第二十九話「予選バトルロイヤル開幕」
Side 天野 猛
『アウティエル選手!! 次々と地面に叩き落として脱落させていく!!』
『レイ選手もシャインブレードを身に纏っての参加との事ですが全く相手を寄せ付けていません!』
島田さん、木下さんがそれぞれ実況解説を行う。
試合は猛の想像通りに進んでいった。
同時にこれだけの変身ヒーローやヒロインがいたのかと驚いたりもした。
『ブラックレヴァイザー選手も負けてはいない! てか何者!?』
「猛さんアレって!?」
「うん――」
島田さんが黒いレヴァイザーに驚いたように猛と春歌も驚いていた。
なぜここにと思ってしまう?
バッファローのような姿になって次々と選手を蹴散らしていく。
そんな中で――
☆
Side レイ・シュナイダー
「レイ選手!? 悪の組織部の犬井 健太選手に防戦一方だ!?」
『チッ!? こんな隠し球がいやがったのか!?』
犬井 健太。
ドーベルマン思わせるような凶悪なデザインのブラウンのパワードスーツを身に纏っている。
最初はおどおどして逃げ回ってばかりいたが、ふとした拍子にキレて手当たり次第に両腕の爪でラッシュを仕掛けていく。
『うおらあああああああああああああああああああああ!!』
『悪いが構ってばかり入られないんでな!! 波動百烈拳』
レイは波動百烈拳。
拳を気弾に変えて百発放つレイの得意技。
それを放射状に至近距離で――いちおう加減して放った。
諸に浴びた犬井 健太はそのまま場外となった。
『え、え――あれ? 僕なにやってたの?』
などとキョロキョロする始末。
どうやら何かしらの行動で性格が豹変するトリガーのような物が存在するようだ。
レイは思わぬ強敵に脱力感を感じた。
『ッ!?』
瞬間、身体の動きが止まる。
今度は白いヘビのようなパワードスーツを着込んだ人間が近付いて来る。
右手も白いヘビのようなガントレットになってるのが特徴だ。
巳堂 白夜。
元理事会の父を持つ息子。
今は真面目に更正のための社会復帰の道を歩んでいるとレイは聞いていた。
それはともかく――
(これが噂に聞いていたヘビ睨みって奴か!!)
巳堂 白夜のスーツ・・・・・・詳しい解説は省くが霊装具と呼ばれているカテゴリーのパワードスーツ。
雷を纏った毒霧を放ったりとか右腕を鞭のように扱ったり出来るらしいが一番厄介なのはヘビ睨みと言う相手を停止させる能力。
タイマンではまず敵に回したくない能力だ。
『スネーク・クラッシャー!!
そして容赦なく右腕のヘビのガントレットを伸ばして頭上で勢いよく振り回し、ヘリコプターのような回転速度になった段階で紫色の雷の塊が飛んできた。
爆発が起きるが――
『耐えただと!?』
『ああなんとかな!!』
身体が動けないだけ。
ただそれだけだ。
それにシャインブレード事態の性能もある。
相手が必殺技を放った瞬間に停止が解けて防御態勢が取れたのもある。
だから耐えきれた。
☆
Side 宮園 恵理
アウティエルこと宮園 恵理は二人に苦戦していた。
二人とも外国人で歳は一つ年上だろうか。
恵理と同じぐらいのとんでもない爆乳だった。
色んな意味で観客の視線を釘付けだ。
一人はアメコミ風スーパーヒロイン。
女子プロレスラーのリングコスチュームにも見えなくもない、胸を覆う赤い生地に☆のマークが付いた大胆な衣装を着た金髪ショートカットの女性、リンダ・アイゼンバーグ。
もう一人は角と尻尾が付いた、黒縁模様の雌牛を連想させる様な白いレオタード、ロンググローブ、サイハイブーツと言うこれまた女子プロレスラーのリングコスチュームにも見えなくもない衣装を着た長い金髪の女性、ジュディ・ライアー。
見た目はアレだがとんでもないパワーと連携で襲い掛かってくる。
(こんな強敵がいたなんて――見た目はアレだけど中々油断できないわね)
などと思いながら恵理は会場内を飛び回る。
いよいよ予選のバトルロイヤルも終盤戦である。




