03
「で?彼は今ここに居る訳だ」
「まあ、そういう事だ」
俺は今五人の男に囲まれている。
落ち着いた雰囲気のある黒がかった茶髪の少年または青年が口を開いた。
「で、彼は一体どうやってこの家へ?」
答えたのはウィルだ。
「それが答えない。名前もまだ知らないんだ」
「へえ・・・」片目を隠したクリーム色の髪をした青年の唇が弧を描いた。そして徐に男に歩み寄り顎を掴んで持ち上げた。
その場にいた全員がその男の行動に驚いていた。一番最初に我に返ったのは落ち着いた雰囲気を持つ彼だ。
「ちょ、ベルルト何を!!!」彼の制止を振り切ってベルルトと呼ばれた青年は男に顔を近づけた。
「お前、いい度胸してんじゃねえか。全然目を逸らさねえな。面白い。」そう言ってベルルトはおかしそうに笑いながら男の顎を離した。そして徐に振りかえるとこう言った。
「おい、トーニョこいつかなりいい肝してんぞ!!!」
トーニョと呼ばれた男はさっきの第三者の名だった。トーニョは片眉を動かしただけだった。
ベルルトの一言以来誰も言葉を発していないせいかこの部屋の空気がどことなく重々しい空気になりだした頃、今まで一度たりとも喋らずただ穏やかに微笑んでいた金髪を後ろで短く束ねた男が口を開いた。前髪が長く、目まで隠れている。
「ねえ、まずはさ、皆自己紹介でしょ?皆自分で名前紹介しなよ。じゃないと彼も彼で何も出来ないだろう?」
ねえ?と目を細めて笑う彼を見て男はああ、髪に隠れてそんなに見えないが綺麗な顔立ちだなと呑気に考えていた。
が、今はこんな余韻に浸っている場合ではない。話に集中しなければ。
すると、落ち着いた雰囲気の青年が手を挙げた。
「じゃあ、私からまいります。私の名前はキールです。元は東洋の方の出身で、歳は25です。よろしくお願い致します」
キールはとても礼儀正しくあいさつしてくれた。少年かもしれないと思っていた人は自分よりも年上だった。
男が心の中で秘かに謝罪しているとすっと男の前に先ほどの金髪の青年が立っていた。
「じゃ、次俺ね初めまして俺はロリンシスだよ。歳は25。色んな職に就いた事があるから色々聞いてね」
金髪の彼はロリンシスというのか・・。ロリンシスはどこかその名に懐かしいものを感じた。
「じゃあ俺だな俺はベルルトだ。歳は26だ。腕っ節は強いぞ」
確かに強そうだ。本人曰く着やせするそうだ。
「・・・俺はウィル。歳は22、手先は器用な方だ」
意外だ。おっかない奴だと思っていたが意外と可愛らしい面もあるようだ。
「俺は・・・トーニョ一応この家の中での働き柱だ。歳は27」
実はこの男が一番怖かったりする。何てったってさっきから殺すぞという勢いで睨まれているのだ。
「ねえ、全員自己紹介したしそろそろ教えてくれるよね?キミの名前」ロリンシスがつぶやいたと同時に全員が俺に注目した。