第5夜〈 とある文章投稿サイト 〉
あとがきに、静夏夜さま、クレイジーエンジニアさまへの謝辞を追記いたしました(*^^*)
-◆--◆-
- 次の鬼はだあれ? - (第四文)
-◇◇◇◇◇-
第5夜〈 とある文章投稿サイト 〉
〈ニュース速報〉
VRMMOで致命的な不具合が出ていると
思われます。
ログインしたまま現実に帰れず、意識を
失う方の事件が、幾つも警察や医療機関
へと寄せられ……
意識不明となった方のご家族からの運営
サイトへの問い合わせが……
-◇◇◇◇◇-
追っていたニュースサイトの記事から目を逸らして、
視線で最新の記事を検索しつつ、書きかけの文書を開く。
未だ書き出さない。
再び書き始める前に、今まで書いた分を眼で追いつつ、頭を整理する。
---☆
画面を見て言葉を選び記録する。
新しく書く小説のネタをさがし、追っていた時にたまたま見つけた個人の運営サイトのブログ。
都市伝説というか、ネットのデマ話を追っていたブログ記事に目を惹かれて押さえていたものだ。
その中に、
ネットで鬼を見た!
という半信半疑なデマと思える記事の見出しがあったのを思い出す。
意識不明になったVRMMOのゲームの原因を、
ネットの亡霊、鬼になぞらえた、オカルトの文章だったと思う。
ここしばらく頻繁に見かける記事。
視線クリックで非合法サイトに導いたり犯罪サイトに跳ばされたりする悪質なショートカット。
自動運転の増加に伴い、列車の路線以外でのポップアップCM、車道などの道路走行中の宣伝などのポップアップも多くなってきたこの頃に起きてきている出来事だ。
不意のポップCMは、注意力を削がれて事故にもつながる。
そうした注意喚起の記事に混じって、
ときおり見かけるオカルトのような、荒唐無稽な、この記事があった。
少し前から、世の中を騒がせて注目されている事件。
ゲーム参加者に集団での意識不明者を出したゲームの事故であるという報道が、
実はシステム障害ではなくて、意図的なもの、それも超常の類いであるという話だ。
まあ、最近見かけるようになった、ポップアップCMの、跳んだら現実に帰って来られない、死の罠の話などと同じく、冗談のような類いの与太話だろう。
普通に考えれば、多少の不具合や障害の類いは、新しい機能を導入したならば何かしらのトラブルは起きるものだし、そうしたことが大きな事件へと発展することはある。
とはいえ、それが繰り返されるというのならば、事故というよりもネットワーク犯罪、サイバーテロという可能性の方があり得る。
管理側は事故が繰り返して発生しないように間違いなく対策を講じるし、
その原因についての出来事が簡単に説明出来ないからといって、
そのことの原因を超常に求める、オカルトに転ぶというのはどう考えてもおかしい方向だ。
ネットでの注目を得たいがために、荒唐無稽なデタラメを書くような輩は後を絶たない。
この記事もそうしたものの一つなのだろう。
おそらくは……。
いま再び観ているこれも、そうした変わった記事の中のひとつ。
オカルト的なことを前面に押し出して書かれた文書記事だ。
文書記事だった、だろうか?
