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唯一の精霊族は最強を夢見る  作者: 羽織 輝那夜
プロローグ
1/54

0-1 魔王城に白き輝き現る

 天井に広がる大きなスクリーンはどこまでも澄み渡り、一つ一つの輝きが重力を無視し落ちてくるそんな気にまでさせられる。

 魔王城ガナシエラ。魔族の世界で一番強く皆に認められたものが住まう城だ。外装はそこまでだが、城から溢れ出る魔力は城主と同等のものだった。

 魔王城は城主の力を分けてもらうことで生き続けているのだ。城主の要望に応えその姿を変えることができる。今の魔王は派手なものは好かないようで外見は、石造りの簡素な建物だった。その姿は豪華な庭にはあまりにも不釣りあいだった。

 月光が一つの部屋を照らし始める。魔王城ガナシエラ城主。魔王ガイル・グリアムズは、体中に嫌気が走るのを感じた。体温で暖まった布団をどかし、起き上がると不機嫌そうな顔を浮かべる。軽く両手で体を温めるように擦るとその場から離れた。そして、外に広がる無数の輝きに引っ張られるように窓に近づいた。

 頭上のスクリーンに映る輝きが線を描く。また一つ。無数の輝きは何かの誕生を祝福するかのように絶え間なく線を描き続ける。スクリーン全体が輝きで埋め尽くされていく。その光景は、とても美しく幻想の世界へ迷い込んだと思わせるほどのものだった。

 一つの輝きが直線を曲線へと変える。輝きはガナシエラへと導かれていった。一筋の輝きが光の矢となって地面に突き刺さり、魔王城を包み込んだ。そして、大きな地震に代わり大陸全土を震わせた。その振動は海だけでなく大気にまで響き渡るほどだった。

 魔王城の豪華な庭の一部が壊されていた。いくつかの低木がなぎ倒されている。その中心に大きなクレーターがあった。


 ガイルは眩しさのあまり目を覆っていた手をどける。そして、窓枠に乗り出し外を見た。輝きが弱々しくなっていくなか、赤ちゃんの泣き声がガイルの鼓膜を揺らす。ガイルは音を頼りに赤ちゃんを探すと、クレーターを見つけた。その中心には泣いている赤ちゃんが一人いるだけだった。ガイルは赤ちゃんを確認すると窓から外へ駆け出した。

「なんだ?この赤ちゃんは……」

 ガイルは赤ちゃんを両腕で優しく包み込む。そして、赤ちゃんに向かって解析(ネーシス)の魔法を使った。ステータスを確認するとガイルはその大きな目を見開き、瞬きを繰り返す。

「精霊族……」

 ガイルは、魔族でも、人族でもない、()()()の赤ちゃんを抱きかかえ、魔王城ガナシエラへと引き返した。


 この世界は、魔王が統率する魔族。勇者を信仰する人族。ニつの種族。人族と魔族はルールと秩序を結び合い、一つの大陸に共存し繁栄していた。そして今ここに、三つ目の種族。精霊族が現れた。

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