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唯一の精霊族は最強を夢見る  作者: 羽織 輝那夜
魔王育成専門学園
19/54

1-18 魔王誕生!?

 ピカトルたちはあれからずっと話しながら、魔力の層を作ろうと練習していた。

『遅い。フォンのやついつになったら戻ってくるんだ。まさか先生ともあろう者が途中で逃げた訳ではあるまいな』

「遅すぎる」

 俺はついその言葉を口にしてしまった。

 すると、隣で寝ていたはずのニアが返事をした。

「確かに遅いわね」

 ゆっくりと両手で体を持ち上げ、起き上がる。

「もう起き上がって大丈夫なのか」

 ニアは立ち上がり、上へ跳ねたり、体を伸ばしたりして軽く体操をする。

「ええ、もう大丈夫よ。それにしてもあなたなんでもできるわね」

 ニアは先ほどの試合で負けたことを根に持つ言い方をした。

「俺にはまだまだ力が足りない。もっと自分を鍛えなくてはいけないんだ」

 俺は軽く右拳を握りしめる。

「それほど強いのになんで力を求めているの?」

 ニアが興味深そうに質問すると、他の生徒も気になるのか練習をやめ、こちらに近寄ってきた。

「俺が力をなぜ求めるか。それは神話に出てきたドラゴンがまだ生きている気がするからだ。ドラゴンが復活した時に倒すための力が俺にはまだない」

 俺が話終えると、一瞬静まり返る。そしてクラスメイトは笑い出した。

「ドラゴンなんて作り話に決まってんだろうが。いやー、久々に笑わせてもらったぜ。お前も冗談を言ったりするんだな」

 ラフクスが馬鹿にしたような笑顔を俺へ向けてくる。

『信じないか。まあそうだろうな。何か確証があるわけでは無い。あくまで俺の勘だからな』

 などと考えているとニアが肩を叩いてきた。

「先生が帰ってきたわよ」

 俺は第一演習場へ目を向ける。

 確かにフォンが第一演習場の真ん中に立っていた。俺はフォンの元へと降りていき、話しかける。

「随分と時間がかかったようだな」

 フォンは顔色を全く変えずに返事をする。

「申し訳ないわね。あなたと戦うには私も本気にならなければいけないと思ってね。学長先生に許可を貰いに行っていたのよ」

『学長に許可を?フォンは俺が思っている以上にすごい魔族なのかもしれないな。考えてみれば、特待生を集めたクラスの担任を任されるほどだ相当な実力の持ち主なのだろうな』

「準備はできてるわよね」

 先ほどまでの子供っぽい先生とは思えないほどのオーラを放っている。

「いいだろう。準備はできている。いつでもかかってこい」

「ええ」

 彼女はそういうと一瞬で俺の前から消えた。

『全く見えない。これが彼女の本気なのか……いったいどこに行ったんだ』

 俺は周囲を見渡す。すると後ろから声が聞こえてきた。

「私の姿が目で追えていないようね」

 彼女は笑いながら挑発してくる。

「さっきまでの無双は終わりなのかな?もしかして疲れちゃったのかな」

 俺が振り向いた瞬間、腹に衝撃を感じ視界が回る。後方から風をすごく感じる。俺は今、乱回転しているようだ。背中に衝撃を感じると俺は第一演習場の壁にぶつかっていた。続けて、フォンが一瞬で距離を詰め目の前に現れる。俺は右手を掴まれ宙へ思い切り投げ飛ばされる。俺が空中に飛ばされている間も彼女は間髪入れずに獄炎(ファムナリス)を連発してくる。

 俺は全身に魔力の層を作り、獄炎(ファムナリス)を受け流す。

炎檻(ファロウ)

 彼女が呪文を唱えると俺の足元に炎の檻が作られる。俺は檻の中へとそのまま落ちていった。

 徐々に炎の格子が迫って来る。俺の体は魔力の層で守られてはいるがこの状態がいつまで続くかわからない。魔力の層が少しずつ削られていく。

「檻の中とは居心地が悪いものだな」

 俺は余裕の笑みを浮かべる。

「いつまで痩せ我慢しているの?そろそろ危ないんでしょう。早く降参しないと丸コゲになって死んじゃうわよ」

「先生が生徒を殺してしまっても問題は無いのか」

 彼女は笑い、

「問題は無いわ。さっき学長から許可をもらってきたのよ。誤ってカイ・グリアムズを殺してしまうかもしれませんとね」

 フォン先生はいかにも悪人のような顔をしている。

「なるほど。貴様は俺を殺す気で来ているという訳か」

「そうよ」

「ならば俺もそれに答えるとしようか」

 俺は炎の格子を両手に握りしめ力を入れる。すると格子が嫌な音をたて歪んでいく。そして檻が蒸散する。

 俺は彼女を見る。

「おい、どうした。先ほどのように笑うがいい」

 フォンの顔の余裕の笑みは消えていた。

「ほんとあなた強すぎるわね」

 彼女は後ずさると

「これならどうかしら土穴(ソルホル)からの風炎(ウィムス)

 俺の足元に魔法陣が現れると大きな穴が出来上がり、風によって威力が上がった炎が俺を襲った。

「どう?まだ生きてる訳?」

 彼女は穴を覗いてくる。

「冗談をいう余裕があるのならもっと威力を上げる事だ」

 フォンは憤りを覚えたようで、もっと魔力を込め始めた。

「全然ダメだな。全く効かないぞ。飛行(フーブ)

 魔法を唱えると俺は、上にある出口に向かって飛んでいく。

 フォンは俺が空を飛んでいる事に気がつくと軽く舌打ちをし跳び上がる。

「すごい跳躍力だ……だが残念だったな。俺には少し届いていないようだぞ」

 そう言い放つと俺は彼女の肩に思い切り、かかと落としをくらわせると彼女は地面へと突撃する。

炎檻(ファロウ)

 彼女を炎の檻が囲む。檻の中にいるフォンに向かって挑発する。

「どうだ。自分の魔法でやられる気分は?」

 するとフォンは笑い出した。

「そうよ!これは私の魔法よ。どうすれば壊せるかも把握済みよ」

 彼女は檻に向かって魔法を唱える。しかし何も起きなかった。彼女は再び魔法を唱えるが先ほどと同じように何も起きない。

「いったいどうなっているの?なんで魔法が解除されないの」

 彼女は焦燥感に駆られ何度も魔法を唱える。

「貴様が解除の魔法を使うとは大体予想できていたからな。既に対策済だが」

 それを聞いた彼女の顔は青ざめていく。

「ほらどうした。早く解除する方法を見つけないと炎で焼かれるぞ」

 彼女は両手をあげる。

「もう無理ね。敵わないわ。こう─」

「降参とは言わせないぞ」

 彼女の顔が恐怖に染まっていく。そんなフォンをよそに俺は観客席に向かった。


「さあ、みんな帰ろうか」

 今までに無いくらいの爽やかな笑みを浮かべる。

「でも先生を解放させてからじゃないと……」

 ニアが小さくそう口にした。後方から先生の叫び声が聞こえてくる。

「冗談に決まっているだろう」

 俺は魔法を解くとフォンの元へ向かい回復魔法をかけ。

「どうだ?痛むところはないか」

「ええ、大丈夫よ。殺されるんじゃないかってすごく恐かったのだけれど」

「悪かったな。てっきり、演技をしているのではと思ってな」

 彼女はみんなを集める。

「明日は、みんなに一言軽く自己紹介をしてもらうわ。今日はこれで解散よ。また明日ね」

 空元気で笑顔を作ると彼女は保健室へと向かった。

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