クランキーインスタンスその2
2264年、人口が飽和状態へと達した地球人類は、地球から選ばれた者を月へと移住させて100年がたった…
ロンドン:ビル入口
二人の男が会話をしている。
「今日はちと荒かったけどまぁチップもちゃんと盗めたし、後は依頼人が…あれ?どこで待ち合わせしといたっけ依頼人と?」
「ハァ?忘れたんすか?ヒースロー宇宙港ですよ。」
ヒースロー宇宙港。50年前月への移住をする際、スペースシップの発着のために旧ヒースロー空港が新たに宇宙港としてスタートしたのだ。
「ああOK。んじゃおれのシップでひとっ飛びすっか。」
この男ジェットの職業は便利屋。この時代ではかなり珍しい職業で、機械の修理から要人の輸送、さらに暗殺などかなりの仕事をやりこなすため、それを生業とする者は少ないが宇宙で最も必要な職業でもあるのだ。
同:ヒースロー宇宙港ロビー
何百人の人の往来の中たった一人その人の波に飲まれない男がいた。今回の依頼人だ。黒いコートと帽子で顔が見えず身長はゆうに2mを超えている。
そんな中、ジェット達がその男を見つけた。
「いたいたいた。おーいそこの黒いおっさん。俺だよジェットは。」
ジェットがかなりの大声で喋ったので男もさすがにジェットに気付き、そちら側へと向かった。
「お前がジェットか。まずチップはあるんだろうな。」
ケンが男に話しかけた。
「ほら、もちろんありますよ。でもなんなんですかこのチップは。型をみてもチップにしては従来のどの型にも対応してなさそうですけど…」
そんなケンの質問を聞き、男は急に話題を変え、
「そんな事より問題はお前達の報酬の件についてだ。20000000ドルでどうだ。」
「ハァ?20000000ドル?………………………上等じゃねーか!んじゃ受け取りまっか!」
と、男は小さな手帳を出した。
「あれ?これが20000000ドル?」
「馬鹿言え。通帳だ。」
「ふーよかった。んじゃバイバーイ。行こうぜケン。」
と、帰ろうとした中銃声が聞こえた…
BANG!
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