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生きていること。  作者: 藤井紅音
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もし、あの日

人は物事の一個一個に対して、後悔や残念というような感情を残す。

でも、私はしない。

私は普通の人ではない。


いつもと同じ時間に起き、目を覚ましたら暫く動き停止。いつもの話だ。私にとってそれが日常だ。一般人と何変わらず生きてきた18年間。ある日、突然告げられた突発性総合精神病。未だに信じられません。普通の生活をしようと努力をし、なるべく「一般人」になる。それが私に課された日課だ。病院に行くほど病気ではないため、入院はなく。普通だがどこか、どこか普通の人とは違う暮らし。その日々が私のすべてだと思ったあの時、もし君出会わなかったら。もしあの事故がなかったら、今の私はまだ頑張られるのだろうか?


突然医師から告げられた突発性精神病、一見健全に見えた下に隠した不健全。一夜にして、私のすべてが崩壊した。私は自分の病気が受け入れなかった。18年間、親の中のいい子、学校の優等生だった私。精神病に侵され、治療が要るほど酷くなってることは予想出来なかった。すべての一番になりたかった。近所からのいい子扱い、学校や友達の中で憧れの人を演じ。みんなが私に憧憬を抱いている、それで良かったんだ。


でも、そううまく行くはずもなかった。だから私は生まれ変わろうとした。そして、あの事故があった。


いつも通りカウンセリングをされ、いつも通りの時間で家を帰る。そのいつも通りが患者になった私の日常だ。でも、こんな日常が欲しくなかった、すべてをぶち壊そうと思った。そして私は高そうな車一台に近づいた。


「ねぇ、あなたは生まれ変わりたいの?」小声で呟く。力が出なかったんだ、ろくに食事もしていなかったから。

「え?君いくつだ?もう家に帰る時間なんじゃないの?」男はいい人ぶりを見せた。私はそれが憎かった、どうせアイツも心では私を笑っているだろうと思い込んでたから。男の言葉は嫌味に思えた。


「いいから、車をよこせっ!よこさないとぶつから!」私はその男を脅迫した。自分でも信じられなかった、いつも正しい生活でしか送らなかった私が脅迫などをするとは。きっと想像しにくいことだろう。親も友達もみんなガッカリするだろうな、悲しむだろうな。でも、関係がなかった。あの時、私はただすべてを壊したかった。それだけしか、出来なかった。


「ちょっと、物騒なことを言うなよ。君はまだ若いだろう?さぁ、さっさと帰るこった!」男は私を追い払おうとする。その行動が私をさらにイラつかせた。この男は私をバカにしているの?私を同情してるの?ムカつく、苛立ち収まらないほどのものだった。この男を・・・この世から消し去ろうと思った。


そして、私はその男をぶった。自分のカバンを使って、あの男を叩いた。あの男を叩くたびに私は少し楽になった。今まで抑えつけなかった気持ちを少し出せると思った。それが止められなかった。私は手を休むことなく、どんどんエスカレートに叩いていく。そして、ふっと気づいた。男は既に気絶している。私は慌てた、どうすればいいのかを何度も何度も考えた。そして、決断を下した。この男の車に乗っ取ろうと。


私は凄く怖かった、逃げようとした。でも運転の出来ない私がどうやって逃げればいいの?と心の中で叫んだ。仕方なく車に乗り、その場を去ろうとした。怯えたせいか、前を見ていなかった。そして、そのまま前に止まっていたバスにぶつかった。


「私・・・もうダメなのかな・・・?もう・・・どうだっていいや・・」だんだん、意識が遠ざかっていく。


私は、夢を見た。

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