ジャスティスケイその1
ドーム1:議事堂内
その日一人の男を中心とした極秘の会議があった。ある少年を巡って…
「まず、適合する人間を見つけたのですかシュバネ議員?」
この会議で中心となっている男、シュバネ-エナビス。
この男がこの問題の最重要責任者となっている。
「ああ。ジョビジ、説明してくれ。」
「はい。この少年です。」
スクリーンに投影したのは、一人の少年の写真。
「彼はドーム2のスラムに住む少年。調査の結果石のカケラとの適合率はかなりのものでした。」
「ちょっと待て!こんな子どもに石のカケラを埋めこむというのか!」
一部の議員が反論した。
そんな中一人の女性議員が彼らへ異論を唱えた。
「それじゃああなた方は財団を野放しにしたいのですか?」
部屋を静寂が包んだ。
「今はもう時間が無いのです。適合率が高ければもう誰だっていいでしょ!」
シュバネが口を開いた。
「それでは彼の身柄を確保して、カケラを埋めこむ準備を開始する。」
ドーム1:議事堂ロビー
数時間後、シュバネと先ほどの女性議員が話をしていた。
「さっきのは済まなかったな、オスメント。」
先ほど熱弁を唱えていた彼女の名は、クロエ-オスメント。シュバネと同じ会議の重役を務めている。
「で、カケラの運搬はどうするんだ?」
「民間の運び屋に依頼しておきました。そちらの方が今はいいでしょう。まぁ正体は隠しますけど。」
クロエはシュバネに写真を見せた。
「ん?」
シュバネはこの運び屋の顔に見覚えがあった。
ニエーバ…
そんな中、誰かが口を挟んだ。
「エナビスさん。少しお話しを。」
ジョビジだった。
「ん、何だ。ここでか?」
「いや、気になるものを拝見いたしまして、あなた自身にもその目で確かめて欲しいので。」
「ああ、どこだ?」
「こちらの外ですが、スケジュールの都合で合わなければいいのですが。」
「別に用事といったものは無いが、そこまで急ぎの事なのか?」
「それでは行きましょうか。」
ドーム1高速道路:VIPスピーダー内
シュバネは何処に向かうか知らないまま
「一体何処に向かっているんだ、このスピーダーは。」
「まぁあなたにとって重要なものです。」
ジョビジはシュバネの質問に全てそう答えていた。
そして着いた先は…
ドーム1:16区立美術館
「こちらでは現在戦場カメラマンのロバート-フリードマン氏の写真展がありましてね、まぁ見てください。」
美術館の中はもう深夜なので誰もいない。恐らく特別に開けてもらったのだろう。
16区立美術館:展示室
ここにはここ20年のテロの現場の写真を展示している。
「ここです。あなたに見せたかったのは…」
シュバネは驚愕した。そこに写っているものに…
血まみれの自分を抱きしめて泣く…
ニエーバ…
AD2264.Feb.13