クランキーインスタンスその4
ヒースロー宇宙港:ロビー
警備員達が例の事件の調査をしていた。
「何処だ!あいつらは一体何処に行ったんだ!」
警備員のリーダーは焦りを感じていた。
だがその時…
ドーム2:カジノ入り口
それから5日後、銀行から20000000ドルを引き出した後にドーム2のカジノへジェットは直行した。
「やっぱやめましょうよ。カジノへ行くのは。」
「いいってことよ。マーレってやつと約束したんだしよぉ。しかもあいつの持っているレスパースピーダー。かなりカスタマイズされているって噂だからこれからマジで使えるぜ。」
「それで、何ドルくらい賭けるつもりですか?」
その質問にジェットは信じられない額を答えた。
「まぁ20000000ドルくらいってとこだな。」
「え!それじゃあ報酬金全額使っちゃうつもりですか?」
ジェットの、あまりにめちゃくちゃな答えにケンは呆れてしまった。かといってケンは同行することができない。彼はまだ19歳。まだ20代になっていないのだ。
「とにかく僕は入れないんでそこまで馬鹿なことはしないでくださいよ。」
しかしもう遅かった。ジェットはマーレという人間とすでにカジノ内へ入っていた。
「もー俺どうすりゃいいんだよ。」
ケンはこの時間の潰し方を考えていた。その時、あの依頼人と そっくりな黒いコートに身を包んだ男がケンの目の前にいた…
(あの時死んだはずなのになぜ?)
ケンは困惑した。しかし、それについての答えはすでに分かっていた。
彼はクローンなのだと…
宇宙開発が本格化した際、一部の国家がクローンの生産を合法化し、彼らを中心に今のドームが作られた。しかしクローンは短命であり、しかも50年前に生産が終了したはずなのだ。それなのになぜ今この目の前に…
と、男が話しかけて来た。
「この少年をドーム1のシュバネ-エナビス議員に引き渡してくれ。」
そして男の後ろからその少年が出てきた。
「あの、ジェットさんがいないんですけど…」
「構わない。今しかないのだから。」
と言った瞬間、彼は姿を消した。
「あ…よろしくな。」
ケンは少年に声をかけた。
少年はコクリと頷いた。
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