そこに書いてあることは信憑性の低いもの、低いと思えるもので、普通信じられないような眉唾な話が、書き手の思い込みのままに書き連ねられていた。
幾つかのゲームの中の集団意識不明の事件や、つい最近の噂として出てきた、非合法サイトでの、電脳分身体未帰還の意識不明者などのことを主題として書かれているものだった。
そうした事件の中には、著名な人たち、メディアで見かける芸能関係者や、政財界に関わりのある人たちも相当数含まれているという、そんな根も葉もない話までが、噂を広めたい輩の間で飛び交う始末だ。
ただ実際、話に上げられた有名人たちが急病等で姿を隠し、報道やメディアで目にすることが少なくなっている、全く無くなっていることも確かなのだ。
だから余計に、記事に注目を集めるためには都合の良い状況なのだろう……。
件のサイトブログでは、
全てを鬼の仕業という、本当とは思えない話を組み上げて拡散させ、興味を持つ人の注意を惹こうとしていた。
結果としてネットの極一部ではあるが、コアな視聴者を獲得しているようだった。
記事の投稿は、自分が見かけた直後辺りの日付から、突然投稿が止まったままとなり、その後も更新されていないことが判る。
そのことが久しぶりにここを訪れた自分の目に留まり、少し薄気味悪さを感じる。
最期の記事には、匿名からの情報で、法や社会的な存在も危うくさせそうな密会場所の情報を得て、幾人かの仲間と潜入調査を試みるという事が書かれていた。
気になり、
こちらでも少し調べてみたけれど、
そうした、いかがわしい密会や会合場所が実際にあったという確証は取れなかった。
居なくなった書き手は、
世の中を形作る闇へと近づき過ぎて、その危険から逃れるため身を隠したのか、
それとも、本当に消えてしまったのか……。
超常よりも、サイバーテロのような世界の闇に飲まれた方があり得るだろう。
思い直して、メモしていた最期の一文を視線で削除する。
危ういことには触れない、近づかないのが一番。
業界の鉄則だ……。
それでも何かの形は残したい。
このことをネタにして、架空のサスペンス、
鬼の物語でも書こうか?
今出入りしているファンタジー等の作品投稿サイトなら、もしかしたらウケるかもな……。
☆---☆
視線で言葉を選び、新たな別の文章を開き、書き始める。
仮想現実を用いた電脳への意識移送は、少し前から起きている意識不明者多発の幾つもの事件のため、一時的ではあるけれど、利用者が激減しているという、あまり嬉しくない結果を被っている。
多くのSNSが点検を繰り返しており、ニュースでもそうした話題を独占していて、現在もネット界隈を騒がせているところだ。
それも致し方の無いことだとは思う。
このフルダイブのシステムでは、以前にも大きな事件、サイバーテロとも言える出来事が起きているが、
対策を講じられたということで、最近は拡張現実と共に仮想現実を用いるゲームやサービス、クリエイティブな活動を補助する役割などで幅広い分野においてその成果を上げ始めていたからだ。
ここへ来ての大規模な事件は、大きな社会的、文化的な発展事業の減速といえる事件となる可能性が高いと感じている。
杞憂となる出来事であればよいのだが……。
文書を保存して休憩にする。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
-ネットワークアクセス-
世に出回るネットワークへのアクセス方法や操作形式には幾つかの方法がある。
ひとつは今現在での主流の、仮想現実システム端末を用いた個人の意識体のダウンロードによるネットワーク内部での直接的な情報操作を行うやり方。
もうひとつは、それ以前の手動やあるいは視線誘導等の、外部からの操作機器を用いて、間接的なやり方での情報操作を行うやり方である。
昔にはおとぎ話でしかなかった、電脳世界へと意識を没入する技術は、現在では現実のものとなっている。
古い海外SF映画、遠い銀河の戦いで有名なジョウ・ローカス監督が映画作品のアイデアに出していた架空の科学技術に、実際の科学が追いついてきたように、
日本人作家の河原崎氏が書いた物語の、仮想現実システムを用いた出来事も、現実の科学が追いかけるようにして、現在ではあたりまえのものとされている。
されつつある。
仮想現実型の情報端末や、拡張現実型の情報端末も、現実のものとなりつつあり、
また、新たなシステムとして、拡張現実であり仮想現実でもある並列機能を持たせた最新式の情報端末処理システムの開発も進んでいると聞く。
こうした休憩の折にも、無意識化で行われる思考のデータ更新は脳細胞のごとくに、一時的な記録の保持をもって消されていく中、いつもの思索活動へ書き込む筆を止め、ふと思う。
今回の出来事も、いつか超常現象を主題として取り上げるような娯楽番組で取り沙汰されることになるのだろうか?
