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ハードシップメークス  作者: 小走煌
6 秋の大会前
55/227

和白

腕の震えが止まらない。


ただの布切れなのに、とんでもない重力を感じる。

鮮やかな光沢とラインがきれいな、背番号。

4。

百人以上いる部員のうち、たった九人にだけ渡される一桁の番号。

つまり今ここにおいて、百なになに分の九、のうちの一人がこの我が身であるというわけだ。そう考えると、何だかこれはもしかすると身分不相応か、という気がしてくる。

確かにそうかも知れない。今日のオーダー発表であたしがこれを監督から受け取った時の周りの様子。なんとなくで感じ取っても驚き三割、称賛二割、といったところ。

残りの半分は妬み、怒り、蔑み、嘲り、とか、良くわかんないけどとにかく不満いっぱいな感じ。

それも仕方が無い。正直、この出来事が本当の事か、あたし自身未だに信じられないのだ。自分が信じられないものを他人に納得して貰うのは無理がある。

そもそもこれがあたしの背中に貼り付くなんて、その姿を想像するだけで笑えてくる。こんな低身長ではせっかくの強豪校の一桁台が安っぽく見えてしまうというもの。


でも。


まずは胸を張ろう。

入部してから今日この瞬間までの日々は、どの場面も簡単に思い出せる。

安息なんてほんの一瞬も無かった。鬼の監督、悪魔の練習。来る日も来る日も頭と体をフル回転させ、全力でやって来た。

ここに至るまで、運や巡り合わせも確かにあった。だけど、それも引っくるめて今日までの積み重ねの結果がこの番号なんだ。

だから、自分がこの番号に見合わない、なんてことは無い。堂々としていれば良いんだ。

似合わなければ似合うようにすれば良いし、不平不満を言う輩は結果で黙らせれば良い。


そして、ただ喜べば良い。

何故なら、目指せるから。スタンドからの他力本願では無く、自らの力で。

だから、あとはひたすら目指せば良い。


夢にまで見た舞台。


全国の舞台を。

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