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唯一の精霊族は最強を夢見る  作者: 羽織 輝那夜
勇者育成専門学園
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2-7 鈴木暴走

 なんか桜が桜ではない気がする。あんなやばそうな顔をしている桜は初めて見た。


 すると、横から肩をたたかれた。


「気にしないでね。桜、あいつだけめっちゃ嫌っているの」


 俺はなぜ嫌っているのか疑問に思ったが聞くまでもなかった。


「純愛の女神を何を致す」

「あんたが私たちにしてくれたことよりは軽いと思うです」


 多分、あのござる男が二人が女神と呼ばれるようになった原因なのだろう。


「いったい、何の話をしているでござるか。拙者は何もしてなどござらん。拙者は思ったことを口にしただけでござる」

「それが悪いのです」


 桜は、しばらく痛がっているござる男を見下すと飽きたのかこちらへ戻ってきた。


「変なところを見せてごめんです」


 桜は戻ってくるなり頭を下げた。


「別に気にしないですよ」

「先生ふっかぁぁっつ!!」


 ドアから勢い良く鈴木が飛び込んできた。俺たちは軽くよけるとそのまま床に倒れていった。


「ん?猿飛君じゃないですか。頭から血を出してどうしたんですか?」

「痛いでござる」


 猿飛は鈴木から質問されても「痛い」としか答えなった。


「痛いといわれても傷を癒すことなんて先生できないですよ。それじゃ、健康な人は席に座ってください」


 猿飛は無視していくのか。まぁ、この先生らしいがなんか気分が悪い。誰にも気づかれないように回復魔法くらいかけてやるか。


「いたい、いたい。ん?痛くない!?」


 猿飛は勢いよく跳びあがり、自分の席に戻った。


「これが拙者に目覚めた新しい力かもしれないでござる」


 なにか一人で言っているが無視しておこう。俺が魔法を使ったことがバレては意味がない。


「それじゃ、今日新しい生徒。カイ・グリアムズ君がこのペガサスの一員になりました。ワーワー。どんどん。パーパー」


 鈴木は一人で拍手したり、どこから出したのか楽器を鳴らし始めた。


「カイ君に名前を教えるよ。みんな一斉に自分の名前を言ってね。せーの」

猿飛木津さるとびこつでござる」


 鈴木の掛け声に従ったのは猿飛だけだった。ほかの二人は呆れた顔をしていた。


「うんうん。カイ君はみんなの名前を早く覚えようね。それじゃ、今日はカイ君の初めての授業だし、オリエンテーションをやろうか」


 先生はまた変なポーズをとり、イケボになった。


「それじゃあ、行くぞ。運動場へ」

「先生かっこよすぎでござるよ!!一生ついていくでござる」


 三人が引いている中猿飛だけは興奮していた。鈴木は自分から一番近い窓辺に移動すると懐にしまってあるボタンを押した。

 窓から外へつながる階段が構築されていく。


「それじゃあ。これで降りようか。みんな」


 いまだに鈴木はかっこつけていた。


 窓から階段が出てきたぞ。いったいどうなっているのか。もうよくわからなくなってきた。


 全員が階段を下り終えると階段は自動で片付けられてく。


「オリエンテーションの内容は、なんでもありの鬼ごっこだ。なんでもありって言っても意図的に相手を傷つけてはいけないよ?特に桜君」


 桜を見ると急いで何かを背中に隠した。


「桜殿。そんな物騒なものをもって一体何をするつもりでござろうか?」


 いつの間にか桜の後ろにいた猿飛は桜の隠した棍棒を奪うとどこか遠くへ投げ飛ばした。


 猿飛。多分お前をぶん殴るための棍棒だと思うぞ。


「まぁ、不正はなしで鬼ごっこをするよ。最初の鬼は猿飛君ね。さっき投げた棍棒を取りに行って戻ってきたら捕まえてね」

「え?さっき投げたってどこまでいったかわからないのであるが……」


 戸惑う猿飛に鈴木は冷たい笑顔を向けた。


