謝辞-


難儀した、こじらせた内容のものを、

最期までお読みくださりまして、どうもありがとうございました(*^^*)♪



エピソードの1から6についてはいろいろと難儀しつつ書き上げていったのですが、

結局今回は、最終夜についてはほとんどいじりませんでした。


去年の秋に見せた方への注釈の言葉の削除と、字下げと改行などについて、若干修正をしただけです。

去年の段階で、他のエピソードからの詩文を抜き出して足してすこし直し、数行を加えたくらいで終わらせ、今回再開するまで眠らせたままでした(*^^*)


エピソード7の最終夜についてはプロットの段階からほぼ決まっており、短い結末には、いじることも特には無かったのですね(^_^;)


直そうとすれば、おそらくはいじってゆくことは出来るのでしょうけれど、

特にいじって好いことも無いかと思いそのままとしました。



足した詩の、直して書き換えた部分(ルビ)の女性格が誰なのかは、特に決めてはおりません。

鬼狩りとしての狂気か、あるいは第三夜の被害者の女性が帰ったのか、全く別の鬼か……。


まあ、

人がゆきてかえるものならば、

()もまた()なり、

鬼も人もまたかえるものなり。

そういったところでしょうか?(^人^)



なお、

いろいろな拙作の中で自由に振る舞う人物、鬼狩りとして登場している猫又が、表の物語には出ない裏の役割として、鬼を狩るところまでプロット段階から考えていて、結末もほぼ決まっていたのですね(*^^*)


猫又を主人公とする物語は、自分の書く力では手に余ることは自覚しており、書き進める気は無いのですが、

それでも彼女が遊び回っているだけではないこと、お話にしづらいことをしていることは何処かで記さなければという想いは、もう何年も前から感じておりました。

今回こうした形で彼女のことを書いたことで、すこし肩の荷がおりた気がししました(*^^*)←まあ、まだやることはたくさんあるのですが(・・;)



あとは謝辞ですね(^人^)

去年に投稿した分の文章、エピソードの1から3、特に2、3の第一夜と第二夜の流れや構成などについては、交流している誰かさんにお願いして、何回ものやり取りを繰り返し校正し直しながら書いたものでした。


その後は書き方の方向がある程度固まってきたので、お手を煩わせることは少なくなったのですが、

始めた物語に道を作り整えて弾みをつけることが出来たのは、間違いなく誰かさんのお力のおかげでした。

ですから、誰かさんに感謝を♪


物語を作る際に行う創作方法で、

誰かさんは物語を彫刻のように削り整えてゆく手法を取り、短くまとめることを得手としていて、

自分は書きたいことを盛りつけて書き足してゆくやり方しか出来ず知らなかったので、

今回、書き始めたプロット段階から見ていただき、参考となる意見や評価をいただけたことは、とてもよかったと思っております(*^^*)



物語は作るやり方は人によって異なり、いろいろな考えや手法がありますが、

それでも目指すところはたぶん同じで、想いを込めて書き、楽しんで読んでいただくために、

一生懸命に書き、自分自身でもそれを楽しむことなのでしょうね(*^^*)


いろいろに難儀しつつ落ちた体力で終わらせたものですが、それでも苦しみつつ書き終えたあとの気持ちの中には、楽しかったと思えるものが残っていることを感じます(笑)

とても勉強になる、いい経験でした♪(^人^)




みなさま、

読んでいただきましてどうもありがとうございました(●´ω`●)






さて、次は何を書きますかね(*^^*)

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― 新着の感想 ―
最後の鬼が女性に追われる描写が 結局のところ、こちらの世界と同じようで ネットも現実も実はやはり写し鏡なのだと感じました。 面白い作品を読ませていただき、ありがとうございました。
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