星座に驚くプトレマイオス
我が名はプトレマイオス。
ひょんなことから2022年にタイムリープしたわけだが……
「コップ座、コンパス座、帆座、六分儀座……どんだけ星座があるんだよぉぉぉおおお」
プトレマイオス、私は天文学書『アルマゲスト』を著し、天動説を完成させた。
数学、占星学、天文学、音楽学、光学、地理学など、幅広い分野で業績を残した偉大なる人物である。
そんな私は、ある本を見て発狂していた。
「『88星座一覧表』……星座が八十八もあるだとぉぉぉぉぉぉおおおお。うぉぉおおおおおおお」
私が作成したプトレマイオス星座はせいぜい四十八。だが、この表には八十八もの星座が載っている。
「私が……私がいない二千年間に何があった」
夜になり、私は一人星空を眺めていた。
私よりも優れている者がいることに、私は落ち込んでいた。私はあれほど頑張って星座を見つけたというのに。
今では何億倍もの望遠鏡があるだとぉぉぉおお。
このまま、星座が落ちてくれれば良いのに……
「どーも、鎖で縛られた女座こと、アンドロメダ座でーす」
突如として、目の前に謎の女性が現れた。
全身を鎖で縛られ、というより自分から縛られにいっているような人物。
「ビューティフルスタイル」
思わず声を漏らした。
「お仕置きよ。プトレマイオス」
「こらこら、そこまでにしてあげなよ」
アンドロメダ座をなだめるように、椅子に座った婦人が現れた。
「あらあなただったの。椅子に座った婦人座こと、カシオペア座ちゃん」
「ちゃん付けしないで」
「カシオペアは何しにここへ?」
「我らが創造主たるプトレマイオス様をお迎えに来たのよ」
「ちょいちょい、プトレマイオス様をお迎えするのは俺だぜ」
クールなヤマネコが華麗なステップでプトレマイオスの肩に乗る。
「ヤマネコ座、あんたまで」
「お前らだけじゃない」
「俺たちも来ているぞ」
ヤギや狼、空には優雅に泳ぐクジラやイルカがプトレマイオスを迎えに来ている。
プトレマイオスは目の前で起きていることが現実かどうか理解できず、困惑していた。
「こここ、これは……」
「プトレマイオス様、それでは宇宙へ案内しましょう。素晴らしい旅になりますよ」
「悪くないな、こんな世界も」
プトレマイオスは楽しそうに笑っている。
プトレマイオスは巨大なクジラの背中に乗り、宇宙へと旅だった。
そして新たに星空に星座が生まれた。
ーープトレマイオス座、と。




