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1-5/資金を貯めよう~初級編~

「――まあ、そんなこんなでワタシたちはすぐにでも資金を調達しなければならないのだけれど、パトロンを見つけるのと同時並行に冒険者らしいお金の稼ぎ方をしていかないとならないね」

「冒険者らしいお金の稼ぎ方、ですか……?」


 ヒランエルさんの言葉に俺が首をかしげると、すかさずラタリアさんが説明を入れてくれる。


「冒険者っちゅうのが名は体を表している通り、冒険者は冒険によって金を稼ぐ。まあ、今の時代、冒険らしい冒険はできないから、冒険者は依頼をこなすことでお金を稼いでいる」

「ああ、確かに。冒険者組合に加入して、次々と依頼をこなしているイメージがあります。光輝のアジエスタぐらいになると、本部から出てくるような大きな依頼ばかり受けているイメージですが、俺も最初からそれに参加するんですか?」

「ちっちちち、オスカー、君は誤解しているようだね。光輝のアジエスタは確かに名前のあるパーティーだ。それは間違いないが、本部の依頼は全体の依頼の何割ぐらいだと思う?」


 わざわざ質問に出されているぐらいだから、想像よりもずっと低いのだろう。

 冒険者組合にどれくらい依頼が出されているのか想像もつかないが、本部の依頼は半分もないのかもしれない。


「半分ぐらいですか?」

「ヒランエル君は本当に良い間違いをしてくれるね。正解は一割程度だ。依頼のほとんどは民間の人間やっ式から出されたもので、本部が出すような大きな依頼は、それこそ民間人の手では負えないような大きなものばかりだ」


 ヒランエルさんが例を出してくれる。

 災害への対処や救出、大きな魔物の討伐なんかは本部から出るようだが、それ以外の依頼は一般人から出されているものらしい。

 ちなみに、依頼のほぼ半数を占めているのは薬草や魔物の採集らしい。


「薬はどこでも、いつの時代でも必要不可欠なものだし、いくらあっても困ることはないからねー。まあ、そういうわけで、光輝のアジエスタはこれから依頼を受けて、当面の資金を調達したいと思う」

「依頼を受ける基準はどうしているんですか? どんな依頼を受けているんですか?」

「隻詛王たるこのワタシが決めたい……ところなのだが、ワタシが受けると決めた依頼は皆から批判されるからね。ヴァズが判断を下しているよ。それでは今日の依頼の確認をしておこうか」


 ヒランエルさんにバトンを渡されたヴァズさんは羊皮紙を何枚か懐から取り出した。

 冒険者組合に張り出されていた依頼の書類らしく、概要と報酬が簡単に書かれている。

 横でヴェネッタさんが教えてくれるのだが、依頼を受けるかどうかの判断を下すときにはより詳細な情報を受付で聞くこともできるらしい。

 ヴァズさんが依頼の説明をしてくれる。


「今日、受けようと思うのは三つだ。一つ目はロッコダケの採取、難易度は中ぐらいだ。二つ目は西の鉱脈付近に発生した魔物の討伐で、大きな魔物では出ていないのだが、かなり数が多いらしい。鉱脈の持ち主がかなり報酬を高めに設定している。無難に受けたいと思う。そして三つ目は難易度の高い、魔木まぼくの討伐だ」

「ほー、三つも受けるのか! いいじゃないか! それじゃあ、依頼に向かおう!」

「待て待て。ヒランエル、オスカーの扱いについて詰めていないじゃないか。しっかりと話し合っておこなければ事故や死に繋がりかねない」


 ヴァズさんが説明してくれた依頼について、僕には全く予備知識がないので、どれくらい難しいのか想像がつかないが、光輝のアジエスタはかなり実力のある冒険者一党だ。

 おそらく、それほど難しくない依頼と言っても、世間一般からしてみれば難易度の高いものになるだろう。


「少なくとも、魔木の討伐に関してはオスカーは見学になるね。初っ端から魔物の討伐には付き合ってもらいたいと思っているけれど、ある程度動きの読める魔物と違って魔木はかなり変則的な動きをするから」

「魔木って言うと、木の形をした魔物のことですよね? 獣の姿をした魔物とは全然違うんですか?」

「違うとかのレベルじゃない」とは、ヴェネッタさん。

「初心者が魔木の討伐とか冗談じゃない」とは、ラタリアさん。

「死ぬ気なら」とは、シャムザさん。

「無理だ」とは、ヴァズさん。


 全員が全員、無理だと言っているということは本当に難易度の高いものなんだろう。

 それに、光輝のアジエスタの皆さんは仲間として連携を取ることができているかもしれないが、少なくとも新入りの僕は皆さんに合わせることもできなければ、合わせてもらうこともできない。

 基本的には戦闘には補助的に参加し、危ないと思ったらすぐに下がることを約束させられた。




「――ロッコダケっちゅーのは、最高のキノコって呼ばれることもある、魔生物だ。まあ、最高のキノコなんて言われてるけど、正直、汎用性が高いだけでそれほど希少性のあるもんじゃねーぜ」

「ラタリアさんは魔生物に詳しいんですね。ロッコダケって何に使われるんですか? 食用にも使われているんです?」

「ああ。ロッコダケは食用はもちろん、生薬に混ぜ込んだり、毒に使われることもある。魔力によって染めることが得意な上にかなり吸収が早いんだ」


 ラタリアさんを先頭に森の中にどんどん入っていく。

 今は資金調達のための活動の真っただ中。一つ目の依頼を受けている最中である。

 ロッコダケはかなり汎用性が高いため、量も必要だそうだ。見つかれば見つかるだけお金になるそうだが、どこにでもあるキノコなのでそれほど価値はない。

 ――僕のために用意してくれた冒険者のチュートリアル、ってところか?

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