1/1スケール
掲載日:2021/06/21
昼下がりで静まり返る住宅地の一角にその模型屋はあった。
昔ながらのパッケージには色褪せているものもあったが棚の上段まできっちりと綺麗に陳列されていた。
正面のガラス戸を開くといつものようにカウンターの向こうで佇む店主がこちらに視線を送っていた。
「いらっしゃいませ」
一文字ずつ噛みしめるようにゆっくりと言った。
店内で目当てのものを見ている時も店主の視線を背中に感じた。恐らく細い目で背中を見守られているんだろう。
棚の上の商品に手を伸ばし、店主の居るカウンターへと持っていった。
「ありがとうね。1250円になります」
プラスチック製の料金受けに模型代を置き、商品を受け取った。
「これ、お釣りの50円ね」
お釣りを手渡す店主の手首にはランナーのバリがちらりと見えた。




