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唯一の精霊族は最強を夢見る  作者: 羽織 輝那夜
魔王育成専門学園
30/54

1-29 学年別対抗戦〜前日〜

 他のクラスと関わることがないからな。Dクラスがどのくらいの実力なのか今から楽しみだ。

 腕を組み、自席に座っていると横から声をかけられた。

「何呑気に座っているのよ。早くついて来て」

 ニアは俺の腕をとり、無理やり立たせた。

 急ぎ足で教室を出ようとするニアの後ろ姿に声をかけた。

「そんなに急いでどこに行くつもりだ。俺は約束から逃げるつもりは無いぞ」

 ニアは振り返るとめんどくさそうな顔を俺へ向けてきた。

「いいからついてきて」

 強引に俺の手を引っ張り連れて行く。


 しばらく無言で廊下を歩いていた。

「おい、どこまで行くつもりだ」

 声をかけるがニアは俺の質問を無視し廊下を歩き続ける。

 仕方ない。このようになったニアは何をしても反応しないだろう。好きなようにさせるか。

 廊下から外へ出て中庭へ向かった。

 この場所は確かカミュが魔法の練習代にされていたところだな。相変わらず、ここは人気がない。そういえば、あの虐めてた奴らはどうなったんだろうか。興味がなくて全く気にしていなかった。あれからカミュに聞くこともしなかったしな。今のあいつになら聞いても大丈夫だろう。あとで聞いてみるか。

 などと考えていると、急にニアが立ち止まる。

「ここでして」

 彼女は俺に背中を向けながら言ってきた。

 ここでしてと言われてもだな。約束を忘れてしまっているのだが。

 俺が口を開きそう聞こうとした瞬間、彼女が先に声を出した。

「もしかして、嫌?」

 よく見ると彼女の肩が僅かに震えていた。

「嫌というわけではないのだが、約束を忘れてしまったんだ」

 彼女は勢いよく振り向いた。その顔には羞恥心のせいか少し頬が赤くなっていた。

「そういうことは先に言いなさいよね!!」

 言おうとしたのだがな。などと反論したらめんどくさくなりそうだったのでここは控えることにした。

「すまない。それで約束とは何だ」

「なでなでよ…」

 彼女の声は小さく弱々しい声音だったが、しかしはっきりと俺の耳に届いた。

 そんな約束もしていたな。そんなことをされて何が嬉しいのやら。

 俺は彼女の頭にそっと手を乗せる。

「きゃ…」

 彼女は驚くように声を出した。

 彼女の頭に乗せた手を左右に動かす。

「ん…ん…」

 彼女はなぜかしらやらしい声を出す。

「これでいいか」

 俺はニアの頭から手を離す。

 彼女は、自分の頭から離れていく手を名残惜しそうに眺めていた。

「なぜ、そんな目をする。頭を撫でられることがそんなに嬉しいのか」

「別に関係ないでしょ!」

 彼女はそっぽを向いた。

 しばらく沈黙が続いた。中庭は人気がなく静かで風も心地よかった。

「カミュの事、どう思っているのよ」

 ニアは唐突にカミュの話をしてきた。

「教えがいのある良い弟子だと思っているが?」

「へ〜」

 彼女はそういうと何かを考えるように黙り込んだ。

「カイ。一度しか言わないからよく聞きなさいよ」

 彼女は真っ直ぐ俺と目を合わせる。そして軽く深呼吸した。

「私……あなたのことが……」

「何してるんですか?こんなところで」

 ニアの声を遮るようにカミュが横から声を挟んできた。

「ちょ、あんたいつからいたのよ」

 彼女の顔は先ほどよりも赤くなっている。

「先程、教官殿とニアさんが手を繋いで中庭へ向かうのが見えましたので、これは危ないと思い。急いで追いかけてきましたのよ」

 彼女は意味ありげに口角を上げる。それに対して、ニアは悔しそうな顔を浮かべていた。

「さあ、教官殿曇ってきましたし中に戻りましょうか」

 カミュは俺の腕を引っ張る。

「ちょっと待て」

 腕からカミュを引き剥がすとニアへ向き直る。

「何を言おうとしていたのだ」

「もう大丈夫」

 彼女はそういうと不貞腐れた顔になり、校舎へ戻っていった。

 横にいるカミュへ顔を向けると彼女はしてやったりと言うような顔をしていた。

 この二人は仲があまり良くないようだな。前からこんなに悪かったか?


 学校が終わり、カミュと寮へ帰っていた。

「カミュのクラスはどこと当たったんだ?」

「んー…確かAクラスですね」

 彼女はしばらく沈黙し、なんとか思い出して答えた。

「忘れているとは、興味が無いのか?」

 彼女は即答した。

「全く興味ないです!教官殿以外眼中にありませんよ」

 何故か彼女は意味有りげにそう言うと胸を張った。

「くくく、俺以外眼中に無いのか。俺を倒すのに必死なようだな」

「そういうわけではないのですが……」

 彼女は肩を落とした。

「でも、教官殿に負けないよう頑張って勝ち上がりますよ」

 彼女は拳を上げる。

 弟子というのは師匠を越えていくものだからな、正直学年別対抗戦で当たるのが楽しみだ。

「よく言ったカミュ。俺のところまで勝ち上がってこい。そのときは本気で相手してやる」

 楽しさのあまり少々力んでしまったか、体から魔力が少し漏れる。

「なんで、もう戦闘態勢に入ってるんですか」

「すまない、興奮してしまってな。つい魔力が少し暴走してしまった。それにしても魔眼を使わず魔力を見るとは成長したな」

 彼女は首をブンブン振り回す。

「教官殿の魔力は魔眼を使わなくても誰でも十分感じ取れますよ」

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