第二十二話 復活の神
一方その頃、大都市にあるマンションのドロテアの自宅、巨大な影が部屋を暗くしていた。
窓から感じる得体の知れない力に震える風音と何も知らずに安らかに眠る歩美。暗がりになっているのが余計に睡眠の質を助長させる。
対照的に、外から大きな男性の声が轟く。
「我は復活した! そこにいるのは分かるぞ! 怯えずに出てくるがいい!」
「うう、流石にうちでも勝ち目がない! 瞬間移動で一回自分の家に逃げよう!」
そう言って歩美の手首を握って姿を消す。気配が消えた事に謎の影は、
「逃げたか。しかし、完全に逃げる事などできぬ!」
と声で周辺を揺らす。数々の高層ビルを薙ぎ倒しながら空高く飛んだ。
すれ違いで自宅周辺まで箒にまたがって飛んできたドロテアは、半壊している近所を見て驚きを隠せなかった。
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「おー、とんでもない大男が暴れてましたね」
一人は緑の髪の毛をした、12歳ほどの少女。望遠鏡で先ほどの様子を覗いていた。そして、
「だな。だがよ、狩るのは俺だ。手を出すんじゃねえぞ」
もう一人は同じく緑色の髪をしている、高校生のワイルドちっくな男だ。体のあちこちから碧色の静電気を散らしている。
躍起な様子を見て呆れた少女。
「男という生き物は……勝手にしてください」
「あいつの目的地を教えろ」
「恐らく猩々緋家の豪邸ですね。一つ気掛かりな事があるのですが、特定の力を追っている様子でした」
そう言いながら小型銃の手入れを始める。時間がないので軽い整備のようだ。
隙を見て妹である少女の望遠鏡を勝手に借りる男、半壊した建物の数々を眺める。
「その力ってなんだ」
「分かりません。ただ、あたしの作ったサイコキネシスを感知する道具によれば、大男より強いサイコパワーを倒れていない、あのマンションから出てます」
「ほお。じゃあ俺達も早速豪邸に行こうぜ」
巻き込まれそうな様子を見た妹は、首を横に振りながらも、同行してあげる事にした。




