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第2話 ヴィレッジのカプラーズ?(改)

だいたい一話あたり2000~3000文字くらいでまとまってくれたらなあ…とは思っているのですが、話の展開次第で逸脱することもあるかもしれません。


チョコチョコ直しは入れていましたが、改訂版に更新しました。

シバタは、ロジャーに連れられて管理施設のような天幕へ。

その間、いろんな店が屋台のごとく並んでいるのを目撃する。

食材を売る店、古着を売る店、どこかで見たような外国の有名チェーン店に似たような看板もある。

さすがに、日本のコンビニや牛丼屋、ラーメン店やファミレスのようなものは無かったが。


「ロジャー、お帰りなさい。そちらの方は?」


白人の背の高い女性がロジャーに声を掛ける。


「ただいま。彼は今さっき現れた、日本人のトシ・シバタだ。トシ、ここで手伝ってくれている、シャロン、俺と同じアメリカ人。向こうは、オランダ人のニルスと、ドイツ人のフランツだ」


ロジャーが向いた先に、立派な体躯の白人男性と、やや小柄な白人男性がいて、こちらへやってくる。


「シャロン・コールマンよ、よろしくトシ」


「フランツ・シャルフェンベルクだ」


「ニルス・ヴァン=ドーン…」


「トシヒロ・シバタです、みなさんよろしく。トシと呼んでください。みなさんのことも、シャロン、フランツ、ニルスと呼んでも??」


「ええ」


「ヤー!」


「うん」


シバタはそれぞれに挨拶する。

そんな中、どこで見たようなマッチョな白人男性がやってくる。その口調たるや…


「ヘイ、YOU!!ミーにも自己紹介しちゃいなYO!」


一瞬シバタは固まったものの…


「日本人のトシヒロ・シバタです。あなたは?」


「フレデリック・ジャニー、アメリカ人よ。フレディでいいわ!」


「よろしく、フレディ。あ、自分のことはトシと呼んでください」


と挨拶するが、シバタは奇妙な因縁めいたものを感じ始めていた。

そして一人つぶやく。


「こうも揃っちゃうとはねえ…何かの縁を感じざる得ないんだ」


「どういうことだ?トシ?」


頭の周りにクエスチョンマークがたくさん浮かんでいそうな、ロジャーをはじめみんなの方を向いてシバタは説明する。


「ここにいるみんなの名前や名字がさ、自分たちの世界、地球の鉄道で使われている連結器の名前や開発者の名前なんだ」


「「「「え!!」」」」


「ロジャーのファミリーネーム、トムリンソンはアメリカや日本で電車の連結器にトムリンソン式ってのがあるし、ヴァンドーン式って言うのも日本で1社だけだったけど何年か前まで使ってた。シャルフェンベルク式連結器って高速鉄道から路面電車まで、ヨーロッパでお馴染みな連結器だし、シャロン式は日本の北海道は最初から、ナックルカプラー(連結器)だったんだけどその頃から入っているいるブランドの一つ。そして、アメリカでナックル式のカプラーを開発して特許を取得した人のファミリーネームは、確かジャニー」


「「「「なんだってえ!!!」」」」


シバタは自分が思った名前の奇妙な縁を、簡単に説明する。


「トシは、レールウェイマニアか!?」


フランツがツッコむ。


「そうだけど。ついでに言うと、シバタ…っていうのも日本でお馴染みな連結器の名前でね。1920年代にヨーロッパスタイルのリンク式からアメリカンなナックル式の連結器に北海道以外の日本の鉄道が変えたときに、日本でジャニースタイルのナックルカプラーの欠点を独自に改良して、独力で開発した鉄道省の技師の兄ヘイのナックルカプラーと、シャルフェンベルク式を参考にして1930年代に国鉄の電車に採用された弟マモルの開発したクローズ・コンタクトタイプのカプラー、どちらも彼ら兄弟のファーストネームから『シバタ式』なんだ。自分の親戚でも何でもないけど、こうもそういった名前の人ばかり集まるとねえ…何かの縁があるのかもしれない」