「そんなことは知らないよ。でもね自分でやったことは自分で片付けないとね」


 猿飛は恐怖のあまり震えだすと急いで棍棒を探しに向かった。


 あの先生、猿飛にだけあんなに厳しいのか?綾香たちはそうなんだろうな。


 綾香たちを確認すると、二人は委縮していた。桜に限ってはいつも以上に震えているようにも見えた。


「そんなに震えることはないと思いますが」


 俺は二人を気遣ったつもりだったが二人は俺をやばい人を見るかのような目で見てきた。


「あんな先生初めて見たよ?」

「ですです」


 これは完全に先生に怯えているな。当分この状態が続くだろうな。


「猿飛君が帰ってくるまで暇だし、カイ君に気の使い方でも教えますか」


 鈴木は袖をまくると、綾香を指さした。指名された本人は不思議そうにしている。


「綾香さん。君の許容量最高まで気を高めて」

「了解です」


 綾香は深呼吸を始めた。見る見るうちに綾香に気が集まっていく。


「カイ君見てますか?これが気です。この二人から聞いたかもしれないけど、気は人それぞれで溜められる量が変わります。綾香さんはこの学校の生徒で言ったらトップぐらいでしょう。そして、猿飛君。彼は気を操るのが上手。桜君は頭がいいだけですかね?」

「むきーです」


 俺の後ろにいた桜はお怒りのようだった。


「それじゃ、カイ君も気を溜めてみてください」


「ふーー」


 鈴木は感嘆の言葉を漏らした。


「確かにカイ君は規格外ですね。魔族は気を操ることができないのにその上、これほどの気を扱うことができるなんて。ああ、過去の血が騒ぐぅぅぅ」


 鈴木は頭を押さえ気が狂ったかのような表情を見せた。そばにいた綾香が異様に感じ、鈴木に声をかけた。


「先生、大丈夫ですか?」

「これは失敬、つい我を忘れるところでしたね」


 鈴木は咳払いすると気を溜め始めた。


「気を溜めるのに慣れてくれば一瞬でこの量は集めることはできます。カイ君には及びませんが、私も結構高い方なんですよ」


 鈴木の体一瞬見えなくなった、と同時に俺の体に衝撃が走った。


「ぐふっ」


 俺は腹の中にあった空気を口から吐き出した。


「先生!?何しているんですか?」


 綾香が叫び俺の前に立つ。その横には桜もいた。


「きゃはははは」


 鈴木は完全に正気ではないだろう。あの笑い方は異常だ。会った時から異常だったがそれ以上に異常だ。


鈴木は俺を狙って飛び込んできた。俺はそれを軽く避け、通り過ぎる背中にデコピンを入れた。


「きぇへへへ。真正面から言っても無理そうですねぇ」


 今度は俺の近くにいた二人を捕まえた。


「これならどうですか?」


 鈴木は桜の頬を舐めまわした。


「きゃー、やめるです」

「何してんだよ先生」


 綾香と桜は何がどうなっているのかわからず叫ぶことしかしなかった。


 ああ、変に話すのも疲れたし普通に話すか。


「鈴木と言ったか?普通に気持ち悪いぞ」


 俺は全身に気を溜め、それを右こぶしに集めた。そして、鈴木だけを狙い、軽く空気を押し込む。すると押された空気は空気砲となり、鈴木に向かって飛んでいった。


「ぐへ」


 鈴木はわざとらしく倒れると笑い出した。


「いやー。カイ君すごいね。何か話し方に違和感あると思ってたんだけど。すごいかっこいいよ。そっちの方が断然いいよ。それに実践に物怖じしないその実践慣れしたかのような柔軟な動き。いいね。学生とは思えないよ」


 笑う鈴木の横で綾香と桜は口を開け、呆然としていた。


「なるほどな。気づかれていたか。さすが優秀な生徒を育てているだけある。それと付け足しておくが、桜は目がいいぞ」

「そんなことは知っていますよ」


 鈴木の返答に桜が一番変な顔をしていた。鈴木は話を続けた。


「桜君の怒った声を聴くためですよ。今度はしっかり録音しましたよ」


 鈴木は懐から小型マイクを取り出した。



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