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ハードシップメークス  作者: 小走煌
12 夏の大会
123/227

香椎東対柳川女子:夏6

 鋭い打球が二遊間を抜けていく。

 慧が体をどこに動かそうか迷っている間に、ボールはあっという間にセンターまで到達した。

 直子が猛然とチャージを仕掛ける。慣れた手つきでボールを掬い、バックホームする。慧はその様をただ目で追った。

 そして慧は愕然とした。セカンドランナーの蘭奈がホームに突っ込み、右側に低い姿勢でスライディングをすることにより豊のタッチを巧妙にかいくぐったのだ。

「う、うそ……!」

 自分が思わず悲鳴じみた声をあげているのに慧は気づいた。

 蘭奈の行為は、傍から見ている分にはその緻密さに気づかないはずだ。そう確信できるほど細かい動きを蘭奈はしていた。

 しかし、練習でホームに滑り込む経験をしている慧からしてみれば、蘭奈のスライディングは価値の高いものであることは感覚で分かった。

 タッチを避けるために身を屈める技術。それでいてスピードを落とさない手法。そして極力足先でベースに触れることでホームインをコンマ一秒早めるテクニック。そのどれもが群を抜いていた。

「あ、あのヒト……やっぱり何かおかしい……」

 慧は上の空でブツブツ呟くことで平静を保った。その間に味方が三つ目のアウトを取ってくれたが、プレイヤー、鍛治舎蘭奈の能力の高さを慧はライトという遠いポジションからただただ思い知らされるのみであった。

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