きっとそうだろう。
過去に起こった大事件。
タイタニアという船名を冠した大型客船の遭難を書いた小説と、映画にもなってヒットした実際に起こった大型豪華客船の遭難事故がよく似ていることを関連させて、予言として演出していた番組、真実を決めるのはあなただ!という煽り文句を入れていたものを思い出す。
またそうした気楽なものを観てみたいものだな……。
迷走した思考を戻し、再び思索の文章を進める。
気候変動や生物汚染、資源枯渇や経済減速等などの多くの課題を残しつつも、人類はまだ生きて先へと進んでいる。
人類の展望は明るいと思いつつゆきたいものだ……。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
……コーヒーがすこし冷めてしまった。
思考の海から現実へと戻り、
また原稿を進めてゆく。
-☆--☆
別の記事を開く。
こちらは投稿期限が近い。
先ほど思っていた言葉を、記憶の一次記憶野から呼び出して、
原稿へと繋げるために、見ながら加工してゆく。
現在は便利な世の中になったものだ。
手や声を使わなくとも、こうして文章の仕事が成り立っている。
それに専業でない物書きならば、電脳の創作AIを使って、AIが組み上げた言葉を用いて、もっと簡単に書きたいことを選んで文字に出して、そうして出来上がったものを作品としてネットワークへと流している。
便利に早く仕上げられるということは、かなり大きなアドバンテージでもある。
まあ、
便利すぎるというのも考えものなのだが……。
そうした余計なことを考えながら、書きかけの記事を綴ってゆく。
昔流行っていた、モンスターやキャラクターを、現実の発生場所を通過することで捕獲して、それを育成し、友だちと対決させたり、冒険の仲間として、ネットの世界で遊ぶゲームが今も根強く続いていて、仮想ゲーム世界でも続編が出ていたりもする。
GPSと連動する形でずっと続いてきた人気ゲーム、PPAという国内で有名だったものも、今は世界中のネット環境で繫げて遊べる著名なゲームとして国際的に認知されてきている。
こうしたゲームは現実世界を拡張させるシステムとでもいうのだろうか。
拡張現実のシステムは、
少し前に爆発的に流行り世界中に広がりをみせた、仮想現実の感覚や思考を電脳世界に投入させ、世界へと埋没させるシステムと異なり、
見て感じることを広げる拡張現実、つまり現実へとネットワークの情報などを投入し、映像や各種サービス情報などを、脳の視覚野、聴覚野などを通じて見聞きさせるというシステムだ。
以前よりあった、携帯端末のGPS機能を通じて、自らの位置情報と架空のキャラクターや大人気の巨大ロボットなどを撮影できるようにした映像コンテンツサービスや、恋愛ゲームの推しキャラの写真撮影等が出来る機能とも近い印象を持ち、そこからネットへとダイブ、SNSなどへとログインしたり、サービスボーナス等を取得させるように導いたり、
逆にそうしたものをネットワークから現実のユーザーへと届けて、その興味を引くようにしていたサービスなどが、今日の拡張現実システムの成り立ちとなっていったのだろう。
現実の感覚から切り離され、隔絶された世界の中へと埋没してゆく仮想現実システムは、時に現実を離れ、心を休めて癒され活力を得るために、時には現実を否定して新たな居場所を求める行いでもあるけれど、
拡張現実システムの場合は、ネットワーク情報などのもう一つの世界の事を、現実世界と同時に感知し、感覚として捉えられるため、日常を豊かに便利にするためのもの、一般に認知されやすいシステムという印象を受ける。
過去の携帯端末であるスモホが一般に認知され、家庭のデスクトップ端末よりも大幅な広がりをみせたように、
もしかしたらARシステムは、今主流のVRシステムよりも幅広く、現代社会の世界へと浸透して広がってゆくのかもしれない。
ちなみにPPAは自分でもやっている。