「「「「はあ…」」」」


「でも、奇妙な巡り合わせねえ」


合点の行かない顔をしつつも、シャロンがつぶやく。


「でも、トシの言うとおり、何かの縁が私たちをここに集めちゃったのかもしれないわねえ」


「やることは山積みだけど、この地の人たちと俺たち飛ばされた地球の人間とつなぐ役割ってのが俺たちの仕事…ってわけさ」


悟りを開いたかのようにロジャーは言う。


「俺は?問答無用で強制参加?」


納得行かない表情で、困惑しながらシバタは言う。


「ここに現れて即座に日本のサムライとアーミーの集団を独自に分析して、中身を見抜いて対処法を考え出した。我々じゃ話のとっかかりも出来ないし、大変かもしれないが彼らとのネゴシエーションしてくれないか?」


「確かに、誰かが交渉してきちんと状況を説明した上で自分たちの仲間になってもらわなくてはいけないでしょうが、俺自身、今さっきここに現れたばかりで、ここのこと何一つ分かっていないわけで」


シバタ、ロジャー以外のみんなは目を見開いて、二人を見ている。

そう、シバタはこの『ヴイレッジ』に現れた瞬間に、偶然とはいえそのままロジャーに引っ張られて武士の集団と日本兵の集団、二つのグループのことを考えさせられて出来うることを話した。


「ロジャーに謀られた?」


「偶然ではあったが、トシはあの場であれだけのことを俺に言って見せた。日本で、今までどんなことをしていたかは分からないが、改めて俺たちに、ヴィレッジのために力を貸してくれないか?」


と言って、ロジャーはシバタの方を向いて頭を下げる。

それを見ながらシバタは驚く。

まさか、西洋の習慣にはない深々と頭を下げて一礼されるとは、思ってもいなかったのだ。

仕方ないか…と思いつつ、シバタは…


「まずは食事をしながらでも、このヴィレッジのこと、そしてさっきも言いましたけどまずはこの異世界のことを教えてくれますね?出来れば、こっちの側の人もいるとありがたいのですが」


「分かった。ありがとう、トシ」


ロジャーはトシの言葉を承諾と受け取ったようで、食事の手配とこちら側の人を連れてくるように指示を出す。


「さっき、ここへくる途中にマーケットのようになっているところを通ってきたけど、あの店をやっているのはこちらの人?それとも地球側の人間?」


ここへ向かってくる途中の光景をシバタは覚えていた。


「あー、どちらもいる。交易にくるこの地の人たちもいれば、資金を融通して店を構えた我々の側の連中もいる。どこかでみたような看板があったかもしれないが」


「この地の物産の流れの影響かどうかは分からないですが、日本人らしい人物が営んでいる店はさしあたりは見あたらなかったようですけど?」


ざっとしか見なかったものの、シバタは思ったことをそのまま言う。


「トシの言うとおり、このヴィレッジはなにもないところに急に地球から大量に人が転移して集まったいわば突如発生したような村だ。そのためこの地を治める領主をはじめ、この地の人たちにも奔走してもらってはいるが、まだまだ足りないことだらけで、日々の食事を供給することとかで手一杯なんだ。将来的には恒久的な町づくりもしていかなきゃいけないだろう」


現在の状況の一端をロジャーが説明する。


「周囲は平穏なのですか?」


「不幸中の幸い…という言い方が正しいかどうか分からんが、ここは他国と戦闘状態でもなく、モンスターと言うべきか魔物の類も皆無ではないがあまりいない。だから領都や近隣の町、他国からもいろんな商人や職を求めるような連中もたくさん集まって、今のようなカオスな状況になってる」


「なるほど。そういえば、さっきさらっと魔法使いがいるようなことを言ってような気がしますけど、こちらの人たちには普通に魔法使いというか魔術師というか、そういう人たちが存在するわけですね?」


「ああ。これから一人ここにくる。話に加わってもらう。あとはこっちの役人と騎士団員にも入ってもらう」


「あー、まったくもう!トシは腹ごしらえが最優先よっ!」


仁王立ちしたシャロンの手には、エールが注がれた陶製のジョッキと料理の盛られた皿があった。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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