最期の戦い
「…ここまでよく来たな勇者」
落ち着いた声で魔王は言った。
「さぁ、最後の宴を始めよう」
強大な敵意が向けられ、その鋭さに勇者の額からヒヤリと汗が落ちる。
聖女と僧侶は、すでに魔王の側近と戦闘中だ。
勇者は隣で戦う二人を一瞥し、視線を前に戻す。
「あぁ、始めよう。…これが、最後だ」
魔王は漆黒の瞳を嬉しそうに歪めた
------瞬間、勇者の目の前にいた…!
「くっ!!」
キンッ!!
勇者はなんとか反応し、剣が交差する音が響く。
魔王は剣に体重をかけ、勇者に迫る。
勇者は力勝負には勝てないと判断し、それを右へ流す。そのまま、剣を左上へ振り上げ魔王の右腕にかすり傷を負わせた。
しかし、素早く体制を直した魔王の左手は勇者の右脇に向けられていた。
「闇よ食らいつけ」
左手から黒いモヤが発生し、勇者の横腹にまとわりつく。
「ぐああっ!!」
勇者は引きはがそうとするが、モヤは手をすり抜けてしまう。勇者はすぐに冷静になり、魔法を唱える。
「光の精霊よ、闇を払えっ!」
勇者の身体が淡く光り、モヤが消えていく。
浅くない傷を負った勇者に魔王が近付く。
シュバッ!
完全に避けることができず、剣が勇者の左腕を切りつけた。
勇者は痛みに顔を歪めるが、魔王が近付いた好機を逃さない。
魔王の腹を切りつけ、魔法を放つ。
鎌鼬が魔王を襲った!
「くっ!!」
魔王は苦痛に顔を一瞬歪めるがニヤリと笑って勇者に魔法を放つ。
勇者は次々と来る攻撃を避け、互いに一歩も譲らぬ戦いが続いた。
そして、肉体的疲労が限界を迎えそうになった時、勇者は大魔法を使った!
「大聖霊よ!!魔を貫け!!」
精霊魔法を使い魔王に巨大な聖なる刃を突き立てる!
魔王は防壁を張るが破られ、身体に刃が突き刺さった。
「ガハッ」
口から血を吐き、魔剣を落としてその場に倒れこんだ。
しかし、同時に勇者も精霊魔法で力を出しつくしたのか、ふらりと倒れでいった。
「陛下!!」
魔王の側近であるルイノルドは僧侶を聖女の攻撃を交わし、魔王のもとへ駆け寄る。
「「勇者!!」」
僧侶と聖女も倒れた勇者に気づき走り寄って行った。