発生は電脳環境でも現実環境でも、発生ポイントはあちらこちらに在り、それぞれが独自に様々なパートナーを産みだしている。
可愛いモンスターの仲間を捕まえて、たくさん集めて出会ったゲーム仲間と交換したり、育てて戦わせたりネットワーク世界をパートナーと冒険することはとても楽しい。
それ以外の使い方として、
過去のポストペット等のように、仕事の和みや事務補助役としても、簡単な活用をすることが出来るようになっている。
AIも昔より格段に進歩していく途中なのだ。
遊びに楽しさ以上の付加価値が与えられてきていることは、
こうしたゲームもまた歩みを進め、進化の最中であることを感じさせてくれる。
ただこうした目まぐるしい進歩には、楽しさ以外に危うさを感じさせられることも時おりある。
ゲームの捕獲対象の発生場所は、GPS機能を活用し、ウェアラブル端末を通じて多くの情報のやり取りをしていて、各種の情報や広告などの転送も、その情報元から選択されて、そちらを通じて端末へと発信されている。
ネット環境でもやはり、このゲームの認知度が高まった辺りから、波及効果と思われるサイト誘導等の通知による広告競争が激しくなってきているように思う。
昔の列車の吊り広告やパネル広告、或いは街頭のティッシュ配りのようにネットでも移動した折、ニュースサイトや娯楽サイトのようなSNS領域サービスや特定のポイントを通過するたび、広告やお得情報のサービスペーパーなどが示され、意識もしなかった情報の扉へと導かれるので、
不注意や処理不良により今回の事件のようなことが起こることは、ネットワークが大部分を占めている社会としては致命的な出来事なのだとは、自分のようなものにも簡単に想像できる。
ポップビュータイプのサービス等、現実の場所を移動している最中にも起こりうる危険については、ネットワーク環境が現実社会を浸食しつつあることからも解る。
フルダイブではなくて、
GPSと連携されたポップビュータイプのものにもそうした危険性が確認されたとしたら、厳しい規制も広がるし、
ネット環境やネットワーク社会への進歩に、減速となることもあり得ると危惧している。
息を吐き、視線誘導で文章を保存させる。
--☆-☆
こうした幾つもの事件の起こっている最中でもあるから、
今までの原稿などは、電脳環境の世界への接続とせず、閉鎖した室内環境のみで作業を行っている。
個人閉鎖空間で、
そうした記事情報を視線誘導とAIの推論エンジンで書く。
使うのが久しぶりで感覚はまだ慣れないが、
そのうち戻ってくるだろう。
過去に使っていたときには不便さを感じなかったシステムだ。
フルダイブでの思考型インターフェイスと文章や映像生成AIとの組み合わせは、発表されると世の中にあっという間に広がってゆき、プログラミング方式を画期的に変えてしまい、使用側の使い方も変化させていった。
何しろ思うだけで、手軽なものなら映像も物語も自分だけのものが作れて、手早く簡単に、人に見せることが出来るのだから、
一般利用者にウケないわけがない。
まあ、
ユーザーとクリエイターとでは、やはり感じること、そうした反応が違うけれど。
自分は早く便利なことを否定してはいない。
要は使い方と使いどころを間違えなければいいだけのことだ。
道具としての技術を活かすために、何をするのか何を求めるのかを考えてゆけばいい。
息抜きとしての楽しさとして、いろいろなものを浅く知り愉しむことと、
苦しさと楽しさをモザイクのように織り込みながら、深く極める喜びを知ることとは、
結果として違うということ、けっして同じにはならないということが書くほどにわかってくるものだ。
おそらくはそう、
たぶん、生きるための、楽しむための、心の軸の位置の違いなのだろう。
インスタント食品の賞味期限、出来てから味わえる時間はとても短い。
そうした作品の、おそらくは味わえる想いとそれを覚えている時間もだ。
浅く、早く、軽く楽しみ、消えてゆき残らないものでも好いか、
