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線香花火
「あとは、これだけ。」
カンナは線香花火を手にして言う。
「うん。」
「子供の頃、この線香花火が好きじゃあなかった。線香花火が終わると夏が終わってしまうような感じがして。さみしくなる。そんな感じがなかった?」
「どうだったかな。子供のころ、そんなことまで考えたことなかったような気がするな。でも。」
「でも?」
「今なら、それもわかるような気がする。」
線香花火に火をともす。
無言のまま、線香花火を見つめる。
線香花火が終わる。
「ブランコにのらない?」
ブラントと砂場、それに水場だけのある小さな公園。
「ブランコに乗ったの、いつ以来だろ?思い出せないな。」
「すっごく久しぶりなのは確かだ。」