希望と絶望が入れ変わる夢
私は、静かな戦場に立っていた。
部隊が来ようが、数が居る分……小さな動揺は全員に拡散する。
少数精鋭を送り込んでこないのは、多分他の場所で取られているのだろう。
鏡は今は何も写していない。私の機体ですら、光りが反射しても見えない。
地面に横たわっている、数100という機体は自分の仲間にやられた人達だ。部隊がどんなに強固であり、精神を鍛えていようと……人は人、機械にはなれない。
私は暇なので、上を見上げて……亡霊に落としていた、巨大な杭を持つ機体を見ようとした。
鏡は写った。それを、私は姿に変えて。
巨大な杭を構え、角度を整え宇宙の彼方に飛ばした。
数分待っていると、こちらに敵が迫ってくる。
味方なんて居ないと同じだから、殆ど敵と思ってもいい……。悲しくはない、ただ同じ様になっていくのが惨めなだけだ。
姿を戻すと、敵は容赦無くこちらに銃口を向けて一斉射撃をしてきた。
それをマントで薙は払いながら、横にブーストして敵に突っ込もうとするが……横から槍の持った機体に邪魔をされる。
姿を変えては槍の奴を槍で突き刺し、抜いては遠くの奴に槍を投げ……姿を戻す。
明らかに今までと動きが違う事が分かる……しかし、どうでも良かった。
ここで死のうが、後で死んでも私に取っては今を生きているのだから……いいだろうと思った。
「ごめんなさい……本当に、ごめんなさい」
「やっちまえ!……っておい……まさか、あれは!」
私は、姿を変える。
黒光りの機体は何処かで見たことがある……といえる。特徴の顔、そして……背中におぞましい程の膨らみ。そう、亡霊の……機体だ。
「嘘だろ!? まさか、いや……どうせ見た目だけだ。行くぞお前ら!」
「「「「お、おおぉ~~!」」」」
死ねばいいんだよ……。こんなくだらない世界になんて居場所なんて無いんだし……。
私の機体は全てを投影出来る。しかし、それはデメリットも同じで……全てに置いて痛みを感じない事だ。
都合が良く強い機体だが……亡霊の機体は、精神の強さじゃ測れない物が存在する。
腕さばきだ。亡霊はたった1人で全部の腕を動かせるんだから。鍛えてない私が出来る訳がない。
でも今はこの状態で十分……。
ブーストを掛けて、腕を伸ばす。手は簡単に機体を貫き……奥に居る機体を掴み上げ、横に投げる。
片手を動かしつつ、手を伸ばしては簡単にコックピットを狙い突き刺す。
勝てないと思った部隊なんてそこには居ないようにただ、普通に立っていた。
姿を戻し、こちらに止まって構えてくる機体がいた。
それは私自身一番、嫌いで縁が深い人間。
「今更来たの? お母さん」
と私は呟いた。