遅くとも深く心に残り、時の流れに抗って残り続けるものでないとダメなのか、作る意味を感じないのか、
作り上げる心の置き所が、その作品の心でもあるのかもしれない。
ちょっとクサいセリフだが、魂の輝き、
作品の、作者の、そういった心が出来たものに宿っているのだろう。
掛けた時間と込める想いの多さが、作品へと重さを、響きを与えるのかもしれないと思うことがある。
もちろん変わらないという意見や批判も、ごく当たり前にある。
ただ自分の場合は、創作AIが勝手に考えて選び出す文字や画像と、
手で文章を打ち込み、手を使い絵を描くものとは違う。
そう思えるのだ。
過去の道具と今の技術の両方をまだ知る自分自身が感じることだ。
感じた想いを機械が受け取り、精査し経験を積んだ推論蓄積情報が思い描く場面や言葉を選択して幾つもの候補を抽出してくれる。
けれども、それはどう突き詰めていっても自分自身の描いたものや言葉にはならない。そう感じる。
似たものに留まり、間違ったジグソーのピースをはめ込んだパズルの絵のように、違和感が付き纏っている気持ちが拭いきれない。
言うなれば、痒いところには決して手が届かず、その近くを掻き続けているような気持ち悪さだろう。
仕上げの速さのために、本質を犠牲にしているもどかしさ。
マスプロダクションとアートとの違いとはこうした感覚なのかもと少し思う。
過去の生成AIツールの時にも議論されていた問題は、現在の思考読取型の推論エンジンである創作AIでも、まだ解決しきれない問題であるようだ。
こうしたことは古いシステムを知り、使ったことのある人が感じることのある感覚なのだろうか?
手が掛かることも含めて楽しむ感覚を知っている創作者と、便利さが突き詰められてゆき、それを知らなくなったクリエイターとでの世代の違い、感覚の違いなのかもとふと思うことだ。
現在、こうした記事を書くために、
大規模情報を電脳空間内に置いている最新式の現行システムではなく、
古いシステム、プログラムや推論エンジン自体を自らの個人端末内に置いて、
回線が途切れても、回線閉鎖されたまま端末自体で作業できるようにした自宅環境で、今は創作をしている。
このことも、
いつかきっと、何かの役に立つのだろう。
知識や経験は、蓄えるほどに、鍛える程にいつかの助けとなり、新たなみちを気づかせてくれるものだ……。
入力の遅さを少しもどかしく感じながらも、視線誘導させながら、簡単にメモした文章を校正、清書しながら、投稿する文章をまとめてゆく。
いつかのために。
---☆☆
一つのことを考えすぎて、疲れた頭を休ませながら、
頭の回転は止めず、速度維持させるように無意識に別の思索を続けていることを、つかれている頭の片隅で感じる。
◆■◆■◆■◆■◆
-現在の創作AI (過去からの進歩)-
ネットワークで単語やイメージを思い、想像して、思考入力するだけで、文章作成が出来るシステム。
生成AIのユーザーの思考より創り出した文章を元にして、
画像生成AIや、朗読AI(音声生成AI、ボーカロイドAD)などを並列活用している複合生成AI統合システムを使用した、
個人創作とは感じられないほどの品質をごく短期間で作成した、簡易的なVRアニメーションや、VRの没入体験型のシンプルなゲームも流行している。
ただし、システム容量の関係で、個人のローカルシステムでの運用は難しく、正常な動作は期待できない。
ネットワーク内の仮想領域の大容量システム契約を用いて創作、運用されることが現在では一般的であり、
ハード面を省略し、比較的安価でメディア創作に活用できるシステムであるために、
企業や経済力のある個人がしばしばこうした形でシステムを活用している。
◆■◆■◆■◆■◆
創作の合間の途中での一次休憩のさなか。
深く潜った物思いから再び戻ってきたとき、ふと画面の隅で点滅する通知アイコンに気づく。
閉じた環境で作業を行っているため、PPAのメール管理助手が居ないから判らなかった。
いつからだろう……?
