壊れても死んだりはしない
次は、絶望の章
お姉さま! よくいらしゃいました! 来た来た来た!?
私は、周りに居る機体を動かすゴミ共を蹴散らしつつ、視線の先に見える青い機体に向かって走っていた。
射撃は正確、しかし……近づかれて攻撃されれば、離れなければならない。だけど、私の機体から逃げ切れればの話だ。
「……」
ガコンッ
という音共に、デカい銃弾が放たれる。最初に撃った弾と違いかなりの大きな弾。私はブーストしていた、機体をギリギリずらし避ける。
直線から左にずれ、そこから急な方向転換をして再び突っ込む……が、盾を持った機体に阻まれる。
くそっ! くそがっ! ははは! もう少しで届くよ~、逃げた方が良いんじゃないの!? ……ふぅ、死ねばいいのに。
「もうここで……喋る意味も! 勝つ意味も! 死ぬ意味も無い! お姉さまはどうしてここにいるのぉ~!?」
私は突っ込んできた盾を持った機体を、槍を振るい剣で切りながら叫ぶ。その間は盾が攻撃を全てを防いでいた。
あはっ! 凄い、凄いね~、私……。
ドンッ
私の機体は貫かれた……杭によって、それは別方向から。横から撃たれ、機体は吹き飛んだ。
無残に機体は地面に飛ばされ……杭が刺さっていた。
がはっ!? ふふふっ、もう少しだよ。もう少し待ってね……私の意思。
片手は杭によって、粉砕……そして、槍は持てなくなった。
単純に考えて先程の盾の機体に勝てなくなったとも言える。それでもいいかと思っていた。どうせ私は死に損ないだ。
複数の機体がこちらに走ってくる。
それを私は、杭を引き抜き……立ち上がる。片手なんて無くてもいい……どうせ、無くても動ければいい。
「……死にたくない? 死にたくないよね? だから人形を弄ってるんだよね? あはははははは!!!」
機体は驚いたように、武器を構えるだけだった。
私は、片手があった所から……ワイヤーを伸ばす。先端が尖った部品が着いた物を。
そのワイヤーは、意思を持ったような動きで私の周り飛び交う。
もう疲れちゃったんだよ、君も私もお姉ちゃんも誰もかもが……ならこんな世界なんて無くなっちゃえばいい。
私は足を踏み込み、武器を構えているだけで撃つことも出来ていない。敵に容赦なくワイヤーを飛ばし貫く。その動きは亡霊が動かしている手のように。
「うふふふ、私だって! あなたが! 何処にもあはっ! 居ないのよ!?」
蛇剣と共に、飛び交うワイヤーは如何にも……生き物そのもの。片手がなくなったことで受けたデメリットを補う異常の性能を持ち、敵はその動きに翻弄される。
盾を持っていた機体もその動きに対応しきれずに、防戦一方で押され気味である。
もう死んでもいいよね、お姉さま。