新着のニュース速報が届いている。
ニュース記事を視線で開く……。
---★
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〈 ニュース速報! 〉
VRMMOだけでなく、ポップビュータイプ
の広告にも不具合が発生しております。
ポップビューからネットワークへの接続が
勝手に起きる危険性があります!
ポップCMの読み込みを停止するか、
以下のリンクからアプリのアンインストールを
至急おこなってください。
特に自動車運転中の方は、必ず……
歩行中や、列車などの乗り物の移動中に、
意識不明となった方を見かけましたら、
直ちに……
-◇◇◇◇◇-
◆■◆■◆■◆■◆
「怖いな……」
別のタグで開いていたニュースサイトのトップ記事を途中で閉じて、
呟くともなく独り言を口にしながら、文字入力の窓を視線で選択する。
不具合が解決してネットワークが再開したとしても、しばらくはネットへの出入りやVRMMOに顔を出すのは控えようか……。
仕事は仕方ないにしても、
創作サイトにもすこしの間、投稿以外には出入りするのを止めよう。
今日のように手許でメモや物語を書きためていればいい。
今回の事件をネタにして、
やはり書きかけの異世界転生の物語を進めようかと思いつつ、
マイページの執筆中小説ファイルを目で追い選択して開く。
なんだこれは?
視線で読み出したファイルではなくて、
書いていない、書いた覚えのない記録、おかしな文章が開かれている。
もういいかい?
もういいかい?
- もういいよ -
なんとなく、そう書き込みたくなった。
心の奥で、
閉じろ!と叫ぶ無意識の声を、身体がなぜか無視しつつ動くような不思議な感じ。
- もういいよ -
視線でそう書き込んだあと、
モニター越しに、なにかと目が合ったような気がした。
- みぃつけた! -
モニターに浮かんだ文字と、
同じことを言葉に出すノイズ混じりの電子音声。
気持ちの悪い、歓喜の浮かぶその声と共に、
モニターを突き抜けて、そこから手が伸びてくる。
人とは思えない太い腕。まるで巨人の腕だ……。
訳がわからない。
「!?」
出来の悪い夢のようだが、不意に現実なのだと気づく!
「ひぃっ……」
漏れかけた悲鳴が途切れる。
モニターから伸びてきた巨大な手に頭を捕まれて、
悲鳴と共に開きかけた口元も塞がれてしまう。
後頭部へと突き刺さる鋭い爪の痛み。
現実だ!
- つかまぇたっ -
ずるりと引き出された透明な自分の姿。
肉体と重なる二重写しになったような透明な姿からの自分の視点。
元の肉体は、糸が切れた人形のように力を失って、座っていた椅子から転げ落ちる。
透明な自分は鬼の手に捕まれたままだ。引き剥がせない!
- た、助けて! -
そう声を出したつもりだけれど、声は全く響いていない。
助けを求める目に、嗤う鬼が見えた。
夢幻ではないことを示すように、
幻のように透明な自分の耳に囁かれる、
嬉しげな鬼の声が聞こえる。
「もういいかい? おまえを喰っても」
-◆-
- 灯火を追う影ひとつ -
- 追うものと追われるもの -
- それはさながら影鬼のよう -
- 次の鬼はだあれ? -
-つぶやきです-
書き終えて校正をしつつ、
この章の人物が殺されるのを眺めながら、
なんか、ここで殺されてるのは自分みたいな講釈たれのヤツだな。というよりも自分じゃないか?喰われてるのは(・・;)
そんなことを思いつついたのですね(苦笑)
もともとの文章とプロットはとても短くて、
去年の秋に書き終えた時のものは下記↓のような形のものだったのでした。
この時は自分ではなかったのですね(^_^;)
そこに、ここ一年の間にいろいろと見聞きした現在の生成AIのことと、
そこから感じる自分の気持ちを加味しつつ、既存のゲームや自分の連載の中で書いた背景世界のことなどを足してゆくうちに、
この章の被害者の人格が自分に近づき、自分だと思えるように変わっていったのだと思います。
だいぶ体力気力ともに良くない低調な状態が長く続いている中で、
意図しない形ですが、すこし面白い体験ができたようでした♪(*^^*)
創作活動を続けている、ご褒美のようなものですね♪(^人^)
読んでいただきまして、どうもありがとうございました!(●´ω`●)
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〈追記〉
謝辞です(●´ω`●)
静夏夜さま、
クレイジーエンジニアさま、
お二方から誤記訂正をいただきました(*^^*)
どうもありがとうございました♪(^人^)
静夏夜さま、
クレイジーエンジニアさま。
お二方に感謝を♪(*^^*)
静夏夜さまには、
併せて文章中の解りづらくねじれて書いていると思われる箇所について、ご相談させていただき、
静夏夜さまに添削ご提案頂いた箇所を、一部直しつつ使わせていただきましたm(_ _)m
お話が長くなると物語が解りづらく迷走しますし、自分は校正作業、添削などは不勉強で時間が掛かりなかなかできないので、ほんとうに助かりました(^人^)
静夏夜さま、感謝いたします(●´ω`●)
---
ここから、
去年秋に中断した文章の写しです↓
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- 次の鬼はだあれ? - (第四文)
-◇◇◇◇◇-
第5夜〈 とある文章投稿サイト 〉
〈ニュース〉 VRMMOで致命的な不具合が出ていると思われます。
ログインしたまま現実に帰れず、意識を失う方のニュースが
意識不明となった方のご家族からの……
「怖いねぇ」
別のタグで開いていたニュースサイトのトップ記事を途中で閉じて、
呟くともなく独り言を口にしながら、文字入力の窓を視線でタップする。
しばらくはVRMMOに顔を出すのはやめようか……。
異世界転生なら面白いけどな。
事件をネタにして、
書きかけの異世界転生を進めようかと思いつつ、
マイページの執筆中小説ファイルを目で追いタップして開く。
なんだこれ?
読み出したファイルではなくて、
書いていないファイルが変なデータが開かれている
もういいかい?
もういいかい?
- もういいよ -
なんとなく、そう書き込みたくなった。
心の奥で、閉じろ!と叫ぶ声を、身体がなぜか無視しつつ動くような不思議な感じ。
書き込んだあと、
モニター越しに、なにかと視線が合ったような気がした。
- 見ぃつけた! -
モニターに浮かんだ文字と、
同じことを言葉に出すノイズ混じりの電子音声。
気持ち悪い、歓喜の浮かぶその声と共に、
モニターを突き抜けて、そこから手が伸びてくる。
人とは思えない太い腕。まるで巨人の腕だ……。
訳がわからない。
「!?」
出来の悪い夢のようだが、不意に現実なのだと気づく!
「ひぃっ……」
漏れかけた悲鳴が途切れる。
モニターから伸びてきた巨大な手に頭を捕まれて、
悲鳴と共に開きかけた口元も塞がれてしまう。
後頭部へと突き刺さる鋭い爪の痛み。
現実だ!
「つかまえた♪」
ずるりと引き出された透明な自分の姿。
肉体と重なる二重写しになったような透明な姿からの自分の視点。
元の肉体は、糸が切れた人形のように力を失って、座っていた椅子から転げ落ちる。
透明な自分は鬼の手に捕まれたままだ。引き剥がせない!
- た、助けて! -
そう声を出したつもりだけれど、声は全く響いていない。
助けを求める目に、嗤う鬼が見えた。
「もういいかい? 喰っても」
-◆-
- 灯火を追う影ひとつ -
- 追うものと追われるもの -
- それはさながら影鬼のよう -
- 次の鬼はだあれ? -
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今気づきましたが、投稿サイトのこと、ほぼ出て来ませんね(・